春夏秋冬
青い月
第1話 ドール病
春というのに見わたす限り砂漠のような荒れた土地が広がる・・・・・・・・
風が吹くたび砂埃が舞い上がりかつての緑溢れるこの地のかけらさえ無い。
今や動物さえも見受けられない、ドール病が感染し始めてから俺はこの研究室にこもり
2年が経つが・・・・・・・・・
龍
「っ・・・なぜ、結合しない・・・・・・・」
バン!!!!
デスクを叩きながら研修室から出る俺は荒れ果てた景色を見ながら思う。
龍
「ふうぅぅぅ・・・」
タバコを吸いながら思い出に浸る。
愛する沙羅沙は永眠カプセルで仮死状態になり2年ワクチンはまだ出来ない・・・・・・・
俺はどんどん年をかさねるが沙羅沙はあの日のままだ・・・・・・
ある医療室では・・・・・・・・・・。
医師
「残念ですが・・・・・・・・・。」
執事
「翡翠様・・・・・・・・・」
翡翠
「良い、我は大丈夫だ。」
執事
「ですがお体をお休めにならなくては・・・
王とて持ちません!!」
翡翠
「私はこの国が民が大切だ。
私が床に伏せても状況は変わらん!!」
執事
「王はドール病なのです。
体を大切にしなくては!!」
翡翠
「良い、これは私の罪なのだ。
お前が私の心配はしなくて良い。」
翡翠は部屋から出て行くのだった。
ドール病の発端は2年前の春の訪れの祭りが開催される一ヶ月前に遡る。
=2年前=
始まりの国の広間で王室研究室室長ドール博士と翡翠王が揉めていた
ドール博士
「翡翠様約束が違います!!
私はリンを愛しています!!
私との結婚ではなくなぜリンが北の国の王と結婚しなくてはいけないのです!?」
=ドール博士=
王室研究室室長で大切な研究をする学者。
有名な博士でもあり、色んな研究に関わっている。
身長172cm 体重60kg 25歳
性格は温和だか研究熱心で目的達成の為なら寝る事も忘れる。
決めた事は曲げない正義感が強い男。
本名
ドール・ド・ダリヤ
リン姫とは幼馴染で恋仲である。
翡翠
「ドールよ許してくれ・・・・・・・・・。
これも北の国凍える国との交流も大切なんだ。」
=翡翠=
始まりの国の王
リン姫の兄である。
性格はクールでポーカーフェイス。
目的の為なら冷酷にもなる男。
日頃は温和でもある。
身長180cm 75kg 年齢27歳
武器ー剣。
ドール博士
「ですが、リンを凍える国の王と結婚させなくても交流は取れます!」
翡翠
「すまない・・・。
もう決まってしまったんだ。
分かってくれ・・・・・・・・・。」
ドール博士
「くっ!!
そうですか・・・失礼します。」
ドール博士は握り拳を震わせながら去って行くのだった。
翡翠
「ドール・・・・・・・・・。」
リン
「お兄様・・・。」
=リン姫=
始まりの国の姫
翡翠の妹でもありドール博士の幼馴染み。
性格は心優しいく人が傷付くのが嫌いな女性。
身長 158cm 体重40kg 年齢 23歳
翡翠
「すまないリンよ・・・・・・・・・。
この兄を許してくれ。」
リン
「良いのです。
私が嫁に行けば丸く収まる事ですから。」
リンもまたドールを好きでいたがこんな日が来る事は覚悟をしていた。
リン
(北の国の王シンは兄の古くからの親友で私も良く知っているわ、かっこよく良い人よね。
でも交流の為に・・・
求婚をして来るとは思ってなかった。
ドールごめんなさい。
私も一国の姫だから・・・・・・・・。)
春の訪れの祭りが開催される1日前ドール博士とリン姫は秘かに会っていた。
ドール博士
「リンここだよ。」
リン
「ドール!」
抱き合う二人。
ドール博士
「すまないな・・・・・・・・・。
こんな場所でしか会えなくて。」
リン
「良いの兄の目があるから。」
ドール博士
「リンよく聞いてくれ。
私はこれからこの国を出て行こうと思う。」
リン
「どうして!!」
ドール博士
「リン、話しを聞いてくれ。
それで君も一緒に私と来て欲しい。」
リン
「それって・・・国を捨て逃げると言う事!?」
ドール博士
「そうだな・・・。
私は君を愛しているんだ。
他の奴にくれてやるくらいなら攫って二人で幸せになりたい。」
リン
「でもいつか見つかるわ!
