帰ってきた!
「蓮様!」
「つかさちゃん大丈夫か⁉」
ラウールさんは、あたし達が無事なのがわかるとヘタっと座り込んだ。
「おい、何がどうなってんだよ!」
勇治さんにガクガクと肩を揺すられる蓮。
「すまない。今、説明する」
「とにかく部屋へお入りください。そんなところではお話もできません」
ゆーぐが送ってくれたのは部屋に付属の露天風呂のとこ。お湯に落ちなくてよかったよ。
あたし達を部屋へ入れてくれたラウールさんは、なんだか泣きそうな顔をしてた。
そして聖樹ユグドラシルに呼ばれたこと、聖剣を手に入れたことを話すと、皆は大きく息を吐き出して力を抜いた。
「俺なんて眞生に言われて初めて気がついたくらいだ」
峠道を少し走った辺りで眞生さんが言ったそうだ。
「私も一瞬だけ魔力の波動を感じたような気はしましたが。眞生様は、お二人は移動したから部屋で待てとしか言われませんし」
ラウールさんは、もう少し話してくだされば、と後ろから見ているだけの眞生さんを睨んだ。
「あ、あの」
ラウールさん、すごく心配してくれてたんだな。けど……
「つかさ様?」
「心配かけてすみません。でもちゃんと帰ってきましたから、だから……」
「あー、こいつがしゃべんねえのが
話に割り込んできた勇治さんは、そう言って眞生さんを小突いた。
「それはそうと剣もらえたんだな」
「ああ」
蓮は勇治さんの言葉にうなずいて皆の前に刀を置いた。
刃の部分だけでも大分長い。改めて思ったけど、こんな長い刀見たことないし使えるのかな。
「このくらい刀身が長いのは大太刀って言われてる。難しいけどぎりぎり扱えるかな」
「へえ、剣術とか習ってたのか?」
「これでも勇者なんでね」
初めて聞いた。古武術を習ったりしてたんだそうだ。蓮ってば、なんでも話すタイプじゃないな。
「さすがに剣も体術もある程度はできないと勇者を名乗る意味がないから」
そう言って苦笑する蓮。
それはそうね。確かにこないだのゴブリン退治の時も剣の扱いは自然だなって感じがしたもの。
「とにかく武器は手に入った。この先も偵察を続けながら北へ向かう」
宣言するようにあたし達を見回して蓮が言った。
「それと、少し扱いを訓練したい。適当な場所を見つけてほしいんだが」
顔を向けた蓮に、ようやく通常に戻ってきたラウールさんがうなずいて見せる。
「でしたら聖樹様の里の先に少し大きな町があります。そこの郊外がよろしいかと」
別の町があるのかあ、どんなとこだろ。
「こっちだと、どの辺りになるんだ?」
勇治さんが言う。動画の撮影かな。今度はどこ行くんだろう。留守番隊としては楽しみだわ。
「つかさちゃんは
「どっちも行きましょう」
「即答かい」
勇治さん、それは絶対二択じゃないよ。あ、でも飲んだら運転できないしなあ。
「キャンプもいいかもな」
あ! それいい! バーベキュー的なやつ。地ビールと軍鶏で乾杯しよう!
そんでピザも焼こう。お店の自家製ピザは先に食べるでしょ。なら次は自分達で作るのが鉄板よね!
「勇治さん」
「どした?」
あたしは勇治さんの手を握る。
「食べましょう」
おいおい、と蓮の声が呆れたような感じに聞こえたけど……多分気のせいだと思う。
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