登校初日と、食堂イベント
俺は、朝飯はご飯派だ。朝はやっぱり米を食わないと、一日調子が狂う。
とは言え、米だけだとそれはそれで寂しいんで、今日の朝飯は『おにぎり・豚汁・玉子焼き』だ。ちなみに豚汁は夜、カレーにリメイクする。
「「「いただきますっ」」」
今までは俺一人だったが、今日からは一茶・奏水・真白も一緒に食べることになった。
……どうして、こうなったのか。それは、昨日の夕方に遡る。
あの後、俺は腐男子と可愛いの――一茶と奏水に自己紹介をした。それから下の名前呼びは苦手なことを伝えると、真白の時みたいに話は丸く収まった。
俺が言うのも何だけど、二人とも寮長同様出来た人間だよな。まあ、ホスト担任が出来てないとも言うけど。
「谷君は右、使って」
一茶達の部屋の移動は、寮長の指示で昨日のうちに終わっていた。
そんな訳で用意されていた俺の部屋は、パーテーションじゃなく壁とドアでしっかり仕切られていて。しかもドアは、中から鍵をかけることも可能だった。
(プライバシー? それとも、貞操を守る為か?)
なんて笑えないことを考えつつ、荷物の整理をしていたら一茶から声がかけられた。
「晩御飯、サンドイッチで足りる?」
「作ったのか?」
「ハズレ。俺に、オカン属性はないよ」
何でも一茶と奏水は、顔重視の傾向があるこの学校で、結構人気があるらしく。昼は学食に(一茶の萌え探しの為に)行くが、朝晩はコンビニで買ってるらしい。
「と言う訳で、俺から谷君に転入祝いね」
「……特待生って、コンビニでの買い物もタダか?」
「えっ? あ、うん、そうだけど?」
「なら俺、明日から朝晩作るから、ついでにお前のも作ってやる」
「えぇっ!? 平凡で小柄で料理もするなんて、どれだけ萌えキャラなの!?」
「そうか、お前は飯いらないんだな」
「申し訳ありませんでしたっ」
途端に土下座する一茶を見て、俺は「金持ちなのにケチなのか、無茶苦茶ノリが良いのか」と考えた――うん、多分後者だな。
奏水もだけど、真白も料理を作ったことがないらしい。だから二人にも、朝晩俺が作ることを提案したら大喜びされた。
俺としては(タダとは言え)出来合いばっかりだと飽きるからなんだけど――これが、金持ちと庶民の違いかね?
その後、一茶に教えて貰った(目立つから連れては行かなかった)コンビニは、ほぼスーパーで。生徒や教師が利用するそうだ。
そこで野菜や米、あと肉を買って今朝に至る。庶民の飯で大丈夫かと思ったけど、三人ともあっという間に完食したんで問題なさそうだ。
それにしてもネット環境にキッチン、テレビに洗濯機――ここは、マンスリーマンションか? 金持ちは、ガキの頃から恵まれてるんだな。
一茶達は最初、職員室まで案内するって言ってくれた。
断ったのは俺だ。二人と登校したら、教室でのお約束(妙にハードルを上げられ、勝手に幻滅して文句を言われる)が実現しないかもしれない。そう一茶に言うと「ありがとう、心の友よっ!」とひどく感動された。
……と、そう言えば。
「一茶って昨日の、変態と真白がキスしたの見てないんだよな?」
「授業中だったからね。小説みたいに朝、来てくれるんだったら絶対待ち伏せたけどっ」
拳を握って力説する一茶を放置し、ブレザーを着ながらふむ、と俺は考えた。
王道展開だと、腐男子は転校生の出迎えイベントをしっかりチェックしてる。
授業免除があるのは生徒会&風紀委員、あと学年三位までの成績優秀者で。昼過ぎってイレギュラーだったから、来れなかったって考え方も勿論、出来るけど。
(もしかしたら……もう一人くらい、腐男子いるかもな)
※
他の生徒達が登校した頃、俺と真白も寮を出た。そして一階にある職員室へ、昨日のホスト担任のところへ行った。
「おはようございます」
「おはよう、橙司!」
「よう、真白……と、谷」
思いっきりおまけ対応、ありがとうございます。ここまで露骨だと、逆に執念を感じ……ないな。うん、ないないない。執念を持たれる、理由がないからな。
そう結論を出したところで、チャイムが鳴る。
席を立った担任の後に、俺と真白はついて行った。一年は三階、二年は二階、そして三年は一階を利用している。そんな訳で俺達は階段を登り、やがてSクラスへと到着した。
「ここで待ってろ。俺が呼んだら、入って来い」
そう言って、担任が教室に入った途端に生徒達から声が上がる。
「先生、今日も素敵です。抱いて下さい!」
「抱かせろーっ」
「ホストー」
……黄土色(甲高い声と野太い声だかららしい、納得)の歓声の中、とりあえず最後のが一茶なのは(知ってる声だし)解ったけど。
百歩譲って、最初のはともかく――いや、駄目だな。毎日コレとか、はっきり言って学級崩壊だろ?
「うるせぇぞ。馬鹿の一つ覚えのこと言っても、ガキは相手にしねぇし俺はバリタチ。あと柏原、何度も言うが誰がホストだ」
そして担任。まずは、騒ぎ自体を止めろ。
「今日は、転校生を紹介する」
「えっ、可愛い? 格好良い?」
「さあな……よし、転校生。入って来い」
俺が脳内でツッコミを入れまくっている間に、お約束なハードル上げは終了していた。まだ見ぬ同級生諸君、君達の関心はやっぱり顔なんだね。
やれやれ、と思ったところで――俺は、真白が何かを考えるように俯いたことに気がついた。
(……出るのか? お約束のアレが)
俺と真白が教室に入った途端、教室の中がざわめいた。
「何、アレ。キモい」
「根暗と平凡かよ。つまんねー」
「最低ー」
口々にそう言ってる同級生達は、Sクラスなだけあって顔『は』良かった。
まあ、金持ちだからな。国王とか、戦国武将とかに美形が多いのと同じ理由だけど、どんな美女とも結婚出来るから。美形遺伝子入れまくりって訳。
「北見真白、よろしく……は、しなくていいぞ。見た目だけで判断とか、冗談じゃない」
「なっ……!?」
「酷いっ」
「ふざけるなよ、毬藻!」
真白の男前発言に、教室中が怒声を上げる中。
「谷です、よろしくお願いします」
俺は、自己紹介(苗字だけ)を済ませた。どうせ、一茶と奏水以外は聞いてないしな。
俺と真白の席は、窓際の列の後ろに二つ用意されていた。
同級生達が出す足(真白を転ばせようとして)は全部、当人に容赦なく踏まれ。痛みに悶える面々の横を、俺は無言で歩いていった。
「ご褒美、ありがとうございます!」
「一茶、ニヤけ過ぎ……改めて、今日からよろしくね」
俺の隣は一茶、そして真白の隣は奏水で。二人が俺達に声をかけてきた途端、またブーイングが起こった。
「嘘、柏原様と杜様が声をかけるなんて!」
「何て、身の程知らずなの!?」
「お二人が穢れる!」
……俺達は、病原菌か何かか? 真白は気にしてないみたいだし、俺も(予想はしてたんで)気にならないけど、初日からコレだと大抵の奴は心が折れると思う。岡田さんや理事長がフォローを申し出るのも、納得だ。
と言うか、人気があるって聞いてたけど様付けされてるってことはこいつら、親衛隊持ちか?