それに私は北の国の王と結婚しょうと思っているの・・・。」
ドール博士
「リン!!君が犠牲になる事はない!!」
リン
「有難うドール。
でも私はこの国が好き。
それに兄もこの国の民も貴方も好き。
だから分かって。」
ドール博士
「君までどうしてなんだ!!
それとも君は私が好きではないのかい?」
リン
「好きよ!!
でも私も一国の姫なのこんな日が来る事なんて覚悟はしていたわ。
だからドール危ない事はやめて考え直して。」
ドール博士
「・・・君ならそう言うと思っていた。
じゃ最後のお願いがあるんだ。
聞いてくれるかい?」
リン
「私が出来る事なら。」
ドール博士
「ああ、キスをして欲しいだけだよ。」
リン
「ドール・・・・・・・・・。」
リンは涙を流すのだった。
ドール博士
「君を泣かせるなんて私は駄目な奴だな。」
その時ドールは何かを口に含みリンにキスをするのだった。
リン
「っ!?」
ゴクリ!!
リン
「ドール?
何を飲ませたの?」
ドール博士
「君は美しく心優しい。
何時迄もそのままで居てくれ。」
ドールはそれ以上何も言わず去って行くのだった。
春の訪れの祭りの当日北の国の王シンと勇者リューンも来ていた。
祭りは盛大に開かれ北の国の王シンとリン姫の婚儀もその時に発表され国民も喜ぶのだった。
翡翠
「民達よ、我ら始まりの国の安泰を祝って北の国の王シンと私の妹リンが結婚する事になった。
皆祝福してくれ。」
わー!!!!!
おめでとう!!!!!
お幸せに!!!!!
シン
「リンよ、求婚を受けてもらい嬉しいぞ。」
リン
「いえ、私こそこれからよろしくお願いします。」
翡翠
「シン、妹をよろしくお願いする。」
シン
「ああ、任せてくれ。」
それをとおくの研究室の窓から見ているドール博士だっだ。
祭りは3日間あり1日目は穏やかに過ぎた。
2日目ドール博士は何やら研究を熱心にしていた。
龍
「室長・・・こんなに遅くまで大変ですね。
何か俺が手伝う事ありますか?」
ドール博士
「いや、大丈夫だよ。
龍君、私にもしもの事があればここの室長は君だからな。」
龍
「あははは、ドール博士の足元にも及ばない私が室長なんて務まりません。
ここの室長はドール博士しか居ませんよ。」
ドール博士
「有難う龍君。
私は君をとても信頼してるんだよ。
では私はまだまだ研究があるから君は帰っていいぞ。」
龍
「有難う御座います。
ではお先に。」
ドール博士
(早く仕上げなければ・・・・・・・・・)
「ああ、気を付けて帰るんだよ。」
龍
「はい。」
龍は研究室から出て行くのだった。
三日目当日の朝
ドール博士
「やっと出来た!!」
(これを打ち上げれば私の人生はそこで・・・・・・・・
リンとともに・・・・・・・・
この愛は永遠だ・・・・・・・・・。)
花火が打ち上げられる時の事、ドールが会場に現れたのである
ドール博士
「北の国の王シン様、リン姫ご結婚おめでとうございます。」
シン
「ああ、有難う。
お前の噂は常々研究者達から聞いておるぞ。」
ドール博士
「身にあまるお言葉です。」
リン
「ドール・・・・・・・・・。」
(こんな時に出て来るなんて・・・・・・・・・。)
ドールはリンに優しく微笑み歩き出す。
ドール博士
「民よ!!!!
今日はこの国の再出発の日だ!!!!
私から最高の贈り物を!!!!」
花火が打ち上げられると灰が降ってきた。
リューン
「王これを!!」
(この灰は何だ!?王の身に何かあったら大変だ!!)
