俺って天才魔導師なのか!?~前世は天才魔導師の高校生~

龍虎

忍者動乱編

俺の人生が狂い始めた日

第1話 覚醒の前兆

■2016年 4月 7日 国立理科高校屋上

「リンク」


 俺の視界がそう言うとさまざまな数式に埋め尽くされる。そこに殺さないような現象を引き起こす魔法式を一瞬で計算し、圧縮してそれに数字を代入。そして女の股下の床を改変して轟々と立ち上る青い炎を作り出した。


 すると、女は呪文ワードを言うわけでも、綴るわけでもなく異常な速度と飛躍力で炎を回避する。

 魔法式を使ったのか?それとも純粋な身体能力か?そんな風に俺の想像を絶する行動で動揺し一瞬俺が考えてしまう。

 すると、そこを突いて女はそのままのスピードで突っ込んで来る。そこで女はクナイを俺の喉元を掻っ切るように振るった。だが、結界に阻まれた。そこで女が俺との距離をすぐに取って俺に言う。


「それはそう長くは続きませんよ。残念でしたね。まあ魔法を使うというバカなことをする男だから仕方ないですね。もしかして、忍者と戦いたかったんですか?」


女は俺を嘲笑いながら聞いてきたので俺は答えた。


「俺は平和に暮らしたかったんだよ!!何でいつもこういうことになるんだ!」

「知りませんよ」


女は俺に呆れながらそう返してきた。


俺がなぜこんな状況になっているのかといえば恐らくあの夢からだろう。


■2016年 4月 6日 夢


 魔法工業都市は常にどこかで、カンカンと鍛治大工の金床が鳴り響き、魔法学校での魔法のテストで男の子がエクスプロージョンを使い、ゴォーと轟音が鳴り響く、この街はそんな風だった。

 だがその町は今、馬1頭ほどの大きさのスライム発生によって阿鼻叫喚あびきょうかんちまたと化している。そんな中、幼い俺とその幼い俺の腕を掴む屈強そうな男がなにやら言い争っていた。


「おい!!早く逃げるんだ!!ペンサルトの所の坊ちゃんとはいえあのスライムじゃ太刀打ちできない!!」

「勝算がない戦いなどはしない!スライムの強さもわかっている。それに、俺以外の誰がこの街を守るというのだ!!」


そう言って、幼い俺は腕を振りほどこうとするが、屈強な男が押さえつける。男が悲しそうに言った。


「確かにそれはそうだろうけど……あれは超級ハンター以上じゃないと、まともにダメージを与えられないですよ」

「いや、与えられる。俺の魔力量すべてを使えばアイツを倒せる」

「あの、屋敷爆破事件のときと同じ魔法を使うのか……それなら、倒せるかもしれないが、魔力量を全部使うとなると一回しかチャンスがないってことですよ?」

「わかっているさ。絶対に成功させる」

「じゃあ、俺も行きますよ!」

「いや、君には娘が居ただろう?万が一のときのために守ってやれ」

「な、解りました。後武運をお祈りしています」


 そう言うと屈強な男は後ろめたい表情をしながら幼い俺の腕を放し、走り去っていった。すると、幼い俺は覚悟を決めた表情で街の住人と逃げている方向の逆すなわち、スライムの居る草原の方へと走り出した。

 幼い俺は日ごろ訓練しているのか、現代の子供より明らかに速い速度で走っていく。恐らく現代の50M走のタイムに例えれば7秒は出るスピードだ。


 そして、幼い俺は休憩を挟みつつ草原に到着した。草原には、辺り一帯の草を枯らしながら進むスライムの姿がある。スライムが来た場所の方面に向かって一直線にスライムよりも一回り大きい線が枯れた草の線が出来ていた。


