第114話

今日(3月30日)は、心療内科医・石井先生の診察を受けるため、9:20頃出かけた。午後は仕事があるので、午前10時の予約を取ってあった。

それを念じていたおかげか、朝方の眠りが浅く、浅いまま、息苦しさのみに耐えて起きられた。


診療所の広さに比例して狭い待合室のライトグリーンの長椅子には6人くらいが座っていたが、基本的に予約者優先だからか、思ったほど待たずに名前を呼ばれた。

まずは、期待の星・リフレックス錠15g服用報告だった。2週間前、この新薬を処方された時は自信満々だった。これはイケるはず!だった。

「……体質に合わないんでしょうか、催眠剤なしでもこれだけでそこそこ眠れるんですが、なんか全身に違和感があるんです。いや、しんどいのはリフレックスを飲まない時も同じですが、こう…… しんどさが違うと言うか…… なんか、リフレックスを飲んだ日は人工的な苦痛で、飲まないこれまでの薬だけの日は病から来る自然な苦痛なんです。」

どうにかこうにか、先生に伝わる説明ができた。そして、先生とともに残念がり、

「申し訳ないけど、これはやってみないとわからんからなぁ〜」

と言われた。もちろん承知している。

私はひどい息苦しさがある上に、多くを語らねば、と早口でしゃべったために息切れしながらも、

「はい、結婚みたいなもんですね………」

と返し、先生を笑わせた。私は石井先生には何でも話せる。先生はとことん聞いてくれる。飄々とした先生には、冗談も気安く言える。実に有り難い医師と患者の関係である。


先生は、リフレックスを止め、服用歴のある薬のひとつの量を増やそうと決めた。そして、様子を見つつ、向こう2週間、それらの組み合わせをある程度変えてみる権限を私に与えた。


朝から続く胸の重苦しさが午後になっても全然治らず、アフタースクール指導員役は重労働に感じられた。約40分の外遊びに2回付き添い、軟式ソフトボールの球を投げ、拾いに数歩走っては息を荒くした。立っていられない時は、しゃがんでパワーをストックした。

室内でも、少し大きな声でしゃべると息切れし、一点を集中して見つめてパッと顔を起こすと天井が回った。

こういう日もあるのだ、と新発見だった。朝から症状が重いまま陽が落ちることはめったにないことなのだ。


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