090_1430 常人以上超人未満たちの見事で無様な生き様ⅩⅩⅣ ~銀色の妖精~
浮遊に水素が使われておらず、ほぼ電気化されて化石燃料もないので、爆発炎上するようなことはない。
(これはもう…………諦めるしかないでありますね)
とはいえ、《
内部で炎上し、機器が破損。無線操縦でのダメージコントロールは不可能になり、墜落・撃沈は時間の問題となった。
(どうせなら、侵入している連中がなんとかしてくれればいいのに……)
侵入してきた特殊部隊に、やはり《
ともあれ、艦内にいる人員も守るしかない。《
そのために、本気を出す。
野依崎の脳内で圧縮保存されている
「《MCPQ.mcpq》production start.(《Military Control Program of Queendom/女王の軍事統制プログラム》 生産立ち上げ)」
だがこれだけは違う。拡張子そのものがファイル名となっている、この《魔法》だけは。
王族とは国家の象徴。
妖精の
《妖精の女王》の根幹は、理想の国を創り、外敵から
それをやりたければ最初からその数を用意しておけばいい。
それだけの数は多すぎ、ちょうどいい数を理解していない。
強大な彼女の
△▼△▼△▼△▼
煙を上げて高度を下げていた
すれば世界一巨大な飛行物体が分解される。中枢ゴンドラが消し飛び、艦を支えていた
夜の海に壮絶な水柱がいくつも立ち上る。自沈とするべきか、轟沈と観測するべきか、壮絶な光景が作られる。
しかし違う。中継となる艦載コンピュータと、無数の光点が宙に残る。
「は、はは……Seriously? (ウソだろ?)」
その数が尋常ではない。《
ただでさえ《
『《PIXY》from No.0000 to No.FFFF, Link completed.(《ピクシィ》0番から65535番まで接続完了)』
百では足りない。
千でも届かぬ。
万数えてようやく達する。
《
即席で新たに作られた
「《L》irradiation. (《自由電子レーザー発振器》照射)
《
ただし数百本の収束されたエネルギーの奔流だ。《
それらが第七艦隊所属艦艇と航空戦力を、安全に破壊する。爆発させることなく砲やミサイル部の機関部を溶接し、レーダーは完全破壊し、駆動部を破壊まで至らぬ異常を起こさせる。
「がっ!?」
たったひとりで、一度の攻撃で、戦況をひっくり返した。しかも手加減する余裕まである。
『だからお前とは、本気で競いたくなかったであります……』
多大な脳への負荷に毛細血管が破裂し、野依崎は血涙と鼻血を流しているが、それを気にせぬ風情で呟く。
侮辱と言っていいセリフだが、彼女の顔は悲しげで苦々しげに歪んでいる。勝ち誇るのとは真逆の感情で出てきたと知れる。
『Brethren. Don't be conceited. (同胞よ。
無制限で本気を出せば、彼女が勝ってしまうと、わかりきっていたから。
『I am a initial 《Sorcerer》s' daughter, as well as a his masterpiece.(自分は『初源の《魔法使い》』の娘にして、最高傑作)』
この誇りをさらけ出すことは、彼女の
ピノキオは、特別なのだ。
ゼペット爺さんが丹精込めて作り上げた、一点ものの芸術作品なのだ。
他人が容易に真似するどころか、上回るものを作れるわけがない。
(これが《
自明の理とも言える。
《
《
名づけに意図はないに違いないが、ふたりのコードネームが既に差を証明している。
男爵は何人も存在しうる。しかも一般的な五爵位では最下級だ。
対し女王は、ひとつの国に唯一、そして絶対。
同じ
「…………!」
しかし抵抗にもならない。《女王》を守る《妖精》たちが、死霊を凍らせ、爆散させる。
圧倒的な実力差を見せつけられる。
――攻撃力。制圧力だね。
(なんで……! ボクじゃなくて《
『お前が人であることを、殺戮で否定し続けるならば――』
《妖精》たちが配置を変えて、《
『――それを止めるのが、同胞たる自分の役目であります』
《
『《N》――(《核融合反応炉》)』
《
レーザー爆縮による核融合反応が起こるか不明だが、全周から放たれる高強度レーザーは回避も防御も不可能。《
『――SOP(工程開始)』
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