扉の向こう、その階段の先

芒来 仁

上へ参ります

上へ参ります

 どうやら、彼女のパニックは収まったらしい。

 だからといって、この現状がどうなるわけでも無いのだが。

 彼女のパニックのおかげで、俺は冷静でいられたということになるんだろうか?そんなことを思いながら、彼女のくたびれた横顔をなんとなく眺める。

「……何よ」

「……別に」

 ……つれない態度だなおい、俺等二人っきりなのに。


 他に誰もいない、円筒形の空間。

 あれから数十分ほどだろうか、俺達はただひたすら空へ向かう階段に。

 実質的に閉じ込められている。

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