第四十八話:願いは常に軽々には叶わず

 絶望的な寒さがあった。

 雪と、石くれ。周囲を油断なく探りながら、ゆっくりと歩を進める。


「はぁ、はあ」


 アルズベック・レオス・ヴァルパーは、ここが死地であることを否応なく理解していた。

 極寒の山中を装備もなくさまよっているのだ。奇跡がなければ、体力が尽きた時にこの命も終わる。

 体内の怪我は魔術である程度治癒したが、鈍い痛みが絶えず体の奥を刺激し続けている。ある意味、その痛みが意識を繋ぎとめてくれていたから、悪いことばかりとも言えないだろうか。

 雪が舞い始めた。息を吸うたびに胸が痛むのは、傷のせいだけではないはずだ。

 獣の姿はここまで一度も見ていない。雪に紛れる形で飛んでいた鳥を、雷の魔術で仕留めた。

 捌く余裕などないから、首と足を落として血を吐き出させたあと、羽毛を引き抜いて丸焼きだ。味など気にもならない。

 腹に納めると、わずかに体が温まってくる。


「せめて、休める場所を。どこか、ないか」


 この場では、彼はレオス帝国の皇子でも、機兵乗りでもない。

 大自然に押しつぶされそうになっている、一人の哀れな遭難者だった。






 機能を封じられていてこれか。

 エナは深く呼吸を整えて、次なる猛攻に備える。

 アルをして最も厄介だと言うだけのことはある。強固な装甲、巨体、突進力。浸透衝撃を使えなくても、ただ体当たりひとつで並の機兵ならスクラップに出来てしまう。

 重王機ちょうおうきエトスライア。本来ならばエナが乗り込むべき王機兵であり、今は帝国によって不当に運用されている。


『お嬢、例の術式は』

「何度か打ち込んでいますよ。効果が出れば勝つのです。とにかく続けるしかないでしょう」

『お嬢、もしかしてこの術式は』

「何です?」

『いえ、何でも』


 ティモンの言いかけたことについては、エナの脳裏にも浮かばなかったわけではない。

 アルの術式がエトスライアの中に宿る精霊に届かなければ、いつかは出力の差で押し負けることになる。

 そうなれば、エトスライアはこの戦場を文字通り蹂躙するだろう。

 ティモンに向けてというより、自分に言い聞かせるように口を開く。


「エドワルト……いえ、エドワルダが目を覚まさないというのなら、目を覚ますまで引っぱたくしかないのです。アル殿が私たちに効果のないものを寄越す理由はありません。効果が出ていないということは、あの分厚い外装のせいでエドワルダにまで術式が届いていないのかもしれませんね」

『お嬢がそう信じているのなら、俺からは是非もありませんや。出来ればさっさと中に居座ってる野郎を追い出すなり叩き潰すなりしちまいたいところですが』

「それには同意しかありませんよっ!」


 杖を振りかざして突進してくるエトスライアに、ハンマーを叩きつける。

 エナは自身の機兵乗りの技量を一流だと自負しているが、相手は本来の性能を発揮していないとはいえ王機兵だ。全力で叩きつけても突進を止めるのが精々で、エトスライアに破損らしい破損は一切ない。

 とは言え、エトスライアの内部に搭乗しているラトリバードという男は、さすがに無傷とはいかないようだ。突進が止まってもすぐには動き出さない。何かと隙が出来るのだ。

 当初はティモンが追撃を加えていたが、ラケスの緑獣の武器ではエトスライアにはダメージを与えられなかった。今ではエナのサポートに徹して、不要な攻撃も手控えている状況だ。


