君は生きて~I will not forget about you~
夜神沙夜兎
プロローグ
「僕はもうすぐ消えるかもしれない…」
いきなり貴方がそう言い出した時、私は困惑した。
どうして?何で?
どうしてそんな事を言うの?って。
だけど、微塵も感じさせない程私は無表情だったと思う。
「何かあったの?」
「疲れたんだよ…」
「生きるのが?」
「そう…」
「ふーん、じゃあ、消えてどうするの?」
「分からない…」
振り返ってみればあの時の私は本当に冷めていたと思う。
彼の体は小刻みに震えていて、触れてしまったら壊れてしまいそうなくらい弱々しかったんだ。
もっと早く気づいていればあんな事にはならなかったんだろう。
私が未熟だったから、彼も色んな人も傷つけてしまった。
今となっては、どうしようもない事なんだけど。
過去ばかり見ていても前に進めない────。
じゃあさ、忘れろっていうの?
大切だった、あの時間を────────。
「僕さ」
「ん?なぁに?」
「君の事好きかもしれない」
「えっ、好きかもしれない?」
「まだよく分からないんだけど、君の事守りたいって思うんだ。」
「この感情がどういうものか今の僕には理解出来ない。でも、もしかしたらこれが"好き"って感情かもしれないって思ったんだ」
「ふーん?なら分かるまで傍にいてあげる」
「いいの?」
「いいに決まってんじゃん」
本当は私が貴方の傍にいたかったから。
傍にいれる口実が出来たって喜んでたっけ。
「今までありがとう────」
「貴方はどうか生きて────」
どうして、貴方を救ったつもりが逆に救われちゃったかな。
「大好きだよ、馬鹿」
崩れさる貴方に向かって私は言った────。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます