第246話
「初めてのお客さんだったし、まだ未成年の子たちばかりでしたからね」
未成年が運転をするのが心配だったから、監視の意味も兼ねて自分たちが横にのりそのあたりをぐるっと一周まわるだけの試乗をさせた。そうしたら勝手に運転してここまできてしまった。最近のガキどもは常識はずれの行動をするから困ってしまう。
なんとも苦しいいいわけだ。
矢野の話をきいている途中で、私はあいまいな記憶が戻ってくるのを感じていた。
すぐにたずねる。
「丹波は?」
あのとき、銃で撃たれたのは矢野だけではない。丹波も天野くんに撃たれたところを私はこの目でしっかり見ている。
「それは……」
矢野は顔を露骨に私からそらす。
その場にいるほかのみんなも口をひらかない。
部屋がしんとしずかになった。
「丹波くんは、もういない」
ドアのほうから声がきこえた。
私はそちらを反射で見た。
まえに丹波の病室で見た年配の医者がはいってくるところだった。
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