第43話
だからみんなは私にかかわらないことだったら、どこの学校にもいるふつうのクラスメートとなんら変わらないこんなリアクションを平気でとる。
ひとクラスぶんの注目を朝っぱらから一身に集めた超絶イケメンは声をかけてくる女の子たちをあしらいながら、教室後方の自分の席にむかっていった。そんなようすが、私の視界のすみにうつった。
転入生が自分の席のところにつくと、矢野が話しかけたようだ。私はそちらに視線をむけていなかったが、会話の内容がよくきこえた。なにせわざとらしいほどの大声で矢野が私をあおるようなせりふを吐いたのだ。
「なあ、あれ見てみろよ」
頭頂部に遠くからの視線を感じる。
ふたりぶんの瞳の視線だ。
「なにやってんの」
本気でわからないといった調子で転入生が矢野にたずねたようだった。教室がしずまり返っていたからだろうか、こちらの声もよくとおる。
「あの女な……」
完全に私の話しをしている。顔をあげなくても、それがはっきりとわかる。これから転入生には、私の人物紹介が矢野によってされるのだ。宮沢初乃はこうこうこういう人間だ。ようするに私の悪口が開始されるっていうこと。
はあ。
陰鬱(いんうつ)な気分になる。これで今日からヤンキー転入生も、私をいじめるメンバーの一員になるのだ。
「去年外部からはいってきたやつなんだけど」
矢野はいう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます