第2話ルナマナと人形

朝がやけに明るくて。

いつもよりも視界が赤くて。

太陽の光とは違う明るさ。


ガラガラっ…

「なんだよ…これ…」

そこには一面赤く見えるほどの赤い光。

その正体は、あの紅い月だった。

真っ赤に染まってる…紅い月。


「なんだよ…夢…なのか?」

あまりにも可笑しくてつい自問自答してしまう。


が、これは夢でもなんでもない。


《現実》だった…


一階に降りようとすると階段の所にうずくまってるらい。


「らい、なんで降りないんだ?」

なんで降りないのか?かくれんぼ…か?

だが、返ってきた答えは…

「お母さんが…お母さんが……」

こうだった。

らいの目にはたくさんの涙があった。


もっと詳しく話を聞きたいが……

「ここでまってろ…」

らいを守らないと……


下に降りる…音を立てずに…ゆっくり…

見たときは声がでなかった…

なんというか、驚きすぎて…


お母さん…?


そこにいるのは、お母さん…?

と、だれ…?


「あはは。やっと起きた??」

そいつは言う。へらへらと。

「だれだ…お前…」

お母さんの横でニコニコしてるが、こいつは良い人じゃない。決して。

「怖い顔しないでよ〜ルナマナ…とだけ名乗っておこうかな♪」

そう言ってその場を去った…

追いかけようとした…が、早すぎてなにもできなかった…

「瞬間移動…?」


ルナマナと名乗ったやつがいなくなり、

残っていたのは、赤い水しぶきともう喋らない大切な人形ー・・・。


この時思い出した…


俺は、これを前にも見たことがある…


「おにぃちゃん…らい…らいね…」

涙をぬぐいながらいう…妹…。

「あぁ…今度こそ…かたきをうつぞ」

思い出したんだ…あいつを、ルナマナと名乗ったあいつを殺して、あの紅い月をもとに戻すんだって…


助けられなかった…救えなかった…

もっと早く記憶を思い出してれば…

大事な物を失わずにすんだのに…


ごめん…らい…またお前をまきこんで…


「らい、行こう。あいつのところへ。」


あいつの手の上で踊らされてるとしても、それでも、行かないと…


元の生活に戻るためにも…


おい、ルナマナ…俺たちはもう失敗しないぜ??覚悟しとけ…


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