日本の法律を魔界に適用したらこうなった

タガミ ケイスケ

第1章

第1話  序 章

「受かったぞー!!」と心の中で叫びながら受験票を握りしめた。スマフォを片手に大学の食堂で感無量の顔をしている。他の学生は「この人、なんか変。」「目を合わせてたら、病気になるわよ。」オレってなんかのモンスター?そんなことはいい!

 オレは、志津隆史、ごく普通の大学で法律を学んでいる、しがない学生だ。友達は本当に少なく、誰ともしゃべらず、ずっと参考書と問題集そして六法とずっとにらめっこしていた。

 そんなオレが司法書士の第一次試験を合格したのだ。あぁ、がんばった、オレすごい、オレに誰かご褒美をとも思ったが、誰もしゃべる人もいなく、称える人さえ当然いない。なんか寂しい…あれ、なんか涙が出てきたぞ…オレって何やってたんだ…勉強だけじゃん。

大学の廊下を渡りながら、涙を拭きながら歩いていた。また、他の学生どもが「急に泣き出してるよ。」「関わっちゃだめよ」と聞こえてきた。あれ、また涙が出てきたぞ。

 しかし、そんなことは言ってられない。まだ、二次試験があるのだ。口頭試験という質問されたら自分の口で答えないといけない試験だ。はっきり言って緊張しまくるだろう。舌をいっぱいかみそうだ。まぁ、かんだらそれでいいか。笑い話に持って行ければいいか。とりあえず、家に帰ろう。大学でこんなことしててもしょうがない。まずは家だ。家族に称えてもらおう。あっ!一応、お土産買っていこう。称えてもらうために…



 「ただいま~」と家にもどる。あれ?お帰りの一言もないぞ。オレはリビングに向かう。リビングには母さん、妹がいた。

再度、「ただいま」とリビングにはいる。

そして、母さんが

「お帰り、結構、早い帰りね」と雑誌を見ながらポテチを食べてる。うちの母さん千里ははっきり言って美人だ。よくオレをお生みになされた。ロングの黒い髪で、背も高く、モデルをやってたんじゃね。と思うくらいだ。

「ああ、お帰り。今取り込み中、話しかけないで」

妹はゲームみ夢中だ。妹さやかは、セミロングで茶髪、今風の服装で、実際、モデルをやっている。友達いっぱいで幸せそうだな~。って、オレって、ここにも居場所ない感じ?いやいや、そんなことはないよ。だって今日は朗報があるのよ!家族もすごいという朗報よ!


 そしてオレは言った。

「お二人に話したい事がありま~す。聞いて頂けますか?」

と手を挙げた。母さんは

「何事?」と雑誌を置いた。

オレは、「ちゃんと聞いて頂きたいと思いまして、お座り願いませんでしょうか?」

丁寧に再度二人に申し上げる。

母さんが「もう座ってるじゃない…」

オレを馬鹿みたいに見ている。ああ、見ればいいさ。この後は、オレを馬鹿じゃない、すごい目で見てくれるに違いないぞ。ふふ、笑えてきたぞ。母さんがさげすむような目で

「何なのこの息子、急に笑い始めたわよ。さやか~。一緒に病院につれてってあげて。」

「やだよー。急に笑う人とつれてっていくなんて私まで変な人に思われるじゃない。」

と妹がゲームをやめて、母さんの隣に座った。



「お二人とも、今日はお集まり頂ありがとうございます。」

オレはお辞儀をする。

「集まってはいないけど…」

母さんがオレを馬鹿みたいな目でオレを見る。そんなにみないで!お恥ずかしい。

「本当に病院へ行く。家を出で曲がり角まではついて行くよ。」

なんか寂しそうな目で妹は見てるよ。オレってしっかりしているよ!まぁ、そんなことはどうでもいい。改めて言った。

「今日はご報告があってお二人にお座り願いました。」


 そして、一呼吸置いて「なんと、司法書士試験、第一次合格しましたー!」


 母さん、妹は『な~んだ。はいおめでとう。』と同時に言って雑誌を読み返し、ゲームをしに戻っていった。

「ちょっーと、待って!なんで戻るの?オレがんばったんよ?見てたよね。一日中、勉強しているところ、兄ちゃんがずっとつぶやいていた所、問題集片手に食事してたり、家に戻れば部屋にこもって悶々と勉強している所見ていたよね?」

オレは今までがんばったぞ!尊敬の眼差しを二人から受ける予定が…あれ?おかしいぞ?何なの、この反応。

母さんは雑誌を改めて見て

「はいはい。試験合格おめでとう。けど第一次試験だし、正式に受かったわけではないよね。だったらね~」

さらに、雑誌を読み返す。

「兄ちゃん、すごい事かどうかわからないよ~。お母さんの言ったとおりだよ。まだ受かってないじゃん。」

ゲームをやり始める。

 ちょっと待てよ!オレは日本でも最難関と言われる試験を一発で筆記試験受かったんだよ。口頭試験はひどいことがない限り受かるって言われてるんだよ、なのにこんな事にすまされちゃうなんて…オレがんばったんだよ…がんばったんだよ…がんばったんだよ…今日は、涙が出っぱなし。えーい!!伝家の宝刀を抜くしかない! オレは伝家の宝刀を抜いた。


「ええーい!二人ともこれをみよ!」

オレは二人に例のブツを見せた。

「あれはなんとボンアトレのタルトじゃない!」

母さんは驚いた。ボンアトレとは、オレの家族が愛してやまないケーキのお店だ。少々高いがまじでうまい。また買いに行きます。

「キャー。あのタルト、マジで神だよ!」

妹も目を輝かせている。

「さあ、ひざまづけーい。オレを称えよ。」

オレは、タルトを見せて威張っていった。

『ははー!』二人は一斉にひざまついた。母さんは

「試験おめでとう。よく頑張ったね。偉いわ。だからタルト頂戴。」

目を輝かせて言った。あれ、オレ見てないよね。

「お兄ちゃん。マジですごいよ。惚れちゃうよ。だからタルトちょーだい。」

猫なで声で言い、同じく目を輝かせて言った。あれれ~オレ見てないよね。二人はタルトしか見てない。

オレを見ろよ …。オレはしぶしぶタルトを渡す。二人はむさぼるかのようにタルトを食べている。食べながら、さやかが

「ところで、お兄ちゃん。口頭試験って何?」

「よくぞ聞いてくれた妹よ。」

「やっぱいい。」

妹はタルトを食べ始める。

「ごめんなさい。さやか様。説明させてください。」

オレは頭を下げる。

「よろしい。説明したまえ。」

フォークをオレに指すかのように揺らしている。あれ?立場が逆転してない?

「口頭試験というものは試験管が質問して、オレがそれに答える試験なんだ。よっぽどのことが無い限り大丈夫だと思う。」

「ふ~ん。お母さん、どう思う。」

「ダメね。」

母さんがタルトを食べながらオレを見た。

「何で!?」

オレはビックリしている。

「だって、緊張しすぎて答えられなさそう。」

「そこは…………なんとかなるよ。」

「まぁ、がんばりなさい。」

「…………うん。」

腑に落ちねぇ~。ダメとか言われると余計、失敗しそうだ。勉強しよ~。

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