CHRONO×
MARUMI
プロローグ
プロローグ
プロローグ※1
「勝者、セイト=フォーリック!」
高らかな女性の声が、澄んだ蒼穹へと抜けていく。大陸一と謳われる実況者、ミカ=ラズウェルによる宣言は、この場に新たな英雄を誕生させた。
交易都市エルゼラントで行われる、五年に一度の闘技大会。
強者を選定し賞賛する目的の下に設けられたこの闘技大会では、その勝者に対して各種特権と広大な私領――そして、騎士の称号が約束されている。
――富、名声、そして、力の証明。
セイトはたった一日にしてこれら全てを手にし、
セイトは斬り伏せた対戦者を一瞥し、右手に持つ長剣を掲げる。そして、勝者の儀礼であるその所作をもって、観客達の声援に応える――ふりをする。
その表情は、勝者が見せる本来のそれではない。
試合の影響で憔悴したとか、己が成し遂げたことに実感が湧いていないとか、そういうことではなく、ただただ冷めた心をそのままに湛えていた。
そうして取り繕ったパフォーマンスを披露し終わると、セイトは淡々とした足取りで控え室に下がっていく。
ま、これも表彰式が終わるまでの辛抱か……と、そんな思いを抱きながら。
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