第222話

「子どもがこんなところでなにをしているんだ」


 うしろの黒スーツのひとりが声をかけてきた。


「おら、どけや」


 助手席からおりてきたちんぴらがむやみにすごむ。


 なんだ、こいつは?


 私を見て、あたりがそんな空気になった。


 その異変に気づいたらしく後続の車からもぞろぞろと人がでてくる。一番うしろのワンボックス以外のすべての車から人がおりてきた。


 すべての車から四、五人ずつ。車の中身はほとんどが先ほどの助手席からおりてきた感じのちんぴらのような少年たちで構成されていた。


 そのなかに二割くらいの割合で雰囲気のある黒スーツの若者や中年がいる。


「なんだてめえ」


 ちんぴらがぞろぞろとまえに歩みを進めてくる。つまり、立ちふさがる私に近づいてくるのだ。


 あっというまに距離を詰められた。


 目のまえに続々とちんぴらが集まってくる。


 ずらりとならんだ。


「……お願い……します」


 しぼりだすように私はいった。


「……帰って……ください」


 頭をさげた。おもいきり。すくむ足をむりやり踏んばり声を張る。


 そして顔をあげると口をつぐんで、両手をおおきく左右に広げた。

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