第112話
浅田次郎は、羽田圭介の『スクラップ・アンド・ビルド』を挟んで『わが心のジェニファー』を読破したばかりだが、興味ある作家の本を市立図書館で見つけると空かさず借りる。その前は久々に平野啓一郎を読んだ。
『透明な迷宮』である。京大在学中のデビュー作であり、芥川賞受賞作『日蝕』でシビれてから、彼には注目している。その当時のインタビューで、彼は辞書を見るのが趣味みたいなもの、と答えていたのを覚えている。それゆえ、あの語彙力なのだろう。
長きにわたって、気に入った作家の作品ばかりをたて続けに読むことはなくなった。その方式をとったのは、25年ほど前の宮本輝と吉本ばななと村上春樹くらいだろうか。
作家小説ではないが、ある隔週刊誌で知った医師の池川明著『生まれた意味を知れば、人は一瞬で変われる』はよかった。親が子供を選ぶのではなく、子供が親を選んで生まれてくるのは聞いたことがあったが、この人は【胎内記憶】の研究を1999年から始めた、その道の先駆者である。
池上先生は、お母さんのお腹の中にいた時の記憶や、精子や卵子だった時の様子や、空の上からどのお母さんのところへ行くか決めて降りて来たことを覚えている子供たちの話を重んじ、さらに患者や幼児教室の協力を得て、アンケートも募った。学会でも発表し、マスコミ各社の取材を受けるようになってからは、膨大な資料が集まるようになったという。
これには惹き込まれ、楽しくあっという間に読んでしまった。
辞書の類や語学の参考書とか問題集は仕方ないが、よっぽどのことがない限り書籍は購入せず、図書館で借りる。お気に入りの雑誌も、定期購読手続きしておくと、毎週でもメールで「ご予約されている本が届いています」とメールで知らせてくれるし、市内のどの図書館にもない場合は、新規購入してもらえる。ちなみに池上先生の本は、私のリクエストで図書館に入ったもので、最初の読者が私だった。
書籍代はバカにならない。銘打って、節約ママの図書館第一主義(?)。
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