第10話 ゆとり部の怖い話


 ある日、


 ――PLLLL...


 携帯電話に、非通知ナンバーから電話がきました。


『もしもし、わたしメリーさん。今からあなたのところに行くね』


 会話は一方通行で、すぐ切れました。


 ――いたずら電話?


 あたしは(変な電話ですねー)と思いましたが、特にどうというわけではなく。

 ですが、数分後。


 ――PLLLL...


 また非通知で、電話がかかってきたのです。


『もしもし、わたしメリーさん。今あなたの家の玄関前にいるの』


 また通話が一方的に切られて、その時あたしは学校にいました。


 授業が終わって、放課後の教室で荷物をまとめていて。

 今日は部室にも立ち寄らず、お家へまっすぐ帰って、お気に入りのBLサイトを巡回して、自作BL小説の本日更新分を書き上げて、適当に選んだナマモノで妄想しつつ、情報収集と腐った読書に明け暮れて眠るつもりでした。


 あたしは(不気味ですねー)と思いましたが、特に気にすることはなく。

 変なイタズラ電話を無視して、家に帰ろうと。


 ――PLLLL...


『もしもし、わたしメリーさん。いま○○駅にいるの』


 イタズラ電話が告げた○○駅、それは自宅の最寄り駅でした。


 ――ブルッ。


 得体のしれない存在に恐怖を覚えて、あたしは背筋を震わせました。

 怖くなったあたしは、携帯の電源を切りました。


 これで、もう電話が来ることは。


 ――PLLLL...


 ……電話が鳴りました、

 ……電源を切ったハズの携帯が、

 ……嫌です、

 ……怖い、助けて、出たくない

 ……だけど、指が勝手に、通話ボタンへ、伸びて、


『もしもし、わたしメリーさん。電源を落としても無駄よ? あなたはわたしから逃げられない。いま▲▲駅にいるの』


 イタズラ電話が告げた▲▲駅、それは学校の最寄り駅でした。


 ……近づいてきます。

 ……だんだんとあたしの元へ。


 なぜか、電源を切ったことを知っている人物が。

 なぜか、電源を切ったはずの携帯電話を鳴らして。


 あわてて携帯を眺めてみれば、確かに電源は落ちています。

 なぜ、どうして、いったい誰が……


 我慢のできない恐怖。

 それは歯茎をガチガチと鳴らして、喉をワナワナと震わせます。


 ――PLLLL...


 もう……もう、いやなのですっ!

 今すぐ、あたしは逃げ出したいのですっ!


 怖いです……

 逃げたいです……

 だけど、逃げる場所が分かりません……


 話は変わりますが、荒廃した未来からタイムスリップで現代にやって来た『セックス♂ターミネータ』が、主人公の肛門を狙う――という、甘くスイートな純愛ラブストーリーのBL小説を書いたことがあります。

 その作品で想像して描いた、得体の知れない存在に追われる恐怖が、リアルで分かりました。

 なお、その作品で一番反響があったのは、濡れ場です。

 未来から来たセクスネーターに襲われた主人公は、謎のちょいワル系の渋いオヤジに救われます。

 彼もまた時空転移者で、未来から主人公のアナルを守るべくやって来たのです。

 協力してセクスネーターから逃げる過程で、二人に愛が芽生えます。

 しかし、主人公がアナルを開発されて、男同士の性行為に目覚めてしまうと、その後の歴史が大きく変わってしまうのです。

 ――おまえのアナルで世界がヤヴァイ。

 それでも二人は、燃え上がる欲情を押さえられず、逃げ込んだ廃工場の一角で、人類を滅ぼす決意をしてケツを出し合います。

 愛すれば未来の人類が滅ぶ、それでも愛し合いたい。

 二人の性欲が愚かな人類にとどめを刺す、皮肉で感動的な濡れ場です。

 このシーンを投稿したところ、読者から大量の感想が殺到したのです――いや、例外なく酷評でしたけど。

 なんか読者の皆様が主張するには、愛撫もなしで未来人ペニスをバージンアナルに突っ込まれてほんの数回のピストンで絶頂を迎えてしまう主人公の敏感具合が許せなかったらしくて、「こいつゼッテェ処女じゃねぇだろっ!」と、至極ごもっともなツッコミを受けました。受けでツッコまれるシーンなだけにアーッですけど、読者の皆様がコメントに書いた「処女」なる単語を男性キャラに用いるのは、いかがな……はい、話のすり替えは良くないですね。反省です。あたしの考証不足でした。初めての合体でアノ反応は、作者もヤリ過ぎたと反省しています。

 でもでもぉー、絡みをリアルに描写すると出血や付着物が……ご都合主義って難しいのです。


 そんなわけで、あたしの恐怖は限界を迎えて。

 後先も考えず、フルスイングで携帯を投げ捨てようとしました――が。


 手から携帯が離れません。

 まるで磁石で張り付いたみたいに、


 ――PLLLL...


 鳴り響くアラーム、出たくありません。

 だけど指は、通話ボタンに伸びて、


『もしもし、わたしメリーさん、電話を捨てても無駄よ? わたしに魅入られた人は逃げられないの。わたしの電話は逃がさない――わたしの電話は狩りの道具――わたしの電話は獲物を喰らう――あなたの恐怖を喰らう……うふふ、わたしメリーさん。あなたに迫る猟犬なの。待っててね、もう学校の正門に付いたわ』


 ――ツーツー。


 無機質な電子音が、通話の終了を告げます。

 あたしの恐怖は、最高潮に達しました。

 鼓動がバクバクと暴走して、滝のような汗が制服の下で流れます。

 膝が震えて、喉が喘いで、酸素が足りず、呼吸が乱れる。


 もう誰でもいいです、だれか……だれか助けて。

 ガクガクする足を引きずるように、あたしは部室へと向かいます。


 あと十歩、あと五歩、

 もうドアノブに手が届きます。


 ――ガチャ。


 部室のドアを開いて、あたしは叫びました。


「助けてくだ……キャァァァァァ!? 来ないでっイヤですっキモいのですっ! 近寄らないで……うっぷ。失礼、取り乱しました。ほんと気持ち悪かったんで。いわゆる清純乙女の意見になりますが、部室で全裸になるのはやめて欲しいのです。いいえ、全裸ではなくブラジャーと靴下は身につけていましたね。余計に変態度がアップするので控えて欲しいのです、この猥褻マンさんめ。男子高校生が全裸にブラジャーと靴下だけというアブノーマルな格好をするのもアウトですが、床に四つん這いになってアイロンがけを行うという、ギネスブックも掲載拒否するであろう大変ハイエンドな変態行為をするのは、穢れなき乙女の意見になりますがやめて欲しいのです。ゆとり先輩」

「断る。俺はズボンのシワが気になって仕方ないのだ」


 と、全裸にブラジャーと靴下だけのゆとり先輩は言いました。

 はい、まったく理解ができません。


 ――なぜ、部室で脱いでいるのか?

 ――なぜ、靴下とブラは外さないのか?

 ――なぜ、四つん這いであたしに尻を向けて作業中なのか?


 リアルが暴走してワケが分からなくて、あたしは逆に冷静になってきました。

 人の頭脳って、ほんとミステリーです。

 妙に冷静になったあたしは、変態童貞のゆとり先輩に言うのです。


「あたしは、ズボンのシワより、ゆとり先輩のアタマが気になるのです。もちろんアレ的な意味で。ズボンのシワをアイロンがけするのは良いことだと思います。しかし、なぜ脱ぐ必要が? どうして服を脱ぐのですか? 脱ぎたいだけですよね? 実は脱ぎたいだけなんですよね? 誰かが入ってくるのを期待してたんですよね? 見られると昂ぶるんですよね、このド変態さんめ。今すぐ死んで下さい。あたしが許可しますので、確実かつ誰にも迷惑をかけない方法で速やかに今生と別れを告げて下さい。グッバイ人生、サヨナラ生命、実行前に警察への通報とドナーカードを胸ポケットに入れておくのを忘れないこと。ゆとり先輩みたいな生きてる価値がない以前にこの世に生きてるそれだけでマイナスベクトルの価値が自動発生する存在が存罪で生きる人罪なゴミクズさんでも、内臓や角膜だけは必要としている人がいますし、迂闊に死体を放置しておくと……モドキんさんに抜かれますよ? 眼球とか横隔膜とか。抜かれて加工されて……嫌ですよね? ゆとり先輩が五体満足で火葬場に行けるように、あたしから精一杯のアドバイスです。助言を受けたからには絶対に死んで下さいね。ようするに死ねってことです。何度も言わせないで下さい、気持ち悪い」

「アドバイスはありがたく受け取るが、死ぬのはまた今度にしよう。今はアイロンがけを優先だ。せっかくアイロンを出したんだし、まとめて片付けたい」

「なるほど、作業はまとめてやると効率的ですものね。あたしも自宅で家事全般をしてるので、それは分かります。部室でほぼ全裸になっているのは、まったく理解出来ませんけど、アイロン事情はよく分かりました。確かにブラジャーと靴下はアイロンがけが不要ですからね。ほぼ全裸になっても、これだけは身に着けているのも分かります。あたしはてっきり、靴下とブラジャーだけという格好で、あえて全裸より変態度をアップさせて性的な興奮を得ているだけかと思っていましたけど、それなりの正当性はあったんですね。うっぷ……吐き気が」

「ところで春日よ。尋常ではない様子で部室に来たようだが、ワケを聞こうか」

「鋭いです。さすが女の子の観察に定評があるゆとり先輩です。ほんと死ねばいいのに……でも、ゆとり先輩が部室にいて助かりました。これで全裸に靴下とブラジャーでなかったら、本当に頼りになるのですが……実は」


 ペラペラ、ペラペラ。

 ペーラペラ。


 あたしは、恐怖の電話を説明しました。

 怪談に興味を示したのか、ゆとり先輩はしきりに「女の声だったか?」「なら楽しめそうだ」とコメントを……ぶっちゃけ嫌な予感しかしません。

 ゆとり先輩は、ラストにこう言ったのです。


「俺に任せろ」

「………」


 とっさに返事が出ませんでした。

 なにか「 と て も 嫌 な 予 感 」がしたので。

 そんな時に、電話が。


 ――PLLLL...