『痛ぇな、畜生が!』

『お嬢、浸透衝撃を使えませんでしたっけ』

「使えるなら今頃使っています」

『ですやねぇ』


 エナもティモンも帝国の騎士であったのだが、浸透衝撃の魔術は習得していない。特別騎士道精神に溢れた理由ではなく、機会が与えられなかったのだ。

 二人は帝国の地図で言えば旧エトスリオ地方出身となる。帝国軍には、地方出身者に対しては暫く浸透衝撃の魔術を指導しないというガイドラインがある。

 帝国の軍部もあながち馬鹿ではないということだ。この期間は世代規模で、ティモンはおろかエナの世代でも、退役まで浸透衝撃を指導されることはないと士官学校時代に言明されていた。


『浸透衝撃さえ使えれば、今頃終わってると思うんですよ俺ぁ』

「ないものねだりをしても仕方ありません。結果として帝国は上手くやったということです」

『そりゃ違いありませんや。それでお嬢、眠り姫が目覚めそうな手ごたえってやつはあります?』

「いえ、まったく」

『悪い材料ばっかりで泣きたくなってきたんですがねぇ』


 ぼやくティモンに、エナは答えなかった。ラトリバードが動き出したからだ。

 杖をかつぎ、何度目かの前傾姿勢。エトスライアを中心とした周囲には敵機も僚機もない。相対しているナルエトスとラケスの緑獣がいるだけだ。突進を開始すると、エトスライアはエネスレイクの機兵だろうと帝国の機兵だろうと委細構わず踏み潰していく。

 エナは配下につけられた機兵たちに近寄らないことと、エトスライア以外の帝国の機兵を牽制することを命じている。

 意識を集中する。アルは全力ではないと言っていたが、重王機の突進は鈍重そうな見た目を裏切って驚異的な速度だ。止められるのはエナしかいないし、一度でも組みつかれたら終わりだ。

 突進に併せて、槌を叩きつける。


『甘ぇんだよ!』


 と、エトスライアが突進を途中で止めて杖を振り回してきた。槌に直撃し、轟音が周囲を揺らす。


「当然、そちらがでしょう?」


 エナは口許に冷笑を浮かべると、槌を手元で回転させた。下から上へ、くるりと回った槌がエトスライアの杖を直上へと弾き飛ばす。


『なっ!?』

「がら空きです!」


 そのまま踏み込んで、くるりと一回転。遠心力を味方につけた一撃を、エトスライアの胸板めがけて打ちつけた。


『ッガァ!』

「悲鳴も品のない」


 エトスライアの体がずれた。バランスを崩し、横倒しになる。

 周囲がざわめいた。特に反応が大きかったのは帝国側だ。彼らにとっての最大戦力である王機兵が、そうではない機兵によって倒されたのだから。

 腰の引けた空気を感じるが、エナはその程度で浮かれるようなことはなかった。手ごたえありと言えど、相手は王機兵なのだ。

 むしろ味方に対して、強い口調で注意を促す。


「落ち着いてください。この程度では」

『分かっているとも、指揮官どの』


 実質的な指揮官であるモルフォスが、愉快そうに返してくる。

 老将とも呼ぶべきこの機兵騎士は、オルギオが名を上げた大襲来の時にも機兵を駆っていた筋金入りの機兵乗りだ。

 

「準備は?」

『出来ておるよ。心配は要らん』

『お嬢、もうちょい粘りません?』

「駄目です。私たちが我侭を通す時間はこの辺りが限度でしょう」

『ま、少し時間を置けばエドワルダ様も目ぇ覚ますかもしれませんし……仕方ねぇですかぁ』


 エナもまた、エトスリオの姫である前に軍人だった。彼女自身の目的が、この戦争での勝利と必ずしも合致しないことを十分に心得ている。

 ティモンが少しばかり残念そうな声を上げたが、実際はエナ自身に迷いを断ち切らせるためのものだ。人である限り、理性による判断と心の在り方を完璧に切り離すことなど出来はしない。

