再び、アフリカへ
第24話
「それにしても、あの永井って学生はスゲェな。一日どころか、二時間そこらで俺は銃の名手になっちまったよ」
マリオンに向かう自衛隊機の中で、剛は凌介に、永井が射撃用に義手の調整を行ったときのことを興奮気味に話していた。
「誰でも名手になれるわけじゃないさ。的が何かを判断して銃口がぶれないように調整するのは義手がやるけど、もう一方の手でちゃんと的を追わないと判断はできないんだ」
「ほぅ、元々俺の腕がいいからでもあるわけか」
「まぁ、そういうことだよ。逆に言えば、この義手があっても手を抜いちゃダメなんだ。クレー射撃もやってみた?」
「ああ。百発百中だった」
「それならよかった。この義手のハイスピードカメラと専用チップがあれば、高速で動く的でも問題ないとは思っていたんだけどね」
「詳しい仕組みは分からんが、お前の想定通りだったってことだな」
「いや、うまく行ったのは、ほとんど永井君のおかげだけどね。調整に行った日も、彼は朝までプログラム書いてたんだぜ」
「マジかよ。全然そんな風には見えなかったぜ。最初はチャラい兄ちゃんだと思ってたが、大したヤツだよな」
「そうだよ。俺は見た目は分からんがね。アポロンの開発者からは『神プログラマー』って呼ばれているらしいぜ」
「神何とかってのはよく分からんが、とにかくスゲェってことなんだな」
凌介達はそんな会話を交わしながら、自衛隊機で一日を過ごし、翌日、マリオンの軍事基地に到着した。飛行機から出ると、土と枯草の混じったような独特の匂いがした。凌介にはその匂いが懐かしく感じられた。
——四年前は仕方なく連れて来られた場所だったが、今回は違う。俺には会わなきゃいけない人がいる。イルハン博士、小林社長、森田先生……
凌介は彼らの顔を思い浮かべながら、軍事基地の司令室がある建物へ向かった。
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