「うん、チワワちゃん達可愛いからね。可愛いはジャスティス!」
目線で一茶に問いかけると、爽やか笑顔でそう答えられた。はいはい、腐男子腐男子。
あ、チワワって言うのは親衛隊――美形ファンクラブに多くいるタイプのこと。小さくて可愛いからそう言われるらしいけど、小型犬ってキャンキャン煩いから。そう言う意味でも、納得だよな。
「ゴメンね、真白。谷君」
一方、ツッコミにキレはあるけど奏水はまともだった。
「気にすんなよ、奏水! なっ、谷っ」
「ああ」
「SHR(ショートホームルーム)は、以上」
謝ってくる奏水に元気良く真白が答え、俺に同意を求めてくる。
それに頷いた途端、またブーイングが起こるかと思ったけど――それを制するみたいに担任が言い、チャイムが鳴ったんで不発に終わった。
教室を出て行く担任を見て、俺はふとあることに気づく。
(……そう言えば)
俺達を呼んだ時、担任は真白を名前呼びしなかった。ホストだけど、多少は空気読むのかね。
そこで考えるのを止めると、俺は教科書を取り出した――テストは(騙し討ちで)受けたけど、授業は久々だ。金持ち学校の授業って、どんな感じなんだろうな。
結果として、授業はどれも解りやすかった。そして、個性派は担任だけかと思ったら、皆平均以上の容姿とキャラを持っていた。
(あれだな。学校って言うより、塾の講師?)
人気があれば生徒が集まり、生徒が集まると金が集まるって図式だ。成程なと思ってると、一茶が嬉々として言った。
「いざ行かん、王道学園の食堂へ!」
「一茶っ……あの、大丈夫?」
食堂イベント(食堂で王道君が生徒会と遭遇し、落とす)を期待する一茶に対して、奏水は心配そうに尋ねてくる。確かに、こうして話してるだけでもクラス中の視線が刺さってくるからな。
「気にすんなよ! オレ達、友達だろ?」
モジャモジャ頭と瓶底眼鏡でも隠しきれない、満面の笑顔で真白が言った。どこまでも清々しいな。
(何で、変装してるんだろ?)
少ししか見てないけど、変態とは初対面って感じだった。だから、正体を隠す為じゃなさそうだ。
(桃香さんの見立てと、あと王道ストーリー的には美少年の筈)
日本人離れした色彩でも、この美形至上主義(一茶が腐を隠してないのが証拠だ)の学校だと問題なさそうだけど――そう思いながらも、真白の言葉に頷いて見せる。
「……ありがとう」
そんな俺達、と言うより真白に対して、奏水は嬉しそうに笑って礼を言った――その瞬間をスマホで撮った一茶は、つくづく萌えに忠実だな。
「ちょっと、一茶! 何、堂々と盗撮してるの!?」
「人聞きの悪い……これは、俺の心のアルバムに残す為の」
「心じゃなくて、スマホだよね!?」
当然、怒った(まあ、照れ隠しだろうけど)奏水に消すように言われているのをBGМに、俺達は食堂へと向かった。
※
食堂は、校舎一階――に繋がってはいるけど、別棟になるらしい。そして一茶曰く、食堂と言う名のレストランらしい。うん、どこまでも王道だ。
「はい、奏水……真白と谷君は、耳栓使う?」
「えっ、何で?」
入口らしきドア、その前に立ったところで一茶が耳栓を渡してきた。
慣れた様子で、受け取った耳栓をつける奏水に対し、真白は首を傾げてる。
教室で、担任に向けられた歓声――あれの全校版って考えると、確かに耳栓は必要だけど。
「俺はいい」
「オ、オレもっ」
最初くらいは体験しておこうと思った俺に、訳が解らないながらも真白が従う。まあ、百聞は一見にしかずだからな。
「じゃあ、行こうか」
そう言って、耳栓をした一茶がドアを開けた。
「「「キャーッ!!」」」
「「「ウォーッ!!」」」
「っ!」
「うわっ!?」
途端に聞こえた声が思った以上にデカくて、俺はたまらず耳を塞いだ。隣では、同様に耳を塞いでる真白が何事かとキョロキョロしている。
「柏原様、今日もカッコ良い!」
「爽やかな笑顔が眩しいっ」
「杜様、マジ可愛い!」
「抱きてぇっ」
それぞれの想いをぶつけてくる生徒達に、一茶は笑顔で奏水は無表情で応えていた。まあ、内容的に奏水の反応は仕方ないよな。
「何、あいつら」
「平凡と根暗のくせに、麗しいお二人と一緒にいるなんて」
「引っ込め! 身の程を弁えなさいよねっ」
そして俺達二人には、主にチワワからと思われる罵声が浴びせられた。
って言うか、声も台詞も解ってても全く男だと思えない。書く時は、いっそ女のつもりで書いた方がいいのかな?
