The Hatred Chains It ー憎しみは連鎖するー
サラ・ローズマリー
一つ目の輪
深い森のなかに暮らすものがいた。彼らは不思議な能力を持っており、それを恐れる人々に命を狙われていた。そのために森のなかで暮らすことを余儀なくされていたのだった。
ある月の赤い夜のこと。彼ら三人家族は空を見上げていた。その様子はとても幸せそうに見えた。
――リル。どうして月が赤いか知ってるか? ――
父親が子に向かって訊ねた。子は無邪気に父を見つめ、知らないよ、と否定する。そして、
――どうしてなの? ――
そう父に問いた。その瞳は好奇心で満ち溢れていた。
そんな彼を見ながら優しく母が答える。
――それはね、あの月が……――
彼女の言葉はそこで止まってしまった。数発の銃声によって遮られたためだ。リルはその衝撃に目を閉じた。
リルが目を開くと、自分がバリアのようなもので守られていることに気づいた。おそるおそるバリアの外へ目を向けると、自分の両親が血を流して倒れているのが見えた。
――父さん、母さん! どうしたの!? 答えてよ……――
リルの叫びはただただ虚空へ響くだけだった。
彼はそんな状況を理解すると、ある一つの感情が沸きおこるのを感じた。「憎しみ」だ。そして、彼は憎しみしか知らない機械へと成り果てた。
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