 立ち上がるエトスライア。エネスレイクの機兵たちが距離を取った。


「それでは、ここからはです。あの勘違い野郎に存分に思い知らせてやるとしましょう」

『ええ、無論です』

「エネスレイク王国のつわものが、オルギオ殿やルゥロ様だけではないということを」








「おっとっと、これはどうした騒ぎだい」

「空飛ぶ機兵が現れたんです! しかも王都に!」

「何だって?」


 リエネス城内は、ハチの巣をつついたような騒ぎになっていた。

 サイアーが走っていた顔見知りの兵士に声をかけると、焦っている様子だが律儀に答えてくれた。

 空から機兵が現れて、郊外の士官学校に現れたのだという。帝国の勢力であることは疑いなく、王城に残された機兵を出そうとしているのだ。

 シエド・トゥオクスを先ほど喪った自分に出来ることはないだろうが、機兵の格納庫にはあるいは空いている機兵があるかもしれない。そんなことを考えて向かってみると、整備士と騎士たちが動き回っていた。


「……こりゃ、僕の出られる機兵はないかなあ」


 当たり前だが、自機の修理は始まってもいない。ほとんどが戦場に出てしまったからというのもあるだろうが、空いている機兵もなさそうだ。悠然と立っている王機兵も、どことなく所在なさげに見えた。

