四章 蒼空への帰還
新たなる翼
リーチェ
1928年 8月1日 コモ湖畔にて
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新聞ではアムステルダムオリンピックの話題で持ち切りだが、夏でも湖面に涼しげな風が吹き抜けるコモ湖畔は常と変らず静かなものだった。国威発揚も、女子陸上競技の解禁も、リーチェには興味がない。飛行競技でもあれば別だが、頭の固いオリンピック委員会のお偉方は機械で空を翔けるよりも両の足で地を駆ける方が崇高だと信じて疑わないらしい。古代オリンピックでは戦車競技があったのだから、飛行競技があっても別におかしくはないのに、とリーチェは思う。
「じゃ行くよー? せーの!」
ジニーの溌剌とした声が湖面に響き渡り、リーチェもそれに合わせて地を踏みしめる。真夏の太陽にイタリアンレッドの艇体を輝かせる紅の飛行艇、リーチェの新たなる翼となるM.33Aの乗った台車は、スロープ上に設けられたレールをゆっくりと転がり、機体は穏やかなコモの湖面へと滑り出ていった。遠くではボートで釣りをする紳士が物珍しげにこちらを見つめている。
「いいかリーチェ。今日は実弾を用いての射撃精度試験と、低ピッチプロペラによる短距離離水試験を行う。より短い距離で離水できれば理想だが、機銃を積んで前が重くなってる。全体のバランスは一度飛ばした上でお前さんの感覚に合わせて調整するから、今日は絶対に無理するな」
「わかってるよ、おやっさん」
「尾翼が大型化したぶんラダーは重くなってるけど、こないだ取り付けたバランスタブが上手く機能すれば、少しは軽減されるはずだよ。仮決めした舵角はまた調整するから、どの速度域でどんな風に舵が重くなるか覚えておいてね、おねえさま!」
「難しいこと言うね。了解、努力するよ」
幾度も念を押す二人に苦笑を返し、水面に浮かぶ機体を見上げる。尾翼には、ジニーの描いた純白の竜のエンブレムが輝いている。勇ましくもどこかかわいい幸運の竜は、アドリア海のエースにして天翔ける白の竜騎士、ベアトリーチェ・アレーニア機のマークとしてこの上なくふさわしい。
「エンブレム、かわいく描けてるね」
「どう? 似てるかな?」
「うん、すごくよく描けてる。ブランカも気に入るんじゃないかな」
上手くデフォルメされたブランカのエンブレムは、ジニーがデザインしたものだ。くるりと丸めた尻尾に沿って流麗な筆致で記されたベアトリーチェ・アレーニアの名と併せ、紅の機体の印象をより引き締まったものとしている。しかし、ジニーの表情はどこか晴れない。
「ん……そうだといいけど」
ジニーが視線を転じた先、オリーブの木陰には目を閉じてふてくされたように寝そべるブランカの姿があった。アレーニア邸の竜巣からここまで道路を歩かせるわけにはいかないので単独で飛んでくるよう言い聞かせたのだが、どうしても言うことを聞かないので仕方なく騎乗用の装具を付けて、ここまで一緒に飛んできたのだ。帰郷から約一ヶ月半、ごくごく短距離のゆっくりとした飛行なら可能なまでにブランカは回復していた。
「ジニーのエンブレムが気に入らないわけじゃないと思うよ」
コクピットに乗り込み、計器を一つ一つ確認していく。この機体での初飛行はできればブランカと一緒にと考えていたので、テストパイロットとして実際に飛ばすのは今日が初めてだった。離陸時の手順を忘れているのではないかと少々不安だったが、数年ぶりでも身体は覚えているものだ。
「まだ本調子じゃないから、機嫌が悪いんだろうね」
操縦桿とスロットルに手をかけて、感触を確認。お尻の位置を調整してから、右手に握った操縦桿を左右に軽く倒す。同時に、ラダーにも足をかけて動翼の反応を確かめる。よく整備された機体は、狭くて硬い感触にも関わらず、ブランカに跨ったときのような安心感を与えてくれた。
「うん、いい感じ」
湖面を吹き渡る風は半開放のコクピットの中にあっても心地よく、高いところで薄く流れる雲がアクセントとなった青空の映りこんだ水面は絵画のように美しい。絶好の飛行日和だった。
「こっちはいつでもいいぞ!」
アレッサンドロは、腰まで湖に浸かって翼端を押さえてくれている。そちらへ振り向いて軽くうなずいてから、手動ポンプでシリンダへ燃料を送り込んだ。
「ジニー、いいよ」
「ペラ回すね、おねえさま!」
翼上に立ったジニーがプロペラをゆっくり回して、エンジンへ燃料を行き渡らせる。彼女が機体から降りるのを確認してから、リーチェはゴーグルを下ろし、頭上のエンジンスタータへ手を伸ばした。思い切り体重をかけてクランクを回し、フライホイールへ慣性力を与えてやる。充分に勢いがついたところで、点火。火の入ったエンジンは爆音と共にプロペラを回し始める。
「よっし、一発点火!」
アレッサンドロが快哉を叫ぶ。リーチェもエンジンに異音が混じらないか耳を澄ます。幸い、まだ暖気が足りないものの、全てのシリンダが上手く爆発してくれているようだった。その間にジニーはアレッサンドロとは反対側の翼端へ回り、機体が勝手に動き出さないように押さえてくれている。
「頼むよ、ドラゴ・ロッソ」
マッキM.33競技飛行艇改め、マッキM.33Aベアトリーチェ専用戦闘飛行艇、ドラゴ・ロッソ号。紅の竜、それがこの機の新たな名前だ。
「発進!」
掲げた手を、すっと前方に振り下ろす。アレッサンドロとジニーが手を離すと、機体は待ちかねたかのように前へと進み始めた。エンジンの機嫌を損ねないよう、少しずつスロットルを押し上げていくと、艇に切り裂かれた水面がコクピットまで水飛沫を飛ばしてキャノピーを濡らす。
「よしよし、そのままそのまま……」
ブランカの背に乗せてもらうのではなく、自ら飛行機を操縦しているという感覚。久しく忘れていた手応えに、わずかに高揚している自分を自覚する。速度計に素早く目をやり、普通の飛行艇なら離水できる速度まで上がったのを確認したところでゆっくりと操縦桿を手前に引いていく。しかし、右手にかかる手応えは予想以上に重いものだった。
「くっ……重っ!」
機銃のせいで前部が重いのはアレッサンドロが言っていた通りだが、予想以上だった。高速性能を重視した翼形状のせいもあって、水が機体を離してくれない。かと言って無理に操縦桿を引けば、翼端が水面を叩くか、頭から水面に突っ込んで機体を大破させる羽目に成りかねない。
「駄々こねないで、素直になってよね……!」
ジャイロ効果が強力で、どうしても左翼が下がる。そのせいで翼端フロートが水面を叩いて、機体バランスを崩しているのだ。右のラダーをより強く踏みこみ、エルロンも使う。まずはふらつかずに真っ直ぐな航跡を描くことだけに集中する。
「……ん、行けそう?」
ついさっきまで気を抜くとすぐに蛇行しそうになっていたのに、いつの間にか機体が安定している。頭上を見上げると、ようやく暖まってきたエンジンがすこぶる快調に吹き上がり、力強くプロペラを回していた。どうやら、一定の速度を超えると安定し始めるらしい。速度計を確認してからスロットルを押し上げていくと、エンジンはスムーズに出力を上げていった。
「よし……いっけぇ!」
スロットルはフルパワーで固定。操縦桿を両手で握って、ブランカを撫でるような丁寧さで静かに引いていく。翼が空気を掴み、空へと舞い上がる上向きのベクトルが身体を包む。いつしか周囲から水を切り裂く音は消え、エンジンとプロペラの爆音だけになっていた。地上の音が消えるこの瞬間、耳をつんざくこの爆音に包まれていてすら静かになったと感じるのは不思議なものだ。
二百メートルまで上がって、スロットルを戻す。離水には手間取ってしまったが、機体の癖は掴めたので次回はより短距離での離水が可能になるだろう。操縦桿とラダーを使って機体を傾け、コモ湖の上空をゆったりと旋回させていく。目を凝らせば、満足げに煙草をふかすアレッサンドロやこちらへ手を振るジニー、首をもたげてリーチェを見上げるブランカの姿も見える。
自分が飛ぶところを見れば、ついてきてくれるのではないか。
そう考えていた部分もあったのだが、ブランカが動く気配はない。残念だが事前の計画通り、基本的な機動で慣らし運転をしてから機銃の試験をしようと考える。リゾート地でもあるコモ湖畔での試験飛行、ましてや実弾の試射には批判の声も強く、リーチェがアレーニア家のご令嬢でありイタリアの英雄だからこそ許されているようなものなので、手早く終わらせねばならない。
「…………」
ふと、ブランカからすれば、怪我をして飛べなくなったから、リーチェが飛行機に乗り換えたように見えているのかも知れないと思いつく。考えてみれば、二人で飛ぶのが当たり前だったのだ。今までは操竜規定によって単独飛行を禁じられていたのだから、リーチェが乗らないのを飛ぶなという命令だと捉えていたとしても、おかしくはない。この飛行機と一緒なら飛んでいいのだと言い聞かせはしたものの、染み付いた習慣はそう簡単に捨て去れるものでもない。
スライド、ロール、インメルマンターン。強大な推力と、それが生み出す強烈な加速度に耐えながら、各種の機動を試す。馬力に倍以上の開きがあるのだから当然だが、リーチェが以前乗っていた飛行機とは操縦感覚が全く異なる。高速飛行に慣れているリーチェですら驚くほどの加速力、上昇力、そして旋回の速さ。思い描いた通りに飛べないもどかしさは、全く感じなかった。
これならアズダーヤ隊ともやり合える。
空戦において、速度と上昇力はそのまま力になる。速度において劣る側が相手の後ろにつくためには、まず相手の速度を殺さなければならない。そして、熟練のパイロットならば敵の射程内でスピードを落とすようなミスはまずしない。つまり、リーチェとブランカが速度と連携を保ち続ける限り、アズダーヤ隊はズメイという名前らしい彼らの竜しか二人に追いつけないということだ。
「もちろん、そんなに単純な空戦になるとは限らないけど……」
アドリア海での奇襲を鑑みても、相手は数任せに襲い掛かる普通の空賊とは根底から異なる。あらゆる手を用いて、こちらを必殺の空域へ引き入れようと罠を仕掛けてくるだろう。そのためにも連携の訓練はしておきたかったが、ブランカが乗ってくる気配はない。ようやく飛べるようになったとは言え、羽ばたけば痛みもまだあるはず。できれば飛びたくないのかも知れない。
翼をスライド気味に入れて、一気に高度を落とす。頭上に一瞬だけ見えたブランカは、やはりこちらを見ているだけだった。余裕を持って機体を引き起こして、そこからさらに5メートルまで高度を下げる。計器にちらりと目を走らせると、高度計はほぼゼロを指し、速度は250km/hを超えていた。地面効果を押さえつけるために右手の操縦桿を押し込んでいるが、ほんの少しでも操作を誤れば水面に突っ込み、そのまま機体は木端微塵だろう。
「これで余力があるって言うんだから、とんでもないよね」
スロットルはまだ全開になっていない。しかし、流石に初日からフルスロットルで曲芸飛行をする気にはなれなかった。機銃の安全装置を解除しながら、流れ弾が出ないように街とは反対側へ設置された浮き標的へ向かう。射撃していい方角まで厳密に決められているので、一発で決めたかった。
「…………っ!」
きっかり一秒間だけトリガーを引き絞り、左手前に操縦桿を引いてバレルロール。ラダーも使って姿勢を制御、翼端を水面にぶつけないように高度を上げつつロールして素早く水平飛行へ戻る。それからもう一度翼を立てて、低い機動で旋回。次の標的へ向かいつつ結果を確認した。銃弾は見事に標的を貫き、しかも浮きそのものには当てていなかった。まだまだ腕は錆びついていないらしい。
「ん、よしよし……って、え?」
よく晴れた空に、黒々とした影が差した。とっさにラダーを踏んで、機体を滑らせる。耳障りな音とともに水飛沫の柱が立ち並んだのは、ほぼ同時だった。
「…………!」
敵襲。しかも上を取られている。それだけ考えるのが精一杯だった。下手に背や腹を見せればやられる。そう判断して、スロットルを全開に叩きこんで半ロール、翼を立ててナイフエッジ。ラダーを使って機首を上へ向けることで揚力を拮抗させ、翼端で湖面を切り裂くように飛ぶ。
また、気付くのが遅れた。
横目で捉えた敵機の機動を観察しながら、滲み出す後悔を噛み締め、舌打ちする。
長大かつ馬鹿でかい機首の、青灰色に塗られた単葉フロート機。その濁った空のような色は、嫌でもアズダーヤ隊の飛竜ズメイを連想させる。隆起した機首から突き出した排気管は絶え間なくバックファイアを吐き出し、口腔から火の吐息を漏らす竜を連想させた。中翼単葉フロート機という見慣れないシルエットから見て、どこからか新型機を調達してきたに違いなかった。
「一機だけ……?」
上からのアプローチを何度も仕掛けてくれば、相手も高度は落ちてくる。頭上を押さえるポジションを維持しようと機首を上向けた瞬間を見計らって、リーチェも上昇に転じた。相手の新型機を捉えつつ、周囲へ警戒の視線を送る。しかし、どれだけ確認しても敵機は他に見当たらなかった。
「こっちが飛べないと見て襲いにきたのか、それとも……!」
おそらくはスイスを経由してイタリア領へ侵入してきた相手は、ここで粘り過ぎると帰路の燃料が足りなくなるはず。つまり最初の十分間を凌げば、こちらが優位に立てる。あとは万が一にも地上のブランカへ矛先が向かわぬよう、牽制しながら時間を稼ぐと決断する。おおよその残弾数と計器の数値が正常であることを再確認し、リーチェはスロットルを押し上げた。
「…………くっ、うう」
全身の血が足へ降り、意識が遠くなるのに耐えながらインメルマン・ターン。真正面から相対する形になる。細かくラダーを使って幻惑しようとする相手をなんとか照星に収めて一掃射、ほぼ同時に操縦桿を左へ倒して、お互いに翼を立てた状態ですれ違う。銃弾は虚空を切り裂き、お互いに無傷のままだ。
「……やるね」
しかし、このままコモ湖の上空で空戦を続ければ、ベッラージョの街に被害が出かねないのが心配だった。翼を振って、山岳部の上空へ相手を誘い出す。後方をちらりと確認すると、全く遅れずにこちらへ追随してくる相手の姿が確認できた。速度計が示す速度が290km/h前後ということは、敵機も300km/h近い最高速度を出せると見ていいだろう。機体性能でも互角ということになる。
「……ここまでくれば、いいかな。さあ、一緒に踊ろう」
緩やかなインメルマン・ターンで大きな弧を描き、速度を高度へ変換しながら向き直る。相手は上昇しながら突っ込んでくるようだ。この状況では、位置関係の有利不利よりも一瞬の判断と思い切りのよさがものを言う。一機で仕掛けてきたことや、ここまでのやり取りから見ても、アズダーヤ隊のエースと呼べる存在なのは間違いない。あるいはアズダーヤ隊の隊長だというゴットフリート・フォン・バンフィールド本人なのかも知れなかった。
ここで墜とせば。
中核となるエースを欠いたアズダーヤ隊を瓦解させるのは難しくないかも知れない。そうすれば、ブランカやフェラーリンを危険な目に遭わせずに済む。
「ん……」
相手がバレルロールで射軸をずらす。こちらは無理せずそのまま直進。一度背面に入れて、スプリットSでターン。再び相手を視界に捉えた、そのとき。真下から突っ込んできた巨大な影が、辛うじて回避に移ったドラゴ・ロッソ号の翼端フロートを根元から吹き飛ばしていった。
青灰色の飛竜ズメイ。ねじくれた角を持つアズダーヤ隊の飛竜。
エース機との一対一だと、思わされていた。飛行機は一度飛び立ってしまえば、雲か太陽以外の場所に隠れられないとも。いや、その認識は間違っていない。ただ、竜ならどこからでも飛び立てるというだけのこと。深い森に隠れて機を伺うのは、リーチェとブランカ自身もやったことだ。
「二対一、か。ちょっと厳しいね」
翼端フロートを犠牲に主翼へのダメージを回避した機体を立て直し、ズメイから距離を取る。ねじれた角に鋭い棘のような鱗を生やした痩躯、エンジンの轟音を通してなお耳に響く咆哮と大きく翼を広げて滞空するその姿は、おとぎ話に出てくる伝説の悪竜そのものだった。
「…………ッ!」
ブランカ。空に上がるときはいつも側にいてくれた相棒が、今はいない。しかし、弱音を吐く暇もなく、相手は連携を取りつつ着実にこちらを追い詰めにかかってくる。ズメイがこちらを攪乱、誘導し、新型機が死角から突っ込んでくる。単純だが、一機を確実に狩り墜とすことに焦点を絞ったやり口に、リーチェは反撃の糸口を見いだせずにいた。
「しつっこい、な……!」
苦しい呼吸と薄れる意識の中、独り言で勇気を奮い立たせる。飛行機の性能とパイロットの実力が伯仲したとき、どちらが空に残るかを決めるのは時の運、そして意地だ。空戦を始めてからどれだけ時間が経ったかは分からないが、新型機の方はそろそろ残燃料が気になり始める頃合いでもある。
「燃料だけじゃない。ブレシアの空軍基地だって気になってるんだろ?」
アレッサンドロがフェラーリンに連絡を付けていれば、ブレシアの空軍基地から戦闘機部隊が駆け付けてくれるはずだ。そうなれば、数的優位もひっくり返せる。事実、全く乱れない新型機とは対照的に、まだ若い竜であるズメイの動きには焦りが見え隠れしている。新型機が離れた隙を見計らって、ズメイの鼻先に機銃を撃ちこんでやったら、大げさに回避して距離を取ってくれた。
これで、少し余裕ができた。
それが油断となったのか、あるいはズメイの動揺を被弾によるものと判断した新型機が牽制のためにやったことだったのか。旋回してこちらへ鼻先を向けた新型機が、明らかに射程外であるにも関わらず発射炎を閃かせた。とっさに右手が回避へ動く。
「ちっ……!」
当たるわけがない、と頭で判断したのは、右手が操縦桿を倒した後だった。間が悪いことに、そちらには態勢を立て直しつつあるズメイがいた。どう動いても、その爪からは逃れられない。そして、どこをやられたとしても速度と機動性はガタ落ちになり、新型機の追い討ちで確実に墜とされる。
なら、せめて一撃。
ラダーとエルロンを使って、機首をズメイへ向ける。射軸が完全に重なるのと、ズメイの爪がリーチェに届くのと、どちらが早いかの勝負だ。ブランカの痛み、思い知るがいい。竜さえ飛べなくしてしまえば、後はブランカとフェラーリンが片を付けてくれると確信できる。
「ごめんね」
誰に向けての言葉だったのか、自分でも分からないままに。
引き金に、優しく指をかけた。
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