ムズガルド帝国編5

ワタルたちはヨサクの衝撃の過去を知ることとなる

そしてヨサクはバージェットとの出会いも告白したのだった

そして場面はヨサクとジェルチェとの話へと遡る


漆黒の黒衣の男は少年の傍らにいた

その漆黒の黒衣の男からは他の殺人一家からとは違う何かもっと禍々しいオ-ラが漂っている

そして赤色に妖しく光る口紅が輝いていた


それに集落のその男はかなりの手練れのはず…

しかしその男の背後を少年は一瞬で取りしかも瞬殺して見せた

何かの使い手だろうか…?


その時漆黒の黒衣の男は言った

「でもあなたならもっと出来るはずよ」

「暗殺の基本としてはまず相手に悟らせないこと」

「何もかも全てを…!」

「そして自分が死んだことすらね…」

「でも、あの程度の男に悟られてしまった」

「まだまだ修業が必要ね」

「暗殺術の奥はもっと深いわ」


その漆黒の男は暗殺術の使い手だった


そしてその少年もまた暗殺術の使い手だった


「でも…」

「まぁ合格点」

「それにどんな者が相手でも躊躇したら駄目よ」

「目の前の者は…殺す…それだけ…」

その少年は冷たい瞳で言った

「うふふ…さすが私の教え子」

そう言うと漆黒の黒衣の男は少年の頭を撫でた

「ヨサク…」

そう漆黒の黒衣の男は少年の名を呼ぶと

ヨサクもまた黒衣の男の名を呼んだ

「はい…」

「ジェルチェ先生」


その名を聞いた瞬間…!

ワタルとツバサの二人は背筋が凍るのを感じた

「別人…だよね…?」

おそるおそるツバサは言った

そうジェルチェとは黒魔女にいたジェルチェと同じ名前なのだ

そんな偶然があるだろうか…?

しかもワタルやツバサはジェルチェが

あの一帯で黒魔女や白魔女と敵対していたもうひとつの勢力…

魔呪師だとは知らない

あの出来事はワタルたちが出発したあとに判明したのだから…


「さすがに別人だろう…」

ワタルは言った

「それに黒魔女のジェルチェは女」

「今ヨサクから聞いた暗殺術の使い手のジェルチェは男なんだから」

「う、うん…」

ツバサは納得する


「でも…」

「ああ…」

二人は言いようのない不安を感じる

普通に考えれば別人だろう

この広い魔界だ

同じ名前の者がいたとしても何ら不思議ではない

しかし何だろう

男なのに女のような喋り方…

妖しく光る口紅…

それらも合わさってワタルとツバサは背筋が凍るような底知れない何かを感じとっていた…

それが何かは二人には分からなかった


しかしヨサクは二人が何を言っているのか分からず話を続ける


その集落の男とその妻は

ヨサクによって見るも無惨な姿となっていた

そしてノシノシと激しい足跡が聞こえてくる

ダルトや子分たちが駆けつけてきたのだ

そして無惨な姿となった二人の姿を見て言った

「ははははは」

「お-やってくれたか!!」

ジェルチェはポンとヨサクの頭に手をのせ答える

「ええ…ヨサクがね」

すると孫を可愛がるように猫なで声になり

ダルトはヨサクに抱きついた

「おぉ-よくやってくれたなぁ」

「良い子だ♪」

そして再び子分たちをの方を見ると怒鳴りつける

「てめえら!」

「ちょっとはヨサクを見習え!!」


子分たちはシュンとなる

そしてジェルチェはそんなことがどうでもいいように集落の方を見て言った

「そういえば集落のほうは…?」

ダルトは得意気に答えた

「はははははは」

「心配ない!」

「捕らえた者以外は皆殺しだ!」

ジェルチェはフフっと邪悪な笑みを浮かべる

そしてダルトも言った

「いつものように捕らえたものを何人か家の上にくくりつけろ!」

「そして家を燃やせ!!」

「この時が堪らないんだよな」

「くくりつけられた者とそれを見る捕らえられた者たちの顔…!!」

「ははははははは!!!」

ダルトは大きく目を見開き邪悪な笑みで叫ぶ

「ふっ悪趣味ねぇ」

ジェルチェはそう言った

しかしダルトはジェルチェに言った

「あんたも人の事言えないだろう…」

「確かにね」

「ははははははは…!」

「ふふふふ…!」

二人は恐ろしい顔で笑っていた


そしてダルトは叫ぶ

「もたもたしねえでさっさとやれお前ら!!」

「このだだっ広い魔界だ」

「まぁ心配ねえとは思うがこの騒ぎを嗅ぎ付け暗黒騎士の連中がくると面倒だ」

「逆にこっちが殺られちまう」

そう怒声を放つとせかせかと子分たちは集落の方へと走っていく


そして集落を燃やしダルトたちは集落を出ようとしていた

だが集落を燃やすのはもうひとつの理由がある

それは誰がやったのか痕跡を消すためだ

痕跡を消すことによって誰がやったのかを分からなくし、

またのうのうと同じことを繰り返すのである


そして場面は代わって…

「はぁはぁ…」

荒い息づかいが聞こえる

それは集落の元へと駆け抜けていた

その瞳には燃えさかる火が見えていた

「頼む…頼む…!!

「無事でいてくれよ…!!!」

そうその男は心の中で叫び走り続けた

しかし集落についた時にはその凄惨な光景を見て絶望する

「おおおお゛お゛お゛----!!!!」

そこらかしこに散らばった肉片

家の上にロ-プでくくりつけられ丸焦げになった人々…

しかし、その男はそれでも絶望せず生きてる者を探す

「誰か…!?」

「誰か…!?」

「誰かいないか!?」

そう叫びはすれ、その声は火の燃え盛る音にかき消されむなしく消えていく


しかし、その男が諦めようとした時…!

ある声がしてきた気がした

「………テ」

「タ…ス…」

「タ…ス…ケ…テ…」

それは間違いなく救いを求める声だった

その男は救いの声が聞こえるところへ駆けつけた

そして、その場所を見ると絶句する

「な…ん…て…」

「なんて惨いことを…!!!??」


場面は再び変わりその男はこの集落を襲った連中を探す

この集落を焼き払ってからそんな時間はたっていない

その連中はまだこの近くに必ずいる…そう直感していたからであった

そして必死に探し回ると遠目に集落を出ようとしているある集団の後ろ姿を見つける

その男は直感する

この連中が集落を襲った連中だと…


そして丘の上から心の限り叫んだ

「ちょっと待てええええええええ-------!!!!!!」


そしてヨサクは言った

「それから集落を出ようとしたとき何か声が聞こえたような気がしました」

「ある男が遠めに見えます」

「その男は何かに激しく怒り何かに激しく悲しんでいるように見えます」


「それはアニキでした」

「それがアニキとの出会いす」

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