第37話
さて、台湾へ帰ると(台湾へも日本へも私は〝帰る〟)なると、必ず行う事はまだある。劉教授に会ったり、ほか数人の親友に会ったりも然りだが、忘れてならないのは、二胡の師匠に台湾滞在期間をメールで知らせ、10日間なら2回はレッスンを受けたい、何とか時間を捻出してほしい、とお願いするのである。
元自宅マンションから徒歩5分の音楽教室で、私は二胡を習っていた。師匠の名は江清雄。1985年生まれの若き指導者だ。
二胡という楽器は、同じ弦楽器のバイオリンが各種サイズ揃っているのとは逆に、ワンサイズしかない。よって、指の長さや手の大きさがある一定基準に達しなければ物理的に弾けないのだ。
江老師は、ようやっと二胡が弾ける手になって間もなく、その中国民族楽器を習い始め、高校は音楽科、大学は教育大の音楽コースで専門を二胡とした。大学院でも二胡を中心に民族楽器を研究し、私を教えていた頃に修了した。卒業記念コンサートにわくわくして行った冬の夜が懐かしい。
私が門を叩いた音楽教室でなぜ江老師と会えたのかと言うと、彼が高校、大学、大学院と同級生だったフルート奏者の父上がそこのオーナーだったからだ。オーナーの娘であるフルートの朱老師ももちろん教室で教え、経営にも参加している。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます