第13話 モテ男と天才という名の変人と
そして1Aの教室に入ると女子に
「手紙受け取ってもらいました?」
「はい、受け取りましたよ」
女子とはわからないものでこのようにあの男子が一言ひとこと言葉を発するたびにキャーキャーと騒いでいる。まるで男性アイドルとファンを連想させる。
もうすでに隣に座っていた湯川さんが話しかけてきた。
「黒崎
「要するに金持ちの御曹司ということか」
「そうだ。そしてあの取り巻きは玉の輿を狙っているのだろう」
そういえば聞いたことがあるな。女子は金持ちのブスと貧乏なイケメンの選択肢の場合は大多数が金持ちを選ぶと。それを踏まえると確かにまあまあの顔に将来お金持ち、性格も良さそうと来ると群がる意味もわからなくない。
ただ、前提である金持ちを選ぶというのは理解できないがな。
「あの競争率で媚を売りまくればなんとかなると思っているとは。同じ女として恥ずかしい。気持ちはわからなくでもないが」
「やっぱり女はあいつらの気持ちがわかるのか」
お金を目当てに言い寄られている黒崎くんが哀れだな、と少し暗い気持ちでいるとそれを一瞬の内で忘れ去せられるようなことが起こった。
「ああ、
「やっほー!!わたしは神埼
非常に不快にさせる登場の仕方をしておきながら今現在、「フッ」と言いながら人を非常に不愉快にさせるドヤ顔をこの女はしていた。
そしてなぜか白衣を着ており黒縁メガネを掛けている。顔は整ってはいるのでこの性格がもったいないと思うぐらいだ。
「君、ファンタジーブレイクの素質があるね」
あの女の顔を見ていたらいきなり指を指された。そんな素質がある自覚は一切ないので俺かどうかを指で確認するとグッジョブと親指を出された。
こいつも元気キャラなのだろうか。俺はそのキャラは津田さんでお腹一杯だ。勘弁して欲しい。
「文芸部に入らないか?」
「入っていますが」
「これは運命かもしれない」
やたら大げさに身振り手振りを交えながら大げさにあの女はそう言った。俺の方はため息を吐いた。そしてこれで確定したと思う。俺が文芸部で平穏なラブコメ生活は送れないことが。
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