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  • 第1話への応援コメント

     挫折のリアルさを描く筆力はすばらしい。前半の出来はいい。
     短編一話で一年を流して自己解決していて、思い出話やエッセイのようになっているのがもったいない。高校二年の冬で止めて、そこに感情のクライマックスを作ってはどうだろうか。
     放課後、すれ違った親友からは怒られるよりもキツい同情の目を向けられ、杉野のプライドは砕け、部屋で「俺は哀れまれたんだ」と敗北感に突き落とされる。
     画面のゲームキャラはレベルが上がるのに、現実の自分のレベルはゼロのまま時間だけが過ぎ、苦痛を味わう姿をじっくり描写する。暖房の効いた部屋にいても罪悪感に苛まれ、衝動的に夜の街へ走り出す。息が切れるまで走っても、あの頃の熱量には戻れず、夜闇の中で泣き崩れるクライマックスを描く。親友が大会で優勝したニュースを見た瞬間、杉野の心に「あいつなんか落ちぶれればいい」と醜い嫉妬が湧き上がり、激しく嫌悪して震える絶望のラストを迎える。
     タイトル『逃避行』を読後に反転させる作りにすることを意識してほしい。最初は部活からの解放で喜びの意味からはじまり、ラストでは現実の後悔から一生逃げ続けるしかない、まさに文字通りの絶望の逃避行にする。
     読者に「一度逃げると逃げ癖がつく」を教訓となる作品にできるポテンシャルを本作は秘めていると、思いました。