「電話に出ろ。俺を信じて」

「分かりました……」


 謎の電話は、もう怖くありません。

 たぶん、目の前の変態さんに対する恐怖と、正体不明の電話に対する恐怖。

 異なる属性の恐怖がミックスされて、壊れた脳みそがハイになっているのでしょう。


 マイナス×マイナスはプラス、恐怖×恐怖は平静。

 BLにおける×とは、絡みのことです。


 ようするに『ハメたりハメられたりな関係』のことで、仮に『○×●』と書かれている場合は、○が攻め、●が受け、という表記ルールがあります。

 攻め役が二人などイレギュラーなケースもありますけど、それを説明しているとたぶん夜になってしまうので……簡潔に。


 あたしは、電話に出ました。


『もしもし、わたしメリーさん。いまドアをノックしてるの』


 ――トントン。


 いきなり扉をノックする音、ドアがギシギシ軋む音、間違いありません。

 メリーさんは、ドアの向こうにいます。


『いま、そっちに行くね……キャァァァァァ!? なにっ!? なんで変態がいるの!?』


 ぶっちゃけ、うるさいのです。

 ご丁寧にドアから入ってきたメリーさんは、その場で尻餅、うるうる涙目、暴走パニック、わなわな震える声で言うのです。


『なっなんで変態が……あわわ』

「クククッ。貴様がメリーか。俺のおちんちんをたっぷり味あわせてやる」

『ヤダ……汚い……生々しい……』


 ゴキブリみたいな動きで、カサカサ床を這って。

 ビビってブルったメリーさんが、あたしの背中に隠れてピクピク震えています。

 あたしはもう慣れましたけど、免疫ない人はキツイですよね……

 アソコを丸出しフルオープンですし、威風堂々とちんこ丸出し仁王立ちですし。


「クククッ」


 ちんちん、ブラブラ。

 粗末なちんこを古時計なゆとり先輩は、ご自慢の未使用品を……チクタク……チクタク……させます。

 ミニミニちんこのクソゆとりは、怯えて震えてガチ泣きしてるメリーさんに迫ります。


「ククッ、クククッ」

『ヤダっ……おねがい来ないでぇ……』


 汚物にビクつく、メリーさんの反応を観察しながら。


 ゆとり先輩は、

 邪悪な表情で犬歯を剥いて、

 ベロリと舌なめずりして、

 露出した貧相な振り子をブラブラと揺らして、

 どこか楽しげ、どこか狂った感じで、


 高らか変態っぽく嗤うのです。


「ハァーッハッハッハッ! なにを怯えるのだメリーよ! なにが怖い、なにを恐れる、汝が対面するは湯取卓の生まれたままの姿であるぞッ!」

『来ないでぇ……近寄らないでぇ……』

「そのうぶな反応。俺には分かるぞ。さてはお嬢ちゃん、処女だな?」

『ギクッ!? まっまさかぁー!? ちょー有名都市伝説でバリバリ現役なメリーさんが、まさか処女なワケ……ひゅっひゅひぃ~~♪』

「口笛吹けてないぞ、汗が垂れてるぞ、バレバレだぞ」

『ひゅっひゅひぃ~~♪』

「まあいい、この場で貴様の処女を奪う」

『ひゅっぴゅーブホッッッッ!? ゲホェゲホッッ、うぅぅ……鼻水ズルッ、あぁぁ……あなたは、わたしに何を……』


 恐怖とキモさで、メリーさんの腰が砕けました。

 ぺたんと床に座り込んだメリーさんに、全裸にブラジャーと靴下のゆとり先輩が言うのです。


「何をするかだと? 答えてやろう――レイプだっ!」

『キャァァァァ――!?』

「都市伝説の貴様には人権がないからな。つまり何をしようが問題ないのだ。たとえ、それが処女レイプでもっ!」

『ひっ…ひぃぃぃぃ!? やっやめ……ほら、わたしって設定だと見た目十四歳ぐらいで、白いワンピースに麦わら帽子の清楚系で薄幸そうな文句なしの美少女で……アハハ、ヤバイですよね? わたしをレイプしたら、ほら全年齢対象作品ですし、きっと色々なとこが黙ってないですよね? みなさーん! ここに全年齢作品で処女レイプしそうな悪い人がいますよ!』


 誰に訴えてるのかは不明ですけど、処女レイプに怯えるメリーさんは必死です。

 全年齢作品で処女レイプはヤバイと誰かに訴えかけていますけど、あたしはその程度のヤバイ橋など数えきれぬほど渡ってきたわけで……言うならば、哀れな抵抗者レジスタンスを80cm列車砲の4.8t榴爆弾で都市区画ごと木端微塵に粉砕するにも等しい、些細な悪あがきなのです。

 冷めた瞳でメリーさんを見下ろすあたしは、用済みの実験マウスを薬殺するような表情でボソッと呟くのです。


「メリーさんに説明しますが、全年齢を対象にした作品でも合法的にレイプは可能なのです。我々の業界には『朝チュン』を代表とした、先達が挑み続けて育成してきた様々な規制回避の裏ワザがあります」

『なるほどっ! 朝チュンがありましたか――って、ダメに決まってます!? 謎のイケメン変態だけじゃなくて、あなたまでわたしの敵に回るんですかっ!? 女の子ですよねっ!? あなた乙女ですよねっ!? 女性なのに性的暴行シーンに賛同するんですかぁぁ!?』

