第37話 隠れ里
「やっと追いついたね。バカビカム、いつもはトロトロ歩いてるのに、スキップしてどんどん進んでいったよ。って、ここが隠れ里か。あちゃーーーいきなり露天風呂かよ。まあ、隠れ里にはありそうだけどさ」
「お風呂だすねー。ちょっと寛いでいくだすね」
「おお、そうだな。骨休めも大事だよな」
「ち、ちょっと、待てよ。バカ天使! 羽もぐぞ! 何しにここに来たのか、目的を忘れるなよな。ビカムが罠に嵌るのを防いで、敵を倒しに来たのに、何、いきなり、ふざけたことを言ってんだよ!」
「有休届けだす」
「有休取ります」
「あーーーこれダメなやつだ。最低なやつじゃん。一大プロジェクトのプレゼンの日に休むやつだ! 絶対ダメだからな。お前らがいないとビカムを痛い目に合わせられないし、意味ないじゃん。有休を認める訳がないだろ」
「相変わらず、ブラックだすなー」
「ほんと、ほんと、ひでーよな」
「もう、ほんと、うるさいっ! 物語を止めてまでやることじゃねーよ! バカやってんじゃないよ。ほらっ、ビカムと狐耳娘たち来たよ! って、またいつも通りかよ。ポワン、ポワンしやがって。腹立つねー!」
「ポワン。勇者様ぁー♡ビカム様ぁー♡」
「ポワン。勇者様ぁー♡もふもふしてくださーい♡」
「ポワン。ビカム様ぁー♡こっちも、もふもふ願いまーす♡」
「ポワン。ダーメ♡わたしがぱふぱふしてからね♡」
「もふもふ♡ぱふぱふ♡極楽♡極楽♡」
「うぐぐぐっ。あのバカ勇者。バカすぎて勇者の風下にしか置けないバカだす」
「本当だよな。なんだあの鼻の下は。ただのエロ勇者じゃないか。許せん!」
「おっ! ようやくやる気が出て来たみたいだねー。いいねー。それそれ。待ってましたよ。そんじゃ、やっちゃって。いい気味だってくらいに、やっちゃっていいよ。許すから。うんうん」
「シャムネコ! やるだすよ」
「おう」
「「いけーーー! 逆矢印・恋のキューピット!」」
「キャーーー! なにこの勇者! キモいんですけど!」
「キャーーー! 変態がもふもふしてる! 助けてー!」
「キモッ! エロガキ! 触んじゃねーよ!」
「キモッ! 変態勇者め! いっぺん死ね!」
「それーー。ボコボコにしろー」
「えっ! えっ! なに、なに。痛い! 痛い! なんで?」
「ギャハハハハハ。何あのビカムの顔。真っ青になって、涙目になっているよ。利いてる、利いてる。さすがエリート校の技だね。ビカムの恋のキューピットを完全に封じたね。って、お前ら何してんの?? バカ天使!」
「フワン。サキちゃーん♡シャムちゃーん♡」
「フワン。天使様ぁー♡もふもふしてくださーい♡」
「フワン。サキエル様ぁー♡こっちも、もふもふお願いしまーす♡」
「フワン。じゃあ、シャムネコ様は、ぱふぱふね♡」
「「うーん♡しゃーわせ♡役得♡役得♡」」
「あのバカ天使どもーー! 何が許さんだよ。何が役得だよ。ただの嫉妬じゃん。やっぱりサイテーなやつらだったよ。……まあ、でもビカムハーレムは終わったから、よしとするか。あいつらなら罠に嵌ってもいいや」
「もう、ダメだ。バカ天使に負けた。僕の時代は終わった。死のう」
「はいはーい。ビカム君は大丈夫だよー。あれはさー、関係ないから。どうせね、すぐに罠に嵌って、とんでもないことが起こるからね。手首とか切っちゃダメだからね。それはなしだよ。なし、なし、なしね」
「くそっ! あと少しで勇者を葬れたのに……、邪魔が入りおったか! これからが本番だったのに。仕方がない。やれ!」
「はっ、玉藻様。えいっ!」
「「ギャーーーー。なんだ、だんだ!」」
「うぇーーー。マッチョだ。じじマッチョに囲まれたーー」
「うぇーーー。助けてーーー。キモイ、キモイ! そういう趣味はないだすよ」
「ほーら、ほら天使ちゃん。楽しもうねー」
「ギャーーーー。助けてーーー」
「そーれ。ジョリジョリだよ」
「ギャーーー。キモイキモイキモイだすよー」
「逃がさないよー。ヘッドロックだ。抑え込みだ」
「「ギャーーーーーー」」
「……サキエル、もうダメだ! 俺は助からない……」
「シャムネコ……。うちも危険領域に突入しただす。暴走より遥かに怖いだす……。無理だす、ダメだす……」
「ほら、やっぱ、罠だったでしょ。でも、またとんでもない罠が仕掛けられていたね。これは怖いねー。あんなことやそんなことしたあとだったら、軽く死ねるね。ま、バカ天使だったから、どうでもいいけどね」
「フッ。愚か者めが。……でも、思い出した。うぇーーーー」
「あれあれー、途中まで余裕かましてたねー。さっきまで青ざめていたのに。バカ天使は白目むいて失神して、そのまま昇天しそうだね。でもさー、本当ならあれがビカム君の姿なんだよ。ちゃんと分かってんのかなー?」
「うぇーーー。ここにもいたー。キモッ」
「てめーな。ここにいるのは神様。神様だから。あいつらと一緒にしないでくれないかなー。マッチョじゃねーし。それよりも、こいつらを操っている奴がいないねー。どこに隠れているのかなー。見つけないとね!」
「じゃ、ま、そういうことで。僕は有休ね」
「なんで、お前まで有休とか言ってんの? そんなのねーよ。まだ敵がそこらへんにいるのに、休める訳ねーだろ! ちゃんとお仕事しろよな。とりあえず、そこらへんを探すよ! ほら、行くよ!」
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