第1話 出会いは突然に

ラウンド1


 挫折――。

 あなたは、挫折した経験があるだろうか?

 受験、部活、恋愛――何でもいい。努力に努力したのに、報われなかった。

 そんな経験は、あるだろうか?

 今まさに、一人の少女が挫折を経験したところだ。

 少女は、唖然としていた。

 周りは歓声や悲鳴、驚きの声で盛り上がっている。

 だが周囲の音など、彼女の耳には入ってこない。

 少女はゲーム筐体きょうたいの前に座っていた。

 ずっと、座っていた。立つことが、出来なかった。頭も体も、動かなかったからだ。

「うそ…………」

 少女から出てきた言葉は、現実を信じられない、という彼女の心の叫びのようだった。

 誰よりも、練習をしてきた。

 誰よりも、努力をしてきた。

 とてもつらいものだった。

 それでも、耐えてやってきた。

 なのに、ダメだった。

 母の、姉の、部の、学校の期待に応えられなかった。

 少女は、いつのまにか震えている自分自身に気づく。

 寒くないのに、なぜ震えているのか。

 少女には、解らなかった。

「この程度なの?」

 少女のもとに、星のように煌びやかな金色の髪をした外国人の少女が、心底がっかりした表情をしながら話しかけてきた。

「ただの寄生虫ね」

 外国人の少女はそう呟くと、その場を立ち去っていった。

 寄生虫――。

 家族の――。

 少女は頭の中が真っ白になっていき、そのまま意識を失っていった。

 

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