「はい。腐女子はレイプが大好物なので。少女漫画も凄いですよ? 犯されてるのに感じるとかは義務教育の範囲で、レベルが上がるとレイプされてる最中に自分からキスを求め始めますし、乱暴されたけど行為の最中に好きになったから結果オーライとか、リアル世界で性被害の経験がある読者に真正面からファッキンかますブッ飛んだ展開のオンパレードですし、ようするに女の子はレイプが大好きなのです。ただしイケメンに限りますが。ちなみにBL用語には「誘い受け」などがありまして、これは受け側が積極的に攻め側を誘惑して性行為を行うシチュを意味します。人類が生み落とした高等言語の一種ですね。ついでに、あたしをあれだけ怯えさせておいて、今さら被害者ヅラするとか呆れを通り越して笑えてきます――あなたには地獄すら生ぬるいのです」

『ごめんなさい……わたしって人の恐怖を糧に生きる妖怪の一種で……食事しないと消えちゃうし……悪いこととは知りつつ……でもお腹がぺこぺこで……つい』

「ゆとり先輩。この業界に詳しいモノとして、いい提案があるのです」

「ふむ、聞かせてもらおうか」

「コレ系の鬼畜作品の王道シチュとして、メリーさんがゆとり先輩に処女レイプされるシーンをビデオで撮影、それを『ネットに流されたくなければ、分かってるよなぁ?(いやらしい笑い)』と脅し、何度も呼び出してゴムも付けずに繰り返しレイプするというモノがあります」

『なんて鬼畜な提案するんですかぁぁ!? 酷いですぅぅ!? 女の子をレイプして心も体もボロボロにするだけでなく、そのレイプを脅しに更なる陵辱を……そんなモノで性的興奮を得るなんて……あなた達は女性の人権をなんだと思ってるんですかぁ!』

「妖怪や都市伝説のおまえが、どの口で人権を主張する?」

「レイプされる女の子は、脳内ですべて男に性転換してハァハァするんで、あまり興味ないのです」

『ごめんなさい、わたしが悪かったです、謝罪します……だからレイプとか、えっちな場面を撮影とか、それをネットに流すとか、強制的に売春させてお金を稼がせるとか、妊娠して大きくなったお腹を『おら、俺が堕ろしてやるよ!』と叫んで何度も踏みつけるとか、そういうのはやめて下さい……』


 妖怪のメリーさんは、床に土下座しました。

 全裸にブラジャーと靴下なゆとり先輩は、ちんこをブラブラ古時計のポーズでメリーさんに言うのです。


「メリーよ。人間を怯えさせて恐怖を喰らう。それが貴様の食事なのは理解しよう。だが、それはお前だけが利益を得るだけの迷惑行為だ。言うならば、カクヨムにおける無差別フォローのようなモノだ。死ぬほどウザい! そして不愉快である!」

『ごめんなざい……あたしが悪かったデス……これからは、ドアの前までで……ぃっぐ、恐がらせるのを……えっぐ、やめまず……ヒッグ』

「それでよい。分かればいいのだ。俺も怖がらせて悪かった。今回のレイプ未遂は、メリーにひどい目にあって欲しくない。その思いで演技をした結果のこと。これからは自分の体を大切にしろ」

『えぃっぐ……今日は、大事なことを教わりましだ……ひっぐ』


 そこまで言うと。


 メリーさんは、金色の光に包まれて、跡形もなく消えてしまい――って。

 なんで、ちょっといいお話的な終わり方なのでしょうか?


「さて、アイロンがけの続きでもするか」


 何もなかったかのように。

 ゆとり先輩は、全裸にブラジャーと靴下で作業を再開します。

 あたしの方へ向けられた、四つん這いのケツを眺めながら思ってしまうわけです。


 ゆとり部は、今日も異常です。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る