不可視領域のアナザーヴィジョン

楓馬知

1

 光は粒子であり波である。

 過去の偉人たちによって光は様々な説が提唱されてきた。

 光にはいろんなものがあり、紫外線やら赤外線やらX線やら太陽光やらレーザーやら、その種類の多岐にわたる。

 人間の目が視認できる光は、可視光線といわれ、波長が紫外線と赤外線の間に位置するものになる。

 そして光の波長によって、数え切れない種類の色となって、人の目に届けられる。

 その種類は、色の見本帳などでは千六百ほど。パソコンやテレビなんかだと色の種類は数えるのもばからしくなるほどの数がある。

 俺たちの世界には光が、色が溢れている。

 それを目が知覚し、俺たちのあらゆる風景を届けるのだ。

 

 しかし、俺たちが視ているものは、光や色などではない。


 瞳に映る景色だけが、現実とは限らない。

 いつだったかそんな言葉をどこかで聞いた。

 まったくもってその通りだ。

 目で見えるのは、本来粒子であり波である光だけ。

 しかし、世の中には光以外を知覚することができる人間もいる。

 人は情報の大部分を目から仕入れている。

 だからこそ、俺たちの目には、光や色以外も映すのだ。

 きっとこの世界は、幾重もの世界が折り重なって存在している。

 だから、そう。 


 俺たちの目に映るこの世界も、折り重なり存在している世界、不可視領域の一つなのだろう。

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