 近衛の機兵が出ていくと、格納庫はがらんとしてしまった。整備士たちはそれでも不安なのだろう、解体整備中の機体の組み立てを始めている。

 と、様子をぼんやり眺めていたサイアーに気づいたのだろう、整備士の一人が声をかけてきた。


「サイアー殿? どうされましたか」

「いや、士官学校の件を聞いてね。どうしたものかと思って」

「そうでしたか。ありがとうございます。しかし……」


 二人の視線が、部品置き場に向けられる。そこには昨日のうちに解体されたシエド・トゥオクスが置かれていた。

 ふと、山中で行われている決戦について思い出す。自分が今ここにいるのが、幸運だったのか不運だったのか思いを馳せる。

 流狼が間に合っていなければ、殺されていた。シエド・トゥオクスには特殊な力があっても、サイアー自身には何の特殊な能力もないのだ。

 自分の代わりに斬り刻まれた機体を見て、ぶるりと体を震わせる。


「さ、サイアー」

「おや、エリケ・ド……?」


 背後から困ったような声がかけられた。

 心がほのかに温かくなるのを感じながら振り返ると、そこには怯えた表情で車椅子を押すエリケ・ドと、車椅子に座るシー・グがいた。


「ちっ、人払いをしろと言ったろうが! 使えない奴だ」

「ひっ! ご、ごめんなさい」


 この世界に招かれた直後のような、常に何かに怯えていたような様子に立ち戻っている彼女。二人の様子を見ると、どうやら昔馴染みであるようだが。

 しかし、それ以前にサイアーはシー・グの物言いに腹を立てていた。

 シー・グとエリケ・ドの前に行くと、そっとエリケ・ドの肩に手を置く。


「どうしたんだい、エリケ・ド。彼は連れ出してはいけないことになっていたはずだよ」

「サイアー……ごめんなさい」

「くっ!? よせ、寄るな! 寄るなっ!」


 目が見えていない様子のシー・グが、途端に怯えた様子で手を振り回す。

 エリケ・ドはその手にも恐怖を見せる。

 彼女が何事にも悲観的だった原因は、どうやらこの男にあると察したサイアーだったが、しかしエリケ・ドに聞かないわけにいかなかった。


「この人とは、一体どういう関係なんだい?」

「その……」

「エリケ・ドは俺の物なんだよ! 俺が俺の持ち物をどう扱おうが勝手だろうが!」

「彼女は物じゃない。それに今はエネスレイクの士官だ。そういう言い方をしないでもらおう」

「うるさい、黙れよ!」


 大声を上げるシー・グ。

 きょろきょろと周囲を見るようにしながら、エリケ・ドに言う。


「この男を殺せ、エリケ・ド」

「えっ」

「いいからさっさとしろ! 俺の命令が聞けないのか!」

「で、できない……サイアーを殺すなんて、私には」


 がりがりと頭を掻きながら、シー・グはエリケ・ドの方にどろりと淀んだ目を向けた。

 苛立っているその顔を見て、エリケ・ドがヒッと悲鳴を上げた。


「エリケ・ド……エリケ・ドォ! お前は何だ、この俺の何だ!?」

「わ、私はシー・グ様に買われた、奴隷です」

「だよなァ! お前は奴隷として俺のために生きて、俺のために死ぬ義務がある。そうだなァ!?」

「は、はい」

「いいかぁ!? 今、この国には殿下が俺のために迎えを出してくださっている! 空を翔ける機兵が来たということは、そういうことだ!」


 サイアーには理解出来なかったが、シー・グは自分を助けるために空飛ぶ機兵が来たと本気で信じているようだった。

 エリケ・ドを見るが、シー・グの言葉を聞くのが義務であるかのように、青ざめた顔で彼に向き合っている。

 となると、シー・グたちがここに来た理由もおのずと限られる。


「目的は王機兵か」

「殺せ! エリケ・ド! こいつを殺せ!」

「僕を殺しても意味はない。ここにはまだ騎士も整備士もいるからね」

「何だと!?」


 目が見えなくても、作業音は聞こえているはずなのだが。

 シー・グは焦ったように顔を振る。そして振り返ると、エリケ・ドを詰る。


「この愚図! 人払いはどうした!」

「ヒッ! すみませんすみません!」


 頭を抱えてうずくまるエリケ・ド。サイアーは優しくエリケ・ドを助け起こしながら、シー・グに向けて言った。


「君のような男に、エリケ・ドを任せるわけにはいかない」

「さ、サイアー?」

「ふ、ふざけるな!」

「ふざけてなんていない。そして、僕は彼女に罪を負わせるつもりはない」


 エリケ・ドを背に庇いながら、シー・グから少しずつ離れていく。

 エリケ・ドは怯えたようにサイアーの背中にすがりつくが、しかしシー・グを無視することも出来ないようだ。


「王機兵に乗りたいのであれば、自分で乗るといい。彼女を巻き込むな」

「な、何を……おい、待て!」

「するのなら急ぐのだね。僕はエリケ・ドを休ませなければならないから、誰かに君の居場所を言うつもりはないが」


 シー・グが車椅子から転げ落ちた。

 慌ててエリケ・ドが抱き起そうとするが、サイアーはやんわりとそれを止める。


「さ、サイアー」

「落ち着いて、エリケ・ド。彼にこれ以上手を貸してはだめだ」

「で、でも」

「君が手を貸してしまえば、取り返しがつかなくなる。彼が王機兵に乗った後はどうするつもりだい」

