第43話

 だからみんなは私にかかわらないことだったら、どこの学校にもいるふつうのクラスメートとなんら変わらないこんなリアクションを平気でとる。


 ひとクラスぶんの注目を朝っぱらから一身に集めた超絶イケメンは声をかけてくる女の子たちをあしらいながら、教室後方の自分の席にむかっていった。そんなようすが、私の視界のすみにうつった。


 転入生が自分の席のところにつくと、矢野が話しかけたようだ。私はそちらに視線をむけていなかったが、会話の内容がよくきこえた。なにせわざとらしいほどの大声で矢野が私をあおるようなせりふを吐いたのだ。


「なあ、あれ見てみろよ」


 頭頂部に遠くからの視線を感じる。


 ふたりぶんの瞳の視線だ。


「なにやってんの」


 本気でわからないといった調子で転入生が矢野にたずねたようだった。教室がしずまり返っていたからだろうか、こちらの声もよくとおる。


「あの女な……」


 完全に私の話しをしている。顔をあげなくても、それがはっきりとわかる。これから転入生には、私の人物紹介が矢野によってされるのだ。宮沢初乃はこうこうこういう人間だ。ようするに私の悪口が開始されるっていうこと。


 はあ。


 陰鬱(いんうつ)な気分になる。これで今日からヤンキー転入生も、私をいじめるメンバーの一員になるのだ。


「去年外部からはいってきたやつなんだけど」


 矢野はいう。

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