 今までは周りの養分を吸いながらだっため移動するのがゆっくりだったのか、幼い俺を見つけるなり、ものすごい速度で幼い俺の方に向かっていく。

 幼い俺はスライムにまだ気づいていなかった。もちろんそれでも、スライムは猛スピードで幼い少年へと向かっていく。


 猛スピードで来る目の前に居るスライムに気づき幼い俺は足を僅かに震えさせた。そして、腰に携えていた剣は抜かず、スライムが近くに来ると目を閉じて言う。「リンク」何かに接続して目を開いた。

 目の前には変な文字が使われている数式ばかりが広がっている。そんな中、幼い俺はすでにある生活魔法用の魔法式の一部の数値を変更し、改変。赤い色の炎を目の前に作り出す。


 すると、驚くべきことにあの食事を取るということしか頭に無いスライムがおいしそうなエサ幼い俺を我慢した。そしてまるで炎を恐れているかのように自分の身を炎によって僅かに焦がしながらも回避する。


 幼い俺はさっきの祈るような表情から一転し、まるで、あの最強生物スライムの弱点を知ったかのような余裕を持った表情を浮かべた。

 そして、幼い俺は目を閉じて景色をシャットアウトして覚えている無数の数式から変な水素Aと変な水素Bの数式を探し出して式を貼り付けて、予定の位置へと集めていく。


 そんな中、スライムがその明らかに隙のある幼い俺を見逃したり、待ってくれる訳がない。スライムは容赦なく幼い俺へと向かう、幼い俺は音を聞いてスライムの接近を察知し、詠唱を始める。


「ああ、女神よ。熱き心さえも持つ女神よ。そなたの力の一部を貸しておくれ。我は神の子の人なり。神の子なり。女神よそなたが慈悲深い女神だと信じ我は望む。我にすべてを焼き払う豪炎を。すべてのものに恵みをもたらす暖かき炎を」


 すると、幼い俺の周りに頭の片隅で想像した揺らめく赤い色の炎の壁が顕現した。

 スライムは炎が怖いのか動きを体の一部を噴出させることによって勢いを相殺そうさつしようと緑色のスライムの体液を体の前方斜め下から出している頃に、幼い俺をスライムから遠ざける守りの炎ともいえる炎は雲散霧消する。


 すると、スライムは体の一部の噴射を止めて、勢いを一旦土に着地し土を蹴ることによって噴射によってそがれていた勢いを加速させ、幼い俺に襲い掛かる。


 だが、幼い俺は苦痛の表情を浮かべているもののそれはすぐに止み、目をカッと開けて高速で筆記体で呪文スペルを綴る。綴っていた内容は変な文字な上に速すぎて一切不明だが、書き終わった後、すぐに幼い俺は叫んだ。

 「ウィンドブラスト!!」

 直後、スライムは幼い俺へ向かう勢いを落とすどころか勢い良く反対に吹き飛ぶ。そして今度もまた高速で筆記体で同じ呪文スペルを綴る。そしてまた同じ魔法を完成させた幼い俺は言う。

 「ウィンドブラスト」今度は自分を吹っ飛ばした。


 そして、地面に着陸した幼い俺が達成感に溢れた《あふれた》嬉しそうな表情で叫んだ。


「スーパーエクスープロージョン!!!!!」


 すると、ゴォォォォ、バァン、その耳をつんざくような純水素爆発による轟音と共に草原の直系約1KM、最大の深さ約5Mのクレーターが出来た。そして、幼い俺はあまりにもの爆音で意識を手放した。


 チリリリリン、チリリリリン、そこで、俺は夢が覚めた。(時計をつけておいて良かった)そう安堵して、やけに、現実的な夢だったことのみを思い出した。だが、内容については思い出せずに俺は制服に着替え始める。

 現実的な夢を見たはずなのだが、俺は思い出せない。そこに違和感を覚えたが、夢とはそういうものだ。どんなに印象が強い夢でも曖昧になって思い出せないことがある。と結論を出してそのことについては考えないで置いた。


 そして俺は着替え終え(あの両親でこの入学式という状況なのに普通だな)そんな風に疑問を覚えながらもご飯を食べ終えた。俺は家を出た。

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