第四十二話 ラッキースケベ

「え?痛い!痛い!ミコルちゃんマジでやめて!」

僕はミコルちゃんにお願いした。


「やめないんだよ!!ジージにお願いされてたのだ!」

ふふん!とミコルちゃんは息を荒くして言う。


マジですか。これも修行のうちってことか。

いや、しかしこれはかなり過酷なんじゃないでしょうか。

これはどうしたらいいのだろう。


はっきり言って限界だ、右手でウォーターを出して、岩の重心を探して、落ちないようにギリギリの出力で岩をコントロールしている。

片手でなんとかやっているので、確かに、左手は空いているので、なんとか出来ないこともないような。


とは思うものの、いや、かなり難しいぞ。


ミコルちゃんは相変わらずピシピシと叩き続けてくる。

さすがに、魔法以外は普通の少女の攻撃力なので、

耐えられないほどじゃなかった。これがラクスだったら今頃死んでる。


「ミコルちゃん、痛い!痛い!」

「しょうがないんだよ!これも修行なんだよ!」


「ミコルちゃん!

「え、なにかなお兄ちゃん!」


「ヒントないの?ヒント?」

「え?」

さすがに、この余った腕でミコルちゃんを物理的に殴るっていうのは、ちょっとあれかなって思う。


「わかんないけど、ジージは魔法は使っていいって言ってたよ」

「なるほど」


これは、右手の修行と見せかけて、左手の修行ということっぽいな。


「ウォーター」

左手で小出力でミコルちゃんに放った!


「えへへへー、そんなの当たらないんだよ!おにいちゃん」

外した。そして、右手の出力も崩れる。


「ぬおぉぉおお」

岩が左に行く、それを修正するために左に強くする。

そうすると、また右に行く。それを防ぐために反対に。

いわゆる振動というやつだ。制御がうまくいかないとプルプルと発振してしまうのだ。


傘を手のひらで、持つときと一緒だ。

重心が離れてしまうので、それを抑えるために、かなり動かさなきゃいけなくなる。


「こりゃ大変だ。」

右手で大出力しつつ、左手でも出力しないと行けない。

これはなかなかしんどい修行だぞ。

ミコルちゃんもなかなか手強い。


振動が収まったら、ミコルちゃんがさっきより強い力で

こっちを攻撃しだした。


「痛い。痛い。やめてミコルちゃん」

左手でウォーターを二回出した。

一発目でミコルちゃんを避けさせて、二発目を避けたところに打った。

水浸しになったミコルちゃんは、服が透け始めていた。

「きゃーおにいちゃんのエッチ」

「え?」

本気で殴られた。これが、異世界に来てから初めてのラッキースケベだった。。。


「しまった!」

コントロールが狂って、岩が落ちてきた。

やばい、これはどうすることも出来ない。

ラッキースケベで死ぬ。。。


「ヤバイ」

そうおもった時に、声がした。


「ファイヤー」

遠くから声がして、岩は粉々になった。

大魔法使いだった。大魔法使いは影から修行の様子を見ていたようだった。


「やれやれ、今日はここまでのようじゃの」

大魔法使いはそう言った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る