極東平安邪神譚
しーの
第1話
京の都へ入る道には
古来より多くの人々が行き交う街道ではあるが、そこで往き来するモノは人だけではない。様々な物資や家畜らも流れ流れてはまた運ばれてゆく。それは何も
京から
その一つ。
とはいえど、いまは夏。
青々とした夏草が生い繁り、
そんな荒野を駆ける一つの騎影。いや、わずかに遅れて二騎が続く。三者三様ともの見事な
ふと先頭を行く騎馬が速度を落とす。何かを探すように頭上を振り仰いだ騎手が、合図するように何度か大きく手を振ると、力強い羽ばたきと共に一羽の大鷹が舞い降りてきた。
「若、何か?」
問いかけてくる後続の仲間らに向かって、黙したまま青年は受け取った文を掲げてみせる。
「
「珍しいな、こんな急に」
訝しげに顔を見合わせる二人に、青年は腕に止まらせた大鷹に餌を与えながら告げた。
「このまま
「直接、船で?」
やや年嵩な方の男が重ねて問いかける。
「その方が早いし、すでに迎えも寄越したそうだ。すまんな、
予定では
「気にすんな、
「ああ、いささか
「確かにな」
図らずして彼らの間に沈黙が降りる。
確かに
先刻までは穏やかだった野を渡る風すらも、どこか不穏な気配を孕んでいるかのようだ。
「……あまり良い予感はしないな」
青年がこぼした呟きに、無言で他の者達も同意する。餌を食べ終えて満足そうに
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