秘密の花園はもう消えた
紗奈
第1話 後悔は先に立たない
「もう死ぬ以外に方法はないのよ・・・」
何故こうなったのだろう。
雪乃は今にも飛び降りそうな若葉の顔を見ながら、後悔ばかりが心の中を占めていた。
隣にちらりと視線を動かせば顔から色と言う色が抜け、真っ白な顔をした凛が同じように若葉を見ている。
視線を若葉に戻せば、先程より身を乗り出していた。雪乃は思わず若葉に声をかける。
「わ・・若葉・・・落ち着いて・・・・」
ドラマ等で自殺の場面がある時、決まって言われるこの台詞。
見ていた時はそんな当たり前のことを言ってもとよく思ったが、自分がその立場に立つと当たり前のことしか言えないものなんだと実感する。
「雪ちゃん・・・凛ちゃん・・・ごめんね。ごめんね・・・」
その言葉を最後に若葉の体は雪乃達の目の前からビルの下へと消えた。
伸ばした手は届く事はなく、自分達が何を叫んだかも分からないが、声が若葉に届く事もなく・・・。
そして雪乃は何度目になるか分からない呟きを呟いた。
「どうして・・・こんな事に・・・・」
この悲劇の始まりは三人が29歳になった時から、運命の歯車は回り始めていたのだ。
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