第17話
「……『
みやかが空にかざした手をウルフ達へと向けた、次の瞬間。
巨大黒蜂のお尻から青い火の弾が怒涛の勢いで乱射されましたわ。
断末魔をあげて次々に倒れ、消えていくウルフ達。
す、凄い圧倒的な光景ですの……。
「ぶんぶんぶぅん……蜂が飛ぶぅう~。うふっ、うふっきゃははははははっ!!!」
両手を広げて笑うみやかに、ただひたすらと圧倒されるわたくし達――そして他プレイヤーの方々。
彼女の周りをグルグル飛ぶ黒蜂の猛攻は止まらず、あっという間に1000匹のウルフ達は跡形もなく消滅してしまいました。
その間、たったの十数秒……でしたの。
「……なに、今の?」
「もしかしてあれって神器じゃない? そうよ、たしか【火蜂】っていう激レアSSRの銃! 私、BEO2の武器カタログで見たことあるもんっ」
「神器って言えば大会の優勝商品としてたまに出るあれ?」
「か、カッコ可愛い!! やーん、ウチもあんなチャーミングな蜂さん欲しいよー」
自分たちの獲物を横取りされたにも関わらず、突如現れた神器にワイワイはしゃぐ女の子たち。
「あの、女王蜂さんっ。その武器どうやって入手されたんですか!? 私、2鯖の第16位なんですけど一度もこの目で本物を見たことがなくて!」
「じょ、女王蜂ィ? うーん。どうやってって言われてもさ……。大会で優勝したときに貰ったに決まってるじゃん。どこのサーバーでも同じでしょ、入手方法なんて」
一仕事終えたぜ、あばよ! と言わんばかりに颯爽とどこかへ飛び去っていく火蜂の背を見て、わたくし確信しちゃいましたの。
……あの蜂さん、そういえばわたくしとみやかが最後に戦った週末Pv大会の優勝商品でしたわね。
わたくしの
結局、XRの銃は出ないまま終わってしまいましたが……。
「蜂のお姉様、どこのサーバーでプレイしてたんですか? もしかしてウチらと同じ2鯖だったりして!」
「ちょっと女王蜂さんには私が先に話しかけたのよっ! 抜け駆けしないでよね」
「いいじゃない、ウチは第13位なのよ、第16位のくせにずうずうしいわね!」
「な、なんですって……! あんたが頭下げて来たから、同じサーバーのよしみとしてしょうがなくパーティ組んでやったのに! いいわ、どっちが上か決着つけましょうよ!」
「望むところだもんね、PvPエリアに行こっ! ギッタンギッタンにしちゃうんだから」
あーあ。なんだかおかしな争いが始まっちゃったみたいですの。
でも、あの雰囲気なんと言いますか。結構仲の良さそうなお二人さんでしたわね。
ツンデレ同士というものでしょうか……ああ、よからぬ妄想が捗りますわ。
いがみ合いながらPvPエリアとやらへ進んで行く可愛らしいお二人。どこの制服か分りませんが、やたら短いスカートですわね。
まぁ、わたくし達の赤いプリーツスカートも大概ですが。
「あ、今のであたしのレベル15になっちゃったわ」
あのお二人のことなんてどこ吹く風。淡々とウルフ達の落とした素材【オオカミの爪、オオカミの毛皮】を拾ってはミラコンにかざすみやか。
かざすだけでアイテムがどんどんミラコンに吸い込まれていくことにも驚きですが、彼女の大胆さにも驚きましたわ。
わたくしだったらサーバインを持っていてもあんなに根こそぎ狩り尽くしたりなんかしませんの……とりあえず
「ほんとだ! すっごい……そりゃあんだけ狩ったんだもん。15くらい一気にあがるよぉ」
わくわくが隠し切れないといった笑顔でみやかのミラコンを覗くむいに、
「思ったより上がるわねぇ。レベルアップログの処理が追いついてないわ。調子に乗りすぎたかも……」
ばつの悪そうな顔のみやか。一人だけ先にレベルが上がりすぎて気まずいのでしょうか。
別に気にすることないですのに……どうせわたくし達もすぐに上がっちゃいますの。
名前:スター
称号:【
クラス:『ガンスリンガー<銃士>』 LV.15
サブクラス:『アタッカープリンセス<攻撃>』
HP<ヒットポイント> 360/360
SP<スキルポイント> 40/40
MP<マジックポイント> 0/0
STR<腕力> 5+15=20
DEF<耐久> 0+5=5
AGI<俊敏> 43+10=53
MAG<魔力> 0+0=0
DEX<器用> 10+20=30
LUK<幸運> 5+13=18
残りステータスポイント 15pt
総攻撃力:2113 <限界9999>
総防御力:5 <限界9999>
総回避力:330 <限界999>
総致命力:193 <限界499>
NEW!
【パッシブスキル:トリプルトリガーを入手しました】
【アクティブスキル:チェインショットを入手しました】
あら、さっそくスキルを取得したみたいですわね。
ガンスリンガーはあまり触ったことありませんから、このログだけではスキルの内容が解りませんわ。
「ふーん。やっぱり最初はこの二つかぁ。BEO2のときと変わらないのね。ステポイントはとりあえず振らないでおこっと」
「ねぇねぇ。パッシブとアクティブってなあに?」
むい……そんなことも知らないんですの。
「あ、ななよちゃん、そんなことも知らないんですのって顔してるー!」
「ええ、しましたわ。むいにはガッカリですの」
「ひえーん! そんな冷たい目で突き放さないでよぉ」
「もうっ! 抱きつかないでくださいましっ。パッシブは常時発動、アクティブはアイコンをクリックで発動ですわ」
「なるほどー! ななよちゃんって物知りだなぁ」
「VRMMOプレイヤーなら、『常識』ですの!!」
というか事あるごとにわたくしの胸に顔を埋めるのはやめて欲しいですわ。
まったく、むいってば本当甘えん坊ですの……。
「ほらほら、あんた達いつまでも漫才してないで次のクエスト行くわよー」
「了解ですわ! って、次のクエストはどんなクエストなんですの?」
「えっとねー。確か、【ウルフの洞窟】の踏破らしいよ」
踏破ってことは、ダンジョンの一番奥まで進んでボスを倒せってことですわね。
「ここからちょっと北西にあるみたい。しばらくはあたし攻撃に参加しないから、ななよとむいのレベル上げをしちゃいましょ」
ミラコンのマップ画面を見ながらてくてくと進んでいくみやか。その後ろに、慌ててついて行きましたの。
レベル上げ……。そうですわ。次こそわたくしの、【ブラッディウォーリア】の出番ですの!
☆ No.1 クエスト【ウルフを30匹倒せ!】――クリア!
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