第16話 初登校

昨日は色々あったな。まさか、俺の剣の師匠が、医療法人の理事長だったなんて思わなかった。

今、フェリーに乗って海櫻女子高校に向かっている。

海櫻女子高校は、通称 海女かいじょと呼ばれており、ネット上では、海女高あまこうと馬鹿にされている。


昨日はあれから、新しい学校指定ステッカーの貼られた自転車を受け取り、乗ることとなった。話によると、自転車にもルナメタルが配合してあり、有事の際には移動手段となるらしい。バイクのような。

フェリーは川を下り、海櫻女子高校付近(とは言っても、2キロ離れているが)に船を停めた。

場所分かるかなぁ。不安だな。しかし、目の前を走る他の生徒は分かっているようだからついて行けばいいか。


「おはよう。鳳凰院さん。」

「おはよう。えぇと。誰だっけ?」

立花たちばなめぐみだよ。本当は鴨川涼介だけど。」

「鴨川か。宜しくな。でなんでお前も入れ替わってるんだよ。」


「こういうの興味あったんだよね。それに、日野の辻褄合わせに協力してくれと頼まれたからね。了承しちゃった。あぁ。勿論、月野君の辻褄合わせにも協力するよ。」

「あぁ。ありがとうな。じゃあ、行こうか。」


自転車を漕いで学校へ向かう。

どうやら、立花さんは道に慣れているようらしい。

「あの、恵ちゃん。大分慣れているようだけど、どうしたの?」

俺は、いやに慣れているから思わず聞いてしまった。

「あぁ。言ってなかったっけ?ここは私の庭みたいなものなのよ。鴨川家の親戚が経営してる私立高校なの。」


なんと!ここは鴨川家の親戚が経営している学校だったのか。

それは驚いたことである。

「そんな凄い家だったのか。涼介の家って。」日野は言った。

「いや、いたって普通の平民だよ。だけど、お父さんは母方の祖父母に泣きついて結婚を認めてもらったんだ。」

なんか凄い家庭だな。そう、俺は思ってしまった。

「もうそろそろ着くから、話すのやめよう。うちの学校は厳しいから。」

一列になって校門に入り、駐輪場に自転車を止める。

さぁ、いよいよ期待と不安が入り混じった女子高生活がスタートする。

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