文政あやかし怪奇譚

水無月六八

　この度（たび）、拙作（せっさく）『文政（ぶんせい）あやかし怪奇譚（かいきたん）』を目（め）にとめて頂（いただ）き眞（まこと）に有難（ありがと）うございます。

　本作（ほんさく）は2016年（ねん）から2017年（ねん）にかけて執筆（しっぴつ）・公開（こうかい）した作品（さくひん）ですが、2024年（ねん）1月（がつ）にカクヨムコン９に応募（おうぼ）するにあたって大幅（おおはば）な改稿（かいこう）を加（くわ）えました。

　登場（とうじょう）人物（じんぶつ）の名前（なまえ）・年齢（ねんれい）・体型（たいけい）などの設定（せってい）変更（へんこう）、時代（じだい）考証（こうしょう）の不備（ふび）等（とう）を発見（はっけん）した事（こと）による修正（しゅうせい）、また読（よ）みやすいようにと大幅（おおはば）な段落（だんらく）改定（かいてい）を行（おこな）いました。

　また、江戸（えど）時代（じだい）においては日常（にちじょう）用語（ようご）として使（つか）われていたものの、現代（げんだい）では差別語（さべつご）や放送（ほうそう）禁止（きんし）用語（ようご）になっている言葉（ことば）が時折（ときおり）文章（ぶんしょう）の中（なか）に挟（はさ）まれていますが、当時（とうじ）の江戸（えど）時代（じだい）の言葉遣（ことばづか）いを表現（ひょうげん）するためのやむを得（え）ない構成（こうせい）とのご理解（りかい）をお願（ねが）いいたします。差別語（さべつご）を現代（げんだい）において用（もち）いることは禁則（きんそく）です。

　時代（じだい）考証（こうしょう）に関（かん）しては、筆者（ひっしゃ）は精一杯（せいいっぱい）時代（じだい）背景（はいけい）に沿（そ）う描写（びょうしゃ）ができるように努力（どりょく）をいたしましたが、やはりどこかには誤（あやま）りがあると思（おも）われます。その誤（あやま）りで物語（ものがたり）においてリアリティや没入感（ぼつにゅうかん）を損（そこ）なわせる可能性（かのうせい）がありますが、それは筆者（ひっしゃ）の無知（むち）ゆえのものですので、どうかご容赦（ようしゃ）ください。

　なお、第（だい）四十七（しじゅうしち）幕（まく）にて品川（しながわ）の住民（じゅうみん）百人（ひゃくにん）以上（いじょう）が大波（おおなみ）をかぶり溺死（できし）したという場面（ばめん）がありますが、こちらは筆者（ひっしゃ）が調（しら）べた限（かぎ）りにおいて文政（ぶんせい）六年（ろくねん）の瓦版（かわらばん）による史実（しじつ）であり、水害（すいがい）被災者（ひさいしゃ）の方（かた）の心情（しんじょう）を害（がい）する意図（いと）はないということをご了承（りょうしょう）くださいますようお願（ねが）いいたします。