最悪、はじめました。
よもつひらさか
最悪、はじめました。
僕はホラーマニアだ。
読む小説といえば、全てホラー。
観る映画も全てホラーだ。
ついに僕は読んだり観たりするだけでは飽き足らずに
自分でホラー小説のブログを始めることにしたのだ。
題名は。
何にしよう。
そうだ、「最悪はじめました」ってのはどうだろう。
僕はその日から毎日、毎日、ホラー小説を一遍ずつしたため始めたのだ。
次から次へと怖い話を思いついた。
いいぞ、この調子だ。
僕はある会社のお客様相談室に勤めている。
本当に、毎日毎日、モンスター共が勝手なことを言いやがって。
僕は毎日のストレスを、ブログで残虐なシーンを描くことで解消した。
ある日のこと、僕が何気なくニュースを見ていると、残虐な殺人事件のことが
放送されていた。
僕はそのニュースをぼんやりと見ていて、あることに気付いてしまったのだ。
これは。僕の書いた小説にそっくりじゃないか。
殺された場所、殺され方、まさに、僕が一番最初に書いた小説
そのままじゃないか。
でも、こんなシチュエーションなんてありがちだよな。
気のせいだ。
僕は今日もホラー小説を書き続ける。
数日後、また殺人事件が起きた。
今度は、指マニアだ。
殺したうえに、指を切り取り、持ち去られていたというのだ。
僕は震撼した。
まただ。僕が書いた小説と同じだ。
嘘だろう?
僕はさすがに気味が悪くなった。
そして、数日後、これは僕の書いた小説を
そっくり真似ていることを確信付ける事件が起きてしまった。
今度は、冷凍庫から若い男性の死体が発見される事件だ。
どうやら、食品専用冷凍庫に誰かが彼を閉じ込めたらしい。
誰だ、誰なんだ。
僕は自分のブログのコメント欄を見た。
いつも、同じハンドルネームのやつがコメントしていることに気付いたからだ。
こいつだ。たぶん、こいつが。
でも証拠は無い。
全てにコメントをつけてくれて、絶賛してくれる。
たぶん僕のブログの熱狂的ファンなのだ。
直接、お前が犯人なのか、と訪ねて正直に言うはずがない。
そこで僕は思いついた。
あるブログの熱狂的ファンが、そっくりその小説を真似て
殺人を繰り返していて、その小説の作家自身が
その殺人犯を突き止めて殺すというシナリオの小説を書いたのだ。
まさか、犯人も自分を殺すわけには行かないだろう。
僕はこの小説にどう反応するのか様子を見ることにしたのだ。
_________________________
本日未明、〇〇県〇〇市のアパートの一室で男性の変死体が発見されました。
男性は20代後半、自殺と見られています。
男性の部屋からは、〇〇県で起きた、殺害されたあと指を切り取られた事件に
使われたと思われるナイフと、殺害された男性の指が冷凍庫の奥から発見されました。
同県で起きたその他2件の殺人事件と酷似する内容の小説ブログを書いていることが判明。
〇〇県警は、パソコンを押収し、事件との関連を調査中です。
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