リューンがシンにマントを被せるのだった。
翡翠
「ドール!!何をした?」
龍
「ドール室長何を!?」
沙羅沙
「龍、この灰はなに?」
龍
「俺にも分からない。」
ドール博士
「クククククククク
あははははははは
人形の様に皆死んでいくといい!!
リン・・・君は美しいままだよ。」
翡翠
「ドール、貴様!!」
ドール博士
「お前が私から最愛な者を奪ったのだ!!
その代償は大きいぞ翡翠王よ!!
さあー!!死の宴を味あうといい!!」
ドール博士は自分こめかみに銃口をむけ引き金を引き自害。
ドキューン!!!!
リン
「いやー!!!!ドール!!!!」
リンはそのまま気を失いシンに抱き上げられた。
シン
「翡翠・・・
何なのだこの灰は?」
翡翠
「すまない、私も分からない。
身の安全が優先だリンを連れ国に帰ってくれ。」
シン
「ああ・・・・・・・・・
何か分かり次第教えてくれ。」
翡翠
「分かった。」
その日を期に民たちは倒れ寝た切りになっていく、まるで人形様に外見はそのままだか動かなくなるのだった。
そしてその病名はドール病と名付けられた。
ドール博士が最愛なるリンを失った腹いせに作った細菌兵器だっだ。
沙羅沙
「龍・・・お早う・・・」
龍
「沙羅沙具合でも悪いのか?」
沙羅沙
「うん・・・最近なんだか起きるのが辛くて・・・」
龍
「午後にでも病院に行こう」
沙羅沙
「うん・・・」
病院で診察を受け結果を聞いた龍は驚く結果だった。
龍
「先生・・・何かの間違いでは、貧血の症状ですよね?」
医師
「誠に残念ですが彼女はドール病です・・・」
龍
「・・・何故・・・」
医師
「ワクチンが出来るまでは永眠カピセルで寝てもらうしか・・・」
龍
「そのまま人形のように死んでいくのを見過ごせと!!」
医師
「そこまでは・・・私が判断しかねます」
龍は沙羅沙を迎えるがどういう顔をしたらいいか分からなかった。
沙羅沙
「龍・・・どうしたの?」
龍
「何でもないんだ・・・」
沙羅沙
「クスクス、嘘をつくのが下手ね、深刻な顔しているわよ!」
龍
「病院が嫌いなだけだよ・・・・・・・・」
沙羅沙
「クスッ、子供みたいね~」
龍
「そ、そうか~」
沙羅沙
「それで結果は?」
龍
「重度の貧血だそうだよ、少しカプセルで治療すれば治るそうだ」
沙羅沙
「そう・・・・・・・・・」
沙羅沙は自分の病気を知っているかのように悲しく微笑んだように見える龍だった
沙羅沙
「ねぇ~龍」
龍
「なんだい沙羅沙?」
沙羅沙
「私、また、貴方の側で研究できるかしら・・・・・・・・・」
龍
「!!っ・・・ああ、急にどうしたんだ、大丈夫だよ、少し寝るだけなんだから・・・」
沙羅沙
「そうね・・・
龍愛しているわ・・・・・・・」
龍
「俺も愛してるよ・・・
疲れただろ寝るといい」
沙羅沙
「ええ・・・・・・・」
俺は沙羅沙が入ったカプセルのボタンを押すのだった
街には誰一人笑顔で歩く者は居なく足早に帰る者達だけで活気のある街ではなくっていた。
=ドール病=
細菌が細胞を破壊し、見た目は変わらないが何時しか寝たきりになり人形のように動かなくなる病気・・・・・・・・・
研究を重ねるが今だ未知の細菌でワクチンすら出来ない。
俺はこのまま年を取っていくのだろうか?
宗教団体や信心深い人間は昔からの言い伝えを信じ皆こう言う
龍
「天から女神が舞い降り病気を治してくれるか・・・。」
居るなら早く現れてみろよ・・・・・・・
俺はこれ以上は年を重ねたくない・・・・・・・
煙草の煙が目にしみ涙ぐむ龍だった
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