第九十〇話 魔導の塔と三体のゴーレム

「さて、どうしよう」

三体のゴーレムを目にした僕は、そう一言こぼした。

うーん、なかなか大変だぞ、今度は。

ぼくは、そう思っていた。


「今度は2体のゴーレムを僕が引き付けるということだよね」

と、考えを口に出した。


「たのむぜェ、ナオヤ」

と、ガルクが笑った。


「簡単に言ってくれるなぁ」

僕は、皮肉をこぼした。とはいえ、頼られている、という事でもあるので、なかなか嬉しかった。

この信用を、実績に変えないといけない。


はてさて、どうするか。

どうすれば、2体のゴーレムに、攻撃を与えて注意を引くことができるか、僕は考え始めていた。


「角度か。」

考えたことを、そのまま、つぶやいた。

スキマを狙って同時に当たる位置に攻撃するか、反射させて、両方に当てるか、になってくるだろう。


さっきのゴーレム一体の時に試した、ファイヤーバレットはゴーレムに、めり込んだので、反射させるのは現実的ではないだろう。ということは、同時に当てるだな。


「ファイヤー!!ウインド!!」

僕は詠唱し。両方の魔法を同時に出した。

そして、合成する。

ゴオオオとなる両腕。


「ファイヤーバレット!!」

オーラで合成した、炎の弾。

一番左にいるゴーレム目掛けて、炎の弾丸を発射した。


そして、命中した。


「グゴォォォォォォォ」

ダメージを受けたゴーレムが、うめきを上げている。

ゴーレムの右腕に当たり、煙を上げている。


「よしよし」

まずは、一体に向かって攻撃をした。このあと、もう一回、合成弾を使って、両方に向かって撃てばいい。

最初から、2体を狙って打つことも、できたかもしれないけれども、僕のスキルではこれが精一杯。


片方が、こちらに向かっていれば、一気に2体狙うことも可能。と、考えた。


「ナイス、なおやァ」

ガルクは、僕に向かって叫んだ。


「よし、いくわよ」

僕が引きつけている間に、ラクスが、一番右のゴーレムに攻撃を開始していた。ガルクとミコルちゃんが、それに続く。


「その間に、もう一体も、こっちに向けよう」

そういって、僕は詠唱を開始した。

一体は、こちらに向かっている。もう一体を、こちらに向けつつ、向かってきている1体にも、あちらに気を向けさせないようにしなくては。


「ファイヤーバレット!!」

向かってくる一番左のゴーレムの脇腹を、かすめつつ、真ん中のゴーレムに当たるように、炎の弾丸を放った。


「悪くない!!はず!!」

打った直後の弾道で、僕はそう判断した。


そう言った後、一番左のゴーレムの腹をかすめ。真ん中のゴーレムに的中した。


「やった!!」

僕は喜んだ。

その瞬間、となりの戦闘を確認した。


ラクスが、一番右のゴーレムに斬りかかる。

「オオオオオオオ」

そして、ガルクが、ゴーレムの腕を弾き飛ばす。

「エクスプロージョン」

ミコルちゃんが、爆発魔法で、ゴーレムを粉砕した。


「うまくいった。」

僕は、ほっとした。


「ナオヤ!まだ終わりじゃないわよ!!」

ラクスの声に、ハッとした。

そうだった。まだゴーレムは2体残っていた。

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