第137話
「関係ないといって矢野たちから逃げた。やればできるはずのことをやらなかった。それは私のことなんてどうでもいいからでしょ。本当に関係ないって思っているから、たすけるためにケンカだってしてくれなかったんでしょ」
自分でもなにをいっているのかわからないほどたくさんの言葉をならべた。なんでこんなことで感情がたかぶってしまっているのかわからなくて、さらに腹が立った。
「私はあなたを信じられない。勝手なこといわないで」
そういって言葉をしめた。丹波は口をつぐんだ。
「それは」
ひらきかけて、目をそらした。
やっぱりだ。
さんざんそれっぽい言葉をならべていたが、やっぱり全部、中身のない甘いだけのせりふなのだ。その証拠に、丹波は私の質問にはなにひとつ正確にこたえられていない。
「私……」
この
「あなたのせいで、矢野にキスされて、本気で襲われた。あとちょっとでとり返しのつかないことにだってなっていた。いいかげんにしてください」
そのせりふはやはり、静寂の廊下にしずかに響いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます