*対面
降りてきた少女を確認して二人は立ち上がる。
「ミーナ、紹介するわね。こちらがベリルさん、そちらは知ってるわね」
「ホントに傭兵?」
少年の予想通りミーナの顔は驚きに満ちていた。ベリルを初めて見る人間の驚きを見るのはいつも楽しい。
「うん、本当」
ダグラスは笑顔で応え、ベリルに視線を送る。彼は弟子に促されるように、上品に手を差し出した。
「よろしく」
微笑んだベリルに少女は頬を染める。傭兵と聞いていたせいか、自分の想像していた厳つい人物とのギャップがあまりにも酷くて目を丸くした。
なんて麗しく神秘的な瞳なんだろう。この二人を並べて見ていると、傭兵というものがどういうものか解らなくなってくる。
「犯人が捕まるまでお願い出来るかしら」
リサが不安げに問いかけた。ベリルのイメージがあまりにも異なっている事で本当に大丈夫なのかと心配にはなっているが、基本的な料金は法外という訳でもないため詐欺とも違うのだろうと若干の警戒はしている。
「あまり長い期間は難しい」
「長期の契約はしないんだ」
ベリルがメインとしている仕事上、あまり長くは契約を続けられない。
「そう……」
「大丈夫よママ! きっとすぐ犯人は捕まるわ」
顔を伏せた母親を元気づけようとミーナが笑顔で発した。リサは頷いて娘を抱きしめる。
娘に励まされていてどうするの、脅迫状は娘を狙っているというのに、自分がしっかりしなくては──抱きしめる腕に力がこもる。
「我々も出来る限りの事はしよう」
ベリルの言葉にリサは少し笑顔を見せた。
実際に話を聞き、ベリルはこの仕事を改めて正式に受ける事を了承する。ミーナを警護するため、今日から二人は泊まり込みむ。
空いている部屋を借り、衣類などを調達しにベリルとダグラスは車に乗り込んだ。
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