肉売り商人(テスト投稿)
瀬戸内 海
肉
ここはとある国の辺境の地にある村。
家も畑も自然も活力は無く、ご飯も国からは少量しか配給されない。
配給されても一つの家庭にパンが3つ、水が500ml程度。
後は味気もなく少量しか獲れない自作の作物で飢えを凌いでいた。
そんなとても貧しい生活を僕達は営んでいた。
しかしそんな村には週に二日程度、最も活気づく日がある。
その日には一人の”商人”が馬車に乗ってやって来る。
そして僕達に、村民に大きなお肉と綺麗で美味しい水を与えてくれるのだ。
しかもお金を取ることは無い。
タダでこのとても赤く美味しいお肉と、透き通るように綺麗な水をくれるのだ。
その”商人”は村民から『神子』と呼ばれ、敬われていた。
別に神の子ではないと思うのだが、この村の人々に対する”商人”の善行を考えればそう呼ばれてもおかしくはないだろう。
だが、僕はどうしても”商人”に対して疑問に思っている事があった。
――何故、この人は僕達を、この村の人々をここまで助けてくれるのだろうか?――
別に僕達を助けたところで何かお礼が貰えるわけでもないし、素晴らしい御もて成しをできるわけでもない。
それなのにどうして、こんなにも親切に?
この疑問が晴れる事は無く、いつも心の中はモヤモヤしていた・・・
僕には幼なじみの女の子が一人いた。
彼女も僕と同じように”商人”にある種の疑念を抱いていた。
「お肉くれたり水くれる事には感謝するけど、やっぱり何か怪しいと私も思うのよね~」
二人きりの時、僕が”商人”への疑問を口にすると彼女は決まってこの台詞を返してきた。
僕達は小さな子供ではあるが、疑問を抱かないわけではなかった。
純粋とは程遠い、現実的というか、冷めた見方というか、そんな”目”を持って”商人”の事を見ていた。
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