そこまで考えて、俺はチラッと真白を見た。
今朝と違って静かなのは、反論すると余計に煩くなるからかな。うん、その真っ直さと(敬語は下手だけど)馬鹿じゃない辺り、本当に理想の主人公キャラだ。
「なぁ、食券とか買わねぇの?」
結局、真白が口を開いたのは一茶達と同じテーブルについた時だった。離れろって言われても、本人達からでなきゃ従う義理はない。
「これこそ、王道のタッチパネル! 各席にあるこの機械で注文して、カードをかざして清算すれば、ウェイターさんが運んで来てくれるのさっ」
「何で一茶が言うと、合ってても胡散臭く聞こえるのかな」
「酷っ」
嬉々として機械を掲げる一茶に、奏水がツッコミを入れた。うん、通常運行に戻って何より。
「オレ、オムライス!」
俺同様にメニューを見ていた真白が、裏切らないチョイス(王道転校生はほぼオムライスを選ぶ)をする。
「僕はカルボナーラかな」
「俺は、ハンバーグと……谷君は?」
「モツ煮込み定食」
真白は一茶に教わり、そして二人は慣れた様子で注文していったが――俺が注文したところで、三人の視線が集中した。
いや、だってあるんだよ、メニューに。
「……本当だ」
「今まで、気がつかなかったよ」
「カッコいーな。よし、オレも」
「却下! 真白はオムライスに決まってるのっ」
メニューを示すと、一同は納得してくれた。そして興味津々の真白は一茶に止められ、俺は『今度』一口やると約束した。
……だって、キスしてモツの味したら嫌だろ? それは一茶も賛成らしく、こっそりと拝まれた。
しばらく待ってたら、無駄に顔の良いウェイターが四人分の昼飯を運んで来てくれた。
「ありがとな!」
「……いえ」
真白が礼を言うとウェイターは軽く目を見張り、次いで微笑んだ。
王道展開(他の生徒が言わないお礼を言って好感度アップ)に、一茶が目をキラッキラさせてる。確かに、マナーとしては周りの方が正しいけど――お互いが気持ち良くやり取り出来てるなら、まあ、ありじゃないかな。
「「「キャアァアーッ!!」」」
「「「ウォオォオーッ!!」」」
そして、俺達がそれぞれ昼飯を食べ出すと――不意にさっき以上の歓声が上がり、一茶がスマートフォンを構えた。うん、俺としてはこの騒音の方がマナー違反だ。
(生徒会のお出ましか……それにしても美味いな、このモツ)
つい、トロトロでピリ辛加減の絶妙なモツ煮込み定食に、意識が向いたのは許して欲しい。
「生徒会の皆様よーっ」
「紅河(こうが)様、今日も素敵です!」
「紫苑(しおん)様、何て麗しいっ」
「緑野(ろくや)様、好きでーす!」
「沙黄(さき)様、抱いて下さーいっ」
「空青(あお)様、海青(みお)様可愛いー!」
……居合わせた面々が、生徒会の紹介をしてくれた。アピールの結果だけど、モブキャラみたいだなおい。
ちなみに、生徒会の中にはやっぱりあの変態眼鏡がいた。そして、騒ぎにポカンとする真白を見つけると、笑顔でこっちに駆け寄ってきた。
「真白、会いたかったですっ」
「ゲッ、副会長……って、ちょっ!?」
「水臭いですよ。僕のことは、紫苑と呼んで下さい」
変態、改め副会長の作り笑いじゃない笑顔。更に抱き着いての名前呼び発言に、場の空気が一気に殺気立った。
「何、あの毛玉!?」
「引っ込め!」
「紫苑様をたぶらかして、汚らわしいっ」
いやいや、好きなのは嫌でも(あれだけ騒いでたらな)解るけど、心も視野も狭すぎ。どう見ても、惚れ込んでるのは副会長だし。
