第34話 スキルお試し

 やはりというかなんというか、服屋で何着も試着をして〜を繰り返した。今回は前回よりも短かったような気もするからいいけどさ……。いや、よくはないんだけど。


 まあ色々買ったよね。僕には必要ないと思うけど、ポーションとかの回復薬や魔法道具作製のための材料等。役立ちそうな物とか色々作りたいからね。


 途中、奴隷商なんて所があった。この世界奴隷制度があったんだね。王都で全くと言っていいほど見なかったし、アンヨドでも見なかったからないと思ってた。ま、僕達には必要ないだろうけどね。


 ある程度の買い物を済ませて、陽が沈んできたので宿に戻ったら僕達が1番最後だったようだ。服屋が長かったからだろうね。うん。


「どうだったよ、デートは」


 はぁ……。無性に隼人を殴りたくなった。


「で、デートだなんてそんな……」


 はぁ……。ミアは照れるし。


「デートじゃないから。それに僕はミアと付き合ってないから」


「あれ?そうなのか?ミアさんの反応を見るに付き合ってると思ってたんだが」


 そうなんだよなぁ。その反応がずっと気になってたんだよ。こっちへの好意が最初から高かった気もするし。


「え?私達付き合ってなかったんですか!?」


 え?なんでそうなるの?


「ミアの中ではなんで付き合ってる事になってるの?」


「え?だって何回も私を抱っこしてくれたじゃないですか!1回だけ違いましたけど」


 え?お姫様抱っこが原因なの?


「確かにしてたけど、それが関係あるの?」


「はい!大ありです!あれって結婚の最後にする儀式なんです!だからミアは結婚はまだ早いから付き合ってっていう事かと思ってたんですけど」


 お姫様抱っこにそんな秘密が!けど、こっちにはそんな意図なかったんだよなぁ。どうしよう。


「これは……鉄、付き合うしかないな!」


 グッと親指を立てて肩を掴んでくる。他人事だからってそんな気楽な……。


「そうです!付き合ってください!」


 ミア本人もか……。はぁ……。ま、帰る方法が分かっても帰るつもりはなかったわけだし、いいか。


「わかったよ…。僕でよければ付き合うよ」


「本当ですか!?嬉しいです!これからもよろしくお願いします!」


「うん、よろしくね」


 何かプレゼントでもあげなきゃいけないかな。後で女子メンバーに何か聞くか……。




「それで、使い心地とかどうだった?」


 雷纒バッジの事を聞いてみる。あれももっと改良の余地あると思ってるからね。


「うーん、どこに付けてもちゃんと発動するし結構使い勝手はいいと思うな」


「そうね。動きも使う前よりだいぶ速くなるし」


「欠点とかは?」


「魔力消費が多いなって思うよ」


「だな。あれ使うだけでかなり魔力食うから、今の所は最後のとっておきになるくらいだ。常時使おうとは思えないな」


 ふむ。魔力消費量かぁ。そこは回路弄るしかないな。頑張ってみるか。


「そっか。ありがとう。参考にするよ」


「礼を言うのはこっちだっての。あんな良い装備なかなか手に入らないからな。まじ鉄に頼んで正解だったわ」


「ならいいんだけどね」


「テツ君は魔法道具作製を仕事にしていくんですか?」


「うーん、そのつもりはないかなぁ。みんなが死なないように、強くなれるようにって思って作る事決めたわけだし」


「そうですか〜。テツ君なら良い職人さんになれると思ったんですけど……。でもテツ君がやりたい仕事が1番ですね。私はそれを支えるだけですから!」


「ああ、はいはい」


 あぁ……。やばいかなりめんどくさい。早く切り上げよう。


「僕この後やる事あるから、みんなじゃあね」


 部屋から出て行こうとする。実際本当にやる事あるしね。


「おいおい、鉄。男女別で部屋とってて今使ってるのは男子の部屋だぞ?いったい何処へ行こうってんだ?」


 くっ……。隼人め。余計な事を……。


「まあ、ちょっとね。大丈夫だよ。危ない事はしないし、1人でダンジョンに行くってわけでもないからさ」


 うん、平原行こう。夜に出る魔物もいるかもしれないから。そこで実験も兼ねればいい。


「ちっ……。ま、いいか。おう、んじゃなー」


 何がちっだよ。ったく。いじりやがって。はぁ。

 それじゃ、やるか。まずはあの暗闇か。どうなってるんだろうか。試しに1つ出してみる。中を覗いてみてもなーんも見えない。亜空間みたいな感じになってるのかな。

 雷纒を放ってみる。うん、吸われるな。って返ってきたし。いてっ。ダメージあるのか。もう1つ暗闇出してみて放ってみると違う暗闇から出てきた。


 ふむ。1つだけだと同じのから、2つだと違うのから出てくるのか。3つだとどうなるんだろうって思って出そうとしたら出なかった。なぜだ。何か理由があるのかね。ちなみに暗闇に鑑定しても闇としか出なかった。


 まあ気を取り直して次は黒球だ。透明球を使ったから大体はわかる。『黒球生成』で10個ほど出してみる。大きさは全てバラバラにしてみた。最小でパチンコ玉くらい、最大で拳大くらいのサイズまでしか出せないみたいだ。

 で、この黒球、金属なんだよね。ということでだ。この黒球を使って武器を作ってみようと思うんだよね。『鍛冶』スキルがあるわけだし。



 炉と金床で頑張って作っていると魔物が寄ってくる。昼間よりも頻繁に。正直かなりうざい。自分に『隠蔽』かけても音で寄ってくるし。そんな時に役に立ったのが暗闇だった。ワープするみたいに暗闇に入ったら暗闇の中の空間で作業をする事が出来たからだ。この暗闇の中で、音や気配はないらしく魔物も寄ってこない。その分、魔力が大量に消費されていくが。魔力回復薬なんて物があるので飲んでみたが期待はずれだった。どうやら魔力の回復速度を速めるだけで、即時回復しないみたいだ。残念だ。


「ふぅぅぅ。出来たぁぁぁ」


 完成したのは、短剣2本、片手剣1本、大剣1本だ。うん、男子用だ。他にも一応色々作ってある。適当にだけど。だって仲原さんはスタッフを使ってるの知ってるけど、他は王女がなんか本持ってるくらいで武器がわからないんだもん。美智永さんの戦闘見たことないし、ミアは武器使わないから。だから作ろうにも作れない。


 自分専用で透明球でも短剣1本作ってみた。切れ味はかなり良い。で、武器にしたら『黒球操作』とかは働くのかと思って使ってみたらちゃんと働いた。剣が宙に浮く。これ、柄の部分思いっきり叩いて加速させたら面白そうだな。


 で、残った『浮遊』も試してみたんだけど、浮くだけだった。浮いたまま移動とか出来なかった。もしかしたら出来るのかもしれないけど、今の僕には無理。扱いづらいの多くて困っちゃうよまったく。


 ま、色々試せたしいいかな。帰ろうかな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る