#031 その時、天空帝国の大人たちは
♯星歴682年 10月 17日 午前7時25分
アゼリア市東区上空 天空揚陸艦パレイベル艦橋
帝都東区上空、水位が回復しつつある
そして、
ソニス
跳躍飛距離の予測数値は、
第七艦隊群の
しかし、陽炎の如く立ち上っていた黄金色の竜巻が、ふいに掻き消された。
「
明らかに異常終了と見られる転移魔法の中断――
慌ただしく怒号すら飛び交っていた艦橋だったが、さらに続いた
跳躍転移の
〈ランペル・シュルーペの
突然に、帝都内に跳躍転移の門が開くことなどあってはならない出来事だった。
さらに、その跳躍魔法に、就任したばかりの幼い
そして、異常な跳躍の中断……
「……何が、起きているの?」
ソニス
♯星歴682年 10月 17日 午前7時43分
アゼリア市中区
セオル
対応状況の時系列を整理していた巨大黒板へ、「7時43分 虚数跳躍転移魔法、中断」と白チョークで書いた。
そして、
「皆様、状況は新しい段階へ移りました。帝都内に
セオル
レアトゥール関門に待機中の
ならば、レアトゥール関門から
そして、最も高い速力を持つ天空第四艦隊群へは、艦船の分散配置を提案するとともに、
♯星歴682年 10月 17日 午前7時45分
水晶柱に
天空第四艦隊群から派遣された連絡役の
そのために、旗艦グルカントゥース以下、天空第四艦隊群の中核にあたる
幼い
それが突然の危機対応に走らされたおかげで、キャンセルになった。飲み明かすために帝都に舞い戻っていた第四、第七艦隊群の
もちろん酒房も良く心得ていて、今回の宴席のために取り寄せた珍しい銘柄の瓶については、預かっていてくれる。
だから、幼い
統合指揮所、第四艦隊群のテーブルには、ソニス
さらに、
「
「ユーフリア地方の各
転移
それから、次々と対応に追われた
「あと、
♯星歴682年 10月 17日 午前7時58分
アゼリア
ノイズ混じりの
「なんてことを……」
一昨日、愛娘の
主人であるバルク・イス・メートレイア
旗艦グルカントゥースは、もともと任命式の行われる
そう、幼い娘たちを安全な帝都に残し、夫婦で敵、
それなのに……
セオル
それでも帝国最強の
「天空第四艦隊群と連携します。よろしいですね」
セオル
♯星歴682年 10月 17日 午前8時05分
アゼリア
「うちの子と、テュー
妻から連絡を受けたメートレイア
「しかし、現在、我が第四艦隊群は敵
船橋には、旗艦グルカントゥース付きの
「いいえ、あなたなら、敵艦隊をぶち抜いてから、子供たちのお迎えに行っても間に合うでしょ? 後片付けは私が引き受けますから……」
妻である
メートレイア
メートレイア
「承知した。ひと仕事の後に子供たちのお迎えに行こう。後ろは任せる」
◇ ◇
旗艦グルカントゥース付き
船橋中央に新たな戦術プランの表示が立ち上がった。メートレイア
「これよりうちの娘たちを迎えに行く。その前に正面に展開中の
久しぶりの
「
そして従者役を務めていた少年に命じた。旗艦グルカントゥースの幼い
「ラティーナを起こしに行ってくれ……あと、寝ぼけているだろうから、コーヒー牛乳を暖めておくのだ」
少年は心配そうに表情を曇らせた。
天空第五艦隊群の
「あの、ラティーナ様は朝は弱いので……」
だが、メートレイア
「大丈夫だ。
――五分後、パジャマ姿の少女が素足のまま、旗艦グルカントゥースの船橋へ駆けてきた。そのまま
「あの、メートレイア様、ごっつんをやるって本当ですか!」
メートレイア
「本当だ。これより
ラティーナ・メル・カルシオンはまんまるの瞳を輝かせた。
♯星歴682年 10月 17日 午前8時40分
アゼリア
「まもなく、アゼリア
青い空には何も境界線なんてものはない。地図の上にだけ人工的な境界線が引かれているだけだった。しかし、
「天空第四艦隊群旗艦グルカントゥース、左舷を通過します。つづいて二番艦、
直後に天空第四艦隊群の艦船が巻き起こした乱気流が、レアルティアを揺さぶった。
「相変わらず、迷惑な飛び方ね、うちの人は……」
天空第四艦隊群の
帝都との連絡を担当していた通信担当の
「
「何事でしょうか?」
「実は……」
通信担当官は、微妙な笑いの混じる声で続けた。
そう、帝都からの問い合わせは、
「これは、かなり困難な案件ね――間に合うかしら……でも、あの子たちも頑張っているんだし、私も何とかするしかないわね」
「帝都帰還までには、何とか間に合わせますっ!」
実は……
テュー
ゆえに、テュー家の娘であるユカは、メートレイア
この事実を知っていたのは、レアルティア船内でも
しかし、完成させると宣言はしたものの、この段階では様々な忙しい出来事に翻弄されて、ぬいぐるみ製作の進捗は芳しくはなかった。綿を詰めて形になっているのは、うさぎさんの耳や、りすさんのしっぽだけだった。残りはまだ裏から縫い合わせている段階だった。間に合わせると言ったものの、
その陰では、
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