第162話

「いいだろ。たまにはさ。初乃も羽を伸ばして気分転換しなくちゃ」


 さすがコーカソイドの血。強引に押し切られるかたちで約束がとりつけられた。


「じゃあ、楽しみにしていてくれよ」


 そういって丹波は改札を抜けると手を振って私とわかれる。


 私はその場に立ちつくした。


 日時は明日。


 朝の十時に、この駅まえに集合だ。


「最高のデートプランを用意しておくよ」


 数歩進んだところで振り返り、丹波はおや指を立てた。


 最高のデートプランか。


 つきあっているわけではないが、そんないいかたをされて悪い気はまったくしなかった。むしろ浮かれてしかたない。


 その日は頭がぼーっとしてアルバイト探しに身がはいらなかった。

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