誕生日の約束

第1話

　９時を過ぎた。まだ、連絡が無い。タイから帰国したのかもわからない。帰国したならば、ただいまのメールぐらい送るだろう。

　何かあったのだろうか。タイへの出張中は、一度電話がかかってきた。メールの通信状況が悪いらしい。それでも、メールは毎日送った。

　あと、３０分だけ待とうと決めた。

　メールを受信した。

　「お誕生日おめでとう。良い１年になりますように。これからも仲良くしてください。誕生日を一緒に過ごせなくてごめんなさい。」

　「お祝いのメールをありがとうございます。待っていたのに会えないのは辛いとお伝えしたしました。会えないのは仕方がありません。食事の約束をキャンセルするなら、待つ前にキャンセルしていただきたかったです。せめて連絡が遅れてごめんの一言が欲しかったです。」

　メールは送らなかった。なぜ、返事が無いのか考えて欲しかった。もしかしたら、このまま２度とメールを送ることはないのかもしれないと思った。