破滅世界のリベリオン

麒麟レイモンド

死神編

プロローグ:歴史

 632年前。世界は滅んだ。

 人間という生物以外、人工物、建造物、植物、動物は灰となった。

 残ったのは、真っ黒な大地と増えすぎてしまった人間だけ。

 誰もが世界を汚しきった人間への罰だと嘆いた。

 人間は必死に生きようともがいたが、食べ物も、飲み物も、娯楽も、何もない世界では人間なんて生きていられなかった。


 そして人間は絶滅した。


 500年前。世界は微かな再生を始めた。

 その真っ黒な、何もない大地に植物と動物と、大人の男女の人間が2人、突然生まれた。

 植物や動物は食料になりえた。しかし人間には知恵がなかった。動物を狩る武器も、植物を採る武器もなかった。


 そして神は最後の希望として力を与えた。


 495年前。世界に転機が訪れた。

 5年たってようやく、新たな人間が2人生まれた。

 その誕生により子供の作り方を学習した人間はさらに子供を作り、数を増やしていく。

 繁栄の過程で、後に『世界の創始者達』と呼ばれる6人が誕生する。


 そして最初の2人の子供は、段々と祀られていった。


 470年前。世界は元に戻ってきていた。

 一度絶滅した人間が、『記録』を残していた。それは、岩にあらゆる技術、知識、絶滅前の全てが記録された、膨大なものだった。

 新たな人間は『記録』を発見。『世界の創始者達』により解読され、文化を築いていく。

 その文化は、神の与えた力が無くては不可能なものだった。その力はいつしか『ハリアル』と呼ばれるようになる。


 そしてまた、人間による世界の支配が始まろうとしていた。


 300年前。世界は支配された。

 人間が多くの動物を家畜として管理し始め、植物すら管理しようとしていた。

 滅んだ世界の頃より、支配はひどかった。人間は絶滅してなお、いや、絶滅したからこそ、学習をしなかった。

 人間はグループ、軍、国を作り、それぞれがそれぞれの規律を生み出していった。 


 そしてこの頃から、人間同士の争いが、始まった。


 8年前。世界は割れた。

 何百年という時を経て、世界を支配してもなお、人間は支配に満足していなかった。

 グループがグループを、軍が軍を、国が国を支配しようとした。

 その結果、世界は割れ、3年にもわたる大戦争が起きた。


 そして世界は、『ヤジダルシア』『ヨリアス』『アミルフ』という三つの国へと、割れた。


 現在、ベルイン暦500年。世界が動こうとしていた。

 世界最大の国、ヤジダルシアは他の国を支配しようとしていた。

 世界最小の国、アミルフはヨリアスに助けを求めた。

 世界中間の国、ヨリアスはどちらにつこうか決めきれずにいた。

 

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