第24話 風呂の中で
ディアーナの風呂は最高だ。何しろ硫化泉だと聞く。温泉なのである。温泉に入れる学生寮なんてなかなか無い。
「ねぇ、香澄ちゃん。一体私は、何をしていたの?」香澄と一緒に風呂に浸かっている。この身体にも大分慣れていたと思ったんだが、あの時倒れてしまった。その後の記憶は全くない。俺は香澄に尋ねた。
「光莉が倒れていたから。心肺蘇生して救急車を呼んで、病院に運んでもらったんだ。そしたら、人格が変わってて。」
「そうだったのね。香澄。私が弱いばかりに辛いことさせて。」
「いや…ウチが悪かったよ…」香澄は泣いていた。
「香澄。大丈夫。私が居るから。」俺は気づかないまま香澄の口元にキスをしていた。いくら女の子だとは言え、香澄の中身は日野だ。それに俺自身も大好きな光莉だよ。こんなのを百合というんだろうな。
浴室には誰も居ない。香澄が何か言おうとしても、口が塞がってて消される。言いたいことは全て伝わる。
「何でだろ…女ぽくなっちまったな。泣いてしまうなんて。日野蓮司としての自分が消えていく。」香澄はそう言っていた。
「そういうもんじゃない?二日目の自分が言うのもあれだけど。人は段々変わってゆく。周りの環境に適応するためにね。ありがとう。香澄ちゃん。助けてくれて。」
香澄が身体を洗うということで浴槽から出た。
「身体洗おうか?」俺は香澄について行って、訊いた。
「恥ずかしいよ。もう高校生だから自分で出来るよ。」香澄は顔を紅潮させて返事をする。
「でも、まだ二日目でしょ。それにアレも分からなかったし。性の知識は小学生並みだもん。」
「うるさい!その…まぁ、自分には関係なかったから…」
「だから、私が洗ってあげようって言ってるの。少しは従いなさいよ。私の恩人さん。」 しまった。軽くツンデレ口調になっちゃったかも。
「分かったわよ。光莉に任せるよ。」香澄は遂に折れた。
身体を優しく洗ってあげる。姉妹が居なかった俺にとって女の子と一緒に風呂に入って身体を洗うという経験は無かった。
いい経験になった。しかも、性に疎い少女だ。魂は男でもそんな事は関係無い。恥ずかしそうに洗われるその姿に興奮する。
洗いながら、二の腕を揉んでみる。柔らかい。赤ちゃん並みではないが、男のそれよりは柔らかい。
「ちょっと、光莉。くすぐったいよ。」香澄は笑っていた。
可愛いなぁ。浮気しているつもりは無いが、香澄も香澄で良いところがある。
二人の風呂はまだ続く。
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