「神丘(かみおか)先ぱ「紫苑です」」
「紫苑せ「紫苑です」」
「……紫苑?」
「はいっ!」
そして真白、確かに相手もしつこいけどそこは負けるな。いや、まあ、王道的には(一茶も興奮してるし)ありなんだろうけど。
それにしても副会長、会うのは二回目だけど真白とのやり取りを見た限り、王道な腹黒副会長だった筈なのに。黒髪眼鏡な美人(男だけど)が、毬藻にデレまくりとか。そりゃあ、周りも驚くよな。
「何だ。紫苑が気に入ったって言うから、どんな奴かと思ったら……根暗かよ」
黙々と定食を食べながらそう思っていたら、つまらなそうな声がした。途端に罵声がピタリと止んで、ちょっと驚いた。
長めの黒髪と、アーモンド型の目。口きいただけで周りの注目浴びまくりとか、これが俺様会長のカリスマか。
「そうやって、人を見た目で判断する奴よりマシだ」
一方、真白は相変わらず、全く相手に呑まれることも態度が変わることもなかった。そんな真白に、会長が軽く目を見張る。
「「見た目で判断しないなら、僕達のことも解るよね?」」
そんな二人の会話力に、ボーイソプラノの二重奏が割り込んできた。
「僕は、庶務の長城(ながき)空青」
「僕は、庶務の長城海青」
「「どっちが、どっちでしょう?」」
色素の薄い髪と瞳。そっくり同じ顔の二人が、名乗った途端にクルクルクルッと回ったかと思うと、さっきと同じ二重奏で真白に尋ねた。
成程、これが王道学園物でお馴染みの、双子庶務(役職は他になる可能性あり)による双子見分けゲームか。顔もだけど、サラサラショートの髪型も声も格好(制服だからだけど)も、全く同じで区別がつかない。
だけど、真白は今回も裏切らなかった。
「どっちって……右が空青で、左が海青だろ?」
「「っ!? 」」
むしろ不思議そうに言った真白に、双子庶務が大きな目を更に見開く。
「「当たりだよ、すごいっ」」
「おわっ!」
それから副会長を押し退けると、双子庶務は真白に抱き着いた。よし、これであの二人も落ちたな。
その後も、真白のミラクル――又の名を王道展開が、俺の目の前でくり広げられた。
「……好き?」
「ん? おう、好きだぞオムライス。美味いよな」
「……解、る!?」
「お前の言ってること? あぁ、解るぞ……って!?」
短い黒髪。無口ワンコ書記の、小首を傾げながらの片言台詞を即座に解読したことで、腰にしがみつかれ。
「スゴいね、まぁちゃん……俺は、会計の高良(たから)沙黄。ねぇ、今夜俺とイイコトしない?」
「するか! そう言うのは、惚れた相手とするモンだっ」
「……じゃあ、君が俺のこと好きになればいいよね?」
明るい茶髪と軽い口調。チャラ男会計の夜のお誘いをキッパリと跳ね退けて、逆にやる気を出させ。
一連の快進撃を眺めていた会長が、面白そうに唇の端を上げて真白に近づいた。
「気に入った。俺様は、会長の最上(もがみ)紅河だ」
「オレは……ぅんっ!?」
そして会長は、胸倉を掴むように真白を立たせると、生徒達の前でその唇を塞いだ。
……あぁ、こいつも副会長と同じ変質者か。いや、王道的にはバ会長だな。
「何しやがるっ!」
そんな会長の鳩尾に、真白は容赦のない拳を叩き込み――食堂を飛び出して行った真白に、今まで以上の罵声が飛び交う中、完食した俺はこっそりと後を追った。
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