第9話

 その日の深夜、僕は彼女の家に行った。大量の花の種と小さなスコップを持って。

 僕は、彼女の庭に一粒ずつ丁寧に種を植えて行った。

 彼女の家の隣には、頭の固い国会議員の家がある。その隣には、人々が通う図書館がある。そんな距離の中で、人間たちはエゴというコミュニティを形成してゆく。そしてそれこそが、最終的には世界になるのだ。

 グサッ。突然、とても大きなが僕を貫いた。それは、恐らく、ナイフだった。振り向くと、そこには彼女の母親の姿があった。驚く暇もなく、僕は地面に崩れ落ちた。そして、死んだ。

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