247/Parody
ジョーが「紫の館」の最上階に踏み入ると、そこでは「再会」が待っていた。
ドーム状の「観測所」の中央に、古びた望遠鏡が設置されていた。ジョーは幼い頃に、スヴャトと一緒にこの望遠鏡を覗いて、「宇宙の果て」に想いを馳せていたのだ。
スヴャトという存在と、望遠鏡との「再会」は、「過去」との接続を意味すると同時に、「未来」の選択が迫ってきていることを意味していた。この時間、この場所が「境界」なのだ。
大人になりかけの年齢に達した今、ジョーは今一度この望遠鏡で「観る」という行為を行わなくてはならない。
何を?
全てを、である。
弓村の「
その時、右手首に巻きつけていた姉から受け取ったチェーンが淡い光を発し始めた。
光の先。無彩限のストラップの先の鍵を改めて見やると、短く、小さな文字列が刻み込まれていることに気づく。
――Life…
誰が記した文字列なのかは分からない。
ジョーがその言葉を詠み上げ始めると、鍵と望遠鏡が共鳴を始めた。
――is not…
これが、一九九九年の七月に一度だけ世界に出現したという、人類史上七つだけ観測されている『奇跡』の一つ。
――like a…
――Parody!
言葉が、光を放った。
現れた眩い光の色は、グラデーションを形成しながら変容を続けていく類のものだ。
一方で、分節されたバラバラの色が、同時に一つの全体でもある色。
――かくして、宮澤ジョーという存在は永遠の光に包まれながら、「縁起の
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