「どう、って」

「空を翔ける機兵の所まで、彼は一人で行けるのかい?」

「それ、は……」

「君が機兵を操る? それとも、他の誰かが?」


 エリケ・ドは機兵の操作技術を学んでいない。シー・グは目が見えない。

 エリケ・ドの指示でシー・グが機兵を動かした場合、建物や人を傷つけるのは避けられないだろう。そして、シー・グはきっとエネスレイクの人や物に頓着しない。

 それを察したのだろう、エリケ・ドは更に体を震わせる。


「君に、この国を傷つける手伝いをさせたくないんだ。前にも言ったね。僕は、君を守りたい」

「サイアー……」

「僕に、君を守らせてくれますか」


 その問いに、エリケ・ドは震えながら頷いた。

 サイアーは震える体を抱くようにして歩き出す。彼女は逆らわず、そして振り返らなかった。

 しかし、その心がまだ後ろで這いずるあの男にあることは、サイアーにも分かっていた。まずは彼女の心を解き放たなくてはならないことも。


「エリケ・ド? エリケ・ド! おい、どこだ! 俺を起こせ! ヤイナスカの所へ連れていけ! おい!」


 どうやら何人かがシー・グに気づいたようだ。

 慌てたような声もする。サイアーは急いでこの場を離れることにした。


『へぇ』


 別種の喧騒の中、面白そうに呟く異質な声には、最後まで気づかないまま。







『マスター』

「どうしたんだ、アル?」


 近づいてくる岩もしばらくないようなので、流狼は特に何もすることがない。

 両腕もフリーになっており、アカグマ自体は最低限の生命維持機能だけを残して休眠状態だ。

 そんな中でアルからかけられた声に、あまり良い雰囲気は感じられなかったが、特に落胆もなく問う。


『計測の結果が出たよ』

「そっか。それで?」

『感応波の経路は探知できたから、戻ることは出来そう』

「それは何より……だけど何だか嬉しくなさそうだな?」


 何やら少々深刻そうだ。

 流狼の疑問に答えたのは、アルではなくラナの方だった。


『この機体には、魔術を行使する機能がないのよ』

「ああ、基本的に殴るばかりだものな」

『ええ。感応波の放出は出来るし、魔術陣の起動は可能よ。だけど、この状態だとどうにもならないのよね』

「魔術陣を描くことが出来れば大丈夫ってことか?」

『そうね。何か土台になるものがあれば出来るんだけど』


 ラナの言葉に、流狼は額を押さえた。彼女とアルが何を言いたいのか何となく理解できたからだ。


「さっきの岩、砕かない方が良かったな」

『マスターのせいじゃないよ! あの時点では、そんなことを言っている場合じゃなかったし』

『そうね。そのまま激突されてアカグマに半端な破損があった方が問題だったもの。それはいいんだけど』


 過ぎてしまったことは仕方がない。

 となれば、次にすべきことは限られてくる。


「要するに、次はああいった岩を壊さないようにしつつ、うまいこと取りつけって話か?」

『それもあるわ。あとは、運動していない岩を探してそこに向かうって方法もね』

「そっちの方が楽かな」

『ええ。問題は、飛んでくる岩も運動していない岩も、私たちの周囲にほぼないってことだけ』

「ん」


 現在アカグマは、先ほどの岩との衝突の関係で緩やかに動いている。

 アルカシードと違って背面に噴出孔などはないので、流されるがままの状態だ。


「やるべきことは分かった。俺の力が必要な状態になったら声をかけてくれ」

『うん』

『……そうね』


 ふたりの様子に、流狼も何となく察しはついていた。

 おそらく、ふたりの察知できる範囲にそういう都合の良い岩がないだろうということに。そして、その範囲がおそろしく広いことも。

 だからこそ、流狼は聞くことが出来なかった。


――自分の命が尽きるまでに、岩が近づいてくる可能性はないんだな?


 と。






 戦場にて、エイジは空を見上げていた。

 日が沈むまでの時間を見ているのだ。


「閣下、こちらを」

「エナ殿は失敗されましたか。次の手に移ると。……英断ですね」


 日没までの時間はまだそれなりにあるが、あまり悠長に構えていられるほどでもない。

 士気自体はどちらもまだまだ高い。このままならば日が没しても戦闘が続く可能性は高いだろう。

 北面は完全に停滞している。中央は有利に進んでいる。判断を迫られつつあるとエイジは自覚している。

 浸透衝撃を破ったことによる帝国の混乱は収まりつつあった。

 アルズベックの子飼いは有能揃いだ。アドバンテージを取ったとはいえ、それだけで相手を崩すことができるとはエイジも思っていない。


「ルウ殿は、どういう状態なのか」


 ぽつりと呟く。

 流狼とアルズベックが消えてから、何の音沙汰もない。

 このままでは退けないのは、エネスレイクも帝国も同じだ。

 だが、このまま夜戦になれば不利なのは――


「夜戦に備え、防衛陣地を構築します。出来る限り厳重に設営を」

「はっ!」


 エネスレイクだ。

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