第10話
って、イチャイチャ!? 変な表現はやめてくださいまし!
「えー!? むい達はずっと、ずっと仲良しだもん!」
そうぷんすかと立ち上がるむいは続けてこう言いましたの。
「だよね、ミヤカ様っ!」
差し出されるむいの左手に、唖然とするわたくし達。
――まったく。どうしてこの子はこう、いつもキラキラとして真っ直ぐなのでしょう……。
反応に困ってるのでしょうか、見る見るうちに耳まで真っ赤になってしまっている第2位。
しょうがねーですわね、と。わたくしは小さく笑ってむいの隣に立ちましたの。
そして、
「むいの言うとおりですの! というか、わたくしはすでに貴女とはお友達のつもりで接してましたけど?」
更に顔が赤くなる第2位。ふふっ。これは強引に連れてきた仕返しでもありますの。
むいに倣って右手を差し出したところ、第2位はぐぬぬと怒ったような照れてるようなごちゃ混ぜの表情で立ち上がりましたの。
「あーもうっ! は、恥ずかしいやつらね……わかったってば」
ぷいっと顔を背けながら、
「ほら、これでいいんでしょ!」
と。むいの左手とわたくしの右手を握る第2位。
「これからもよろしくね、ミヤカ様!」
「よろしく、ですわ!」
笑顔で言うわたくし達に、彼女はぼそりと呟きましたの。
「……ね、ねぇ。そういうのやめてよ」
「え?」
「その、様って呼ぶの……。あたしもちゃんと名前で呼ぶからさ」
ま、まあ……なんて可愛らしいのでしょう!
顔を見合わせたわたくし達は同時に、
「みやかちゃん!!」
彼女の手を握ったままぶんぶんと大きく振って何度も呼びましたの。
だって嬉しかったんですものっ!
「……う、うるさいわねこんな時間に大声でっ! ちょっとは静かにしなさいよ……な、ななよ、むい……」
こういうのに慣れていないのでしょうか。
つっかえながらわたくし達の名前を呼ぶ第2位――いえ、みやかについ微笑ましくなってしまいますわ。
そして隣で無邪気に笑うむいをちらりと見て、こう思いましたの。
――やっぱりむいはこうでなくっちゃ。前向きで、一直線で、いつもわたくしを引っ張っていってくれる。
たまに危なっかしいところもありますが、むいが笑っていればわたくしも楽しく笑えますの。
そうですの。きっと、にこともすぐに仲直り出来るはずですわ!
◇◇◇
「そろそろテスト開始の時間ね。二人とも準備はいいかしら?」
暗い部屋。お姫様のようなみやかのベッドの上で、わたくし達は三人で川の字になって寝そべっていました。
左がわたくし、右がみやか。そして真ん中がむいですわ。
それぞれVRゴーグルのようなゴテゴテしたものではなく、普通のメガネとヘッドホンを装着していますの。
「うん、準備万端! でも、来たときも言ったけど本当にメガネとヘッドホンだけでダイブ出来るのかなぁ」
「た、確かに不安ですわね……テストという響きもちょっぴり怖いのですわ」
思わず手が震えてしまいましたの。
すると、隣のむいがギュッとわたくしの手を握って、
「大丈夫。三人一緒だもん。へっちゃらだよっ! ね、みやかちゃん」
「案ずるより生むがなんとやらよ。それに第2位のあたしがいるんだもん、心配することなんてないわ。MRO……精一杯楽しむことだけ考えるのよ!」
「ええ、そうですわね。わかりましたの……みやか」
「うん、みやかちゃんっ」
きっとわたくしのようにみやかの手も握っているのでしょう。
「……さあ、ダイブの時間よ」
午後十九時ぴったり。メガネディスプレイにタイピングするように文字が映し出されてきました。
『_Are you ready?』
ついに始まる大型VRMMOの
期待と不安の入り混じる中、いよいよわたくし達はダイブすることになりましたの。
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