地下神殿の鍵、その2―伝説の続きと鍵の在処―

「あの伝説には、まだ続きがあるのだが、聞きたいか?」


 王は、リタ達に訪ねた。彼女達は、首を縦に振った。


 王の話では――


 各一族の代表者達が龍神に姿を変えてから一ヶ月後、族長や王達は、闇龍の邪念から龍魔族を守るため、代表者達が生前に持っていた武器を、《セイント・ウェポン》と名付けた。更に彼らは、それぞれの住処の外れに神殿を造り、それらの武器を飾った。それは、そうすれば闇龍を完全に封じることができるだろう、という葉龍族族長の案だった。――


ということらしい。


 リタ達は、王の長話を辛抱強く聴いていた。


(なるほど。これで少しだけど、闇龍のことがわかってきたぞ。多分キアとアルエスに、何か深い関係があるんだ。とにかく、セイント・ウェポンを手に入れて、キア達の鼻を折ってやらなきゃ、腹の虫が治まらない!)


 ヨゼフは王の話を聴きながら、キア達と闇龍の関係性について、想像していた。また、彼は魔道族に対して、闘志を燃やしている。


「ヨゼフ、今からそんなに張り切ってると、いざって時に力を発揮できなくなるよ」


 リタはヨゼフに忠告した。


 その時、ランディー王はふと、あることを思い出した。彼が思い出したこととは、ジオにある物を預けていたことだった。そこへ、偶然ジオがリタ達の所に来た。


「お二人とも、何をそんなに、真剣に考えていらっしゃるのですか?」


「ジオよ。九年前、お前にある物を預けたはずだが」


「はぁ……。確かに、あの鍵は預かっていますが……。それが、どうかしましたか?」


 王とジオは、鍵の有無またはその在処について話し合っている。最も、リタ達にはその鍵が何の鍵なのかは、見当もつかなかったが。


「リタ、ヨゼフ、ナンシー。先程話した神殿のことだが……。実はこのサファイア・パレスこと砂龍城の地下にも一つ、神殿がある」


「そ、それは本当ですか、父上?」


「そんな重要なこと、もっと早く教えて下さいよ。二人で勿体ぶったりして」


「そうとわかれば、話は早いね。ジオ、神殿入り口付近まで案内してよ」


「そ、それが……」


 ジオは、返答に困った。というのは、鍵をどこにしまったのか、はっきりと思い出せないからだ。


「どうした?」


「あ、いえ、何でもありませんわ。とにかく、鍵を探しましょう。神殿入り口付近までご案内するのは、それからです」


 そう言うとジオは、顔を真っ赤にして、謁見の間を出た。

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