真夜中の汽笛
ゆきお たがしら
第一部 第1話
わたしは、ミキ。
部屋の壁に、雑誌の付録にあったボードゲームを
ただ、ボードゲームとしては今までに見たことのない不思議な絵、ドクロや死神、大聖堂などがいっぱい
大きさはレジャーシートほどもあって、いつもなら
貼ってはいたのですが、わたしが気に入らないのはスタートの次のマスに
そんな壁を見ながら、天井もカーテンも、そして机の上に置いた写真や積み重ねたノートに本が、色を失って静かに闇の中に沈んで行く・・・、星が降ってくるような真夜中。眠れない私は、花柄の布団の中で“ただ、ただ”じっと待っています。
それは近くにある操車場で連結器が激しくぶつかり合う“ガタ~ン”という音や、聞く者の胸を締め付ける夜行列車のむせび泣く汽笛。そして、遠く海から聞こえてくる“ドドッ、ドドッ、ドドッ”とおなかの底まで響く船の低いエンジン音を聞くためでした。
どうして真夜中に聞く汽笛や船の音は、あんなに物悲しいのでしょうか。涙が、自然と浮かび上がってきます。理由はわたしにも分からないのですが、泣きながら少しづつ涙をながして眠りにつくのが大好きでした。
そうして、そのすべてがそろった夜には必ず不思議な夢を見ます。夢の中で、わたしはいつも男の子になっていました。男の子になったわたしは・・・。
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