第二十三話 三人の夕食

「ガルクは他にどんな魔法がつかえるの?」

ガルクの魔法は凄かった。己の魔力を全部火力に変えた。

獣の如き力を持った炎だった。

ほかにもガルクはそのような、魔法をつかえるのだろうか、

氷や炎、風と言った物も使いこなせるのだろうか

それから僕のようにワープなども出来るのだろうか。


「ファイヤーだけだなァ」

「あ、ファイヤーだけなの?」

「そうだ、悪いかァ」

ファイヤーだけだった。しかし、確かにコントロールが必要な、

他の魔法は、ガルクに向いてるとは思えない。

だから初日、

僕がろうそくに火をつけたことを驚いていたのだろう。


「いや、全然悪くないよ、思い切りがいいね」

ほんとうにそう思っていた。

ファイヤーは彼の戦い方に向いているし

激しい炎は彼を象徴するようなものだった。


「オレは、基本は戦士だからな。ファイヤーだけは派手で気持ちがいいから覚えたんだョ」

なかなか、潔い理由だ。でも、相性というものが、あるから

それが一番いいかもしれない。覚えたいことをやる、

やりたいことをやる、楽しいからやる。

理由はなんでもいい、時間をかけられることが才能なんだ。


派手な動きに派手な戦い方。それがガルクのやり方だ。

全く問題ない。

むしろ清々しいくらい。

やりたいことに素直になれることがどれだけの才能か。


人は、やりたくないことを、器用にやったって、たかが知れてる。

そんな天才プログラマーは一人だっていない。

好きで勝手にやるから、伸びる。それは多少の人の評価もあるが

それをうまく回してやっていくことが重要なんだ。


自分をコントロールすることはかなり難易度の高いことだ。

みんな言い訳をするようになる。

言い訳せずに自分の好きなことだけに

時間を使えることが幸せなことだと、僕は思っている。


やっぱり、僕は魔法もプログラムも好きだ。

おもしろい。不思議をたくさん知りたい。仕組みを解決したい。


僕にとってはそれが目的となり得るが

ガルクにとっては、気持よく戦いたいってことだ。

目標のために努力できていれば、目標は人それぞれであって良い。

なので、その目標のために、努力をしている、

ガルクはとてもいいと思う。


たぶんガルクにとって魔法を覚えるのは大変だったと思うが

好きなものに努力をする姿勢は素晴らしいものだ。


「ファイヤーはすぐ覚えられた?」

「いャ、かなり苦労したな。師匠にかなり怒られたぜェ」

「あはははは、そうなのか?」

「そうなのよ、ガルクはいつも師匠と喧嘩してたわ」

「おィ、ラクス!言うんじゃねェよ!」

「ほんと大変だったわねぇ、毎日毎日」

ラクスはほんとしょうが無いんだからという素振りでそう言った。

ほんとに大変だったのだろうな。と僕は思った。


「だから、言うなッて!!」

